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ついに発売された『GFX100S』。本日は新たに追加された「Nostalgic Neg.」を見てみたいと思います。
1970年代 「退色のあるカラー写真は芸術作品足り得ない」と言われながらも、カラー写真の可能性に挑み続けた写真家達によって生まれた「ニューカラー」の写真集を参考に作り上げたフィルムシミュレーションだということです。他のフィルムシミュレーションと同じ写真によってどんな違いが出るのかを今回は見てみたいと思います。

最も変化があったのは空の青色。褪せたというか濁ったというか「Classic Neg.」と通じるものがありますが、階調なども全体的に柔らかめな画作りです。「Nostalgic Neg.」は さらに「カラー:+2」で色味を強調しています。すっきり爽快なシーンに仕上げたいなら「ポジフィルム系」のフィルムのほうが相性がいいと思いますが、ここはまさに撮影者の心情による使い分けででしょう。

フィルムシミュレーションの本当にすごいところは一定の効果を与える、というよりはその場の光や被写体の状況によって画作りの機微があるというところです。「こうだからこうなる」というより「こういうときはこうなる」というのは凄いとしか言えません。

もともと暗部のトーンは出てくる「Nostalgic Neg.」ですがシャドウトーンを「-2」にすることでよりフィルムの特性が強まります。一度設定してからはほぼ「-2」で撮影するようになりました。

さて何よりもこの2種のフィルムシミュレーションの違いが気になっていた方も少なくないのではないでしょうか。
比較して見てみると色味が暖色寄りになりコントラストが低くなっています。特にシャドウ部のトーンが顕著に違います。「クラシックネガ」に比べ、全体的にふわっとした仕上がりになるところがまさに「ノスタルジック」という感じがします。「クラシックネガ」では少し重めなシーンになってしまうところもありますが、「Nostalgic Neg.」は常用フィルムとして使うのに「癖がありすぎない」フィルムだなと感じました。夕暮れ時は「ノスタルジックネガ」一択と言ってもいいほど相性が良いと思います。

音楽を聴いているとその世界観に浸る感覚がありますが、この「Nostalgic Neg.」もまさに「浸る」というのがぴったりな表現です。ただおもむろにシャッターを切りたくなる優しくて懐かしい色です。

逆光の再現性も素晴らしいです。『FUJINON GF80mm F1.7 R WR』のアーティスティックな柔らかで優しいボケもこの「Nostalgic Neg.」の魅力を引き立ててくれています。

少し露出がアンダーかな、と思い露光をいじってみたのですが、この明暗差が絶妙なバランスで成り立っていることに気づき、そのまま撮って出しをご紹介いたしました。今でさえ、どのフィルムシミュレーションを使おうかと贅沢な悩みの中撮っているのに、また新しい魅力を持ったフィルムシミュレーションが増えてしまいました。しばらくはこの「Nostalgic Neg.」を使い続けながら先の時代を作った偉大な写真家たちのように、この色彩をベースに自分だけの「ニューカラー」を作り出すのも面白い試みかなと思います。

さて、『GFX100S』の新しいフィルムシミュレーション「Nostalgic Neg.」について色々と試しながら見て見ました。まさかのとんでもない小型化により中判カメラの敷居をグンと下げた『GFX100S』。これにより日常的なシーンの作品もどんどんと増えていくと考えると今回追加されたこのフィルムシミュレーションはぜひ使っていただきたい逸品です。全ての旅路にこの『GFX100S』と「Nostalgic Neg.」を。今は供給が不足するほどの大人気ですが、落ち着いたらぜひおすすめしたいカメラです。

[ Category:FUJIFILM | 掲載日時:21年03月05日 19時20分 ]

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