【FUJIFILM×マップカメラ】GFX 50R 担当者インタビュー : Part 4

GFX 50R インタビュー

レンジファインダースタイル誕生の理由 「GFX 50R」と「GFX 50S」の違い センサー開発について
中判センサーの優位性 レンズ・周辺機器の展開 将来の展望

 

レンズ・周辺機器について

レンズロードマップ

マップカメラ 50R向けとして50mmの薄型単焦点レンズをPhotokina2018で開発発表されておりましたが、50R 用にグリップや外付けのファインダーといった趣味性の高いアクセサリー類の登場・開発などは今後あるのでしょうか?
上野氏 構想には上がったのですが、今のところはございません。

グリップは、あればよりしっかり握れると思うのですが、それはもう涙ぐましい努力で小型・軽量化を目指しておきながらグリップをつけて大きく重くするというのはどうなのかと。

それよりは小型・軽量化してちゃんと握れるグリップ形状にして、あとはユーザーの方に少しアジャストしていただく方が我々としては正しい方向性だろうという解釈です。おそらく我々がやらなくてもサードパーティーさんが出してくるのではないかというのもあり、あくまでシンプルなところを目指して、この形で使っていただきたいというのが我々のメッセージです。

50mmレンズは開発の都合で同時には出せなかったんですけれど、小型軽量レンズというのは今後もさらに必要だろうと思っています。ただ、せっかくの中判ですし、ボケ味なども期待していただいているでしょうから、レンズを小さくする=開放を暗くする、ということばかりやり過ぎるのもどうなのかな?と。

50mm F3.5の場合はフルサイズのF2.4 くらいはボケますし、許容範囲だろうと判断して商品化にふみ切りました。現在、この50mmとズーム2本を含めて計3本を最新のロードマップに公開させていただいておりますが、それ以降もこういう小型軽量シリーズを揃えられたらいいですね。

一方、アクセサリーなどはこれからお客様の声を聞きながら検討していきたいと思います。

マップカメラ レンズの話になりますが、現行で出ているものより更に明るいレンズというのは構想にあるのでしょうか?
上野氏 構想というほどではないですが、ご要望としては伺っています。ニーズはあると思いますので、どこかでチャレンジしたいと思います。ただ、具体的にいつ頃、という話にはなっていないということです。そして、明るいレンズが欲しい理由が何か?というところもポイントです。光の量なのか、ボケ量なのか?

今のラインナップで最も明るいレンズは110mm F2 なのですが、すでに被写界深度は相当浅いです。光を多く取り入れたいというのはわかりますが、中判のF1.4 って正直どうやって使うのかな?というところもあります。レンズって明るければ明るいほど偉い!みたいな風潮があると思うのですが、それを写真表現に正しく活かすのは結構難しいだろうな、と思うところもあります。高画素機になればなるほどピント合わせも深度コントロールもシビアになってきますから、例えば手持ちのポートレートなどではピントの歩留まりが急に悪化したりします。撮影者も被写体も動くのですから当たり前です。そして何よりもレンズが大きく重くなって高価格になります。なので、いたずらに大口径化することが正しいとは思っていません。質問の答えとしては、現在そういったことを議論している最中、というところでしょうか。

マップカメラ Photokina2018 でCapture One に対応するようになったという発表がありました。こちらはユーザーの声が多かったからでしょうか?
上野氏 そうです。GFX で一番言われたことはCapture One に対応してほしいということでした。私たちの調査ではCapture One 派とLightroom 派でそれほど人数に差がなかったのですが、蓋を開けてみればCapture One に対応してほしい、という声が多かったんです。Photokina2018で多くの発表をしましたけれど、一番拍手が大きかったのはこの発表のときじゃないでしょうか。それだけ望まれていたんだなと痛感しました。

今後の展開について

マップカメラ 今後どのようなデジタルカメラの開発をしていこうとお考えですか?
上野氏 ざっくりした質問ですね…カメラといってもカテゴリーがいくつかあるので、一つにまとめていうのは難しいんですけれど、今の時代、写真を撮る道具として一般的にはスマホが主流です。ではカメラって本当に必要なの?という問いかけが大事だと思うんです。そこで「必要なんです」とちゃんと言えるものを作っていきたいなと考えています。もちろんカメラの機能だけでスマホを購入するわけではないでしょうけど、高価なものですとX-T3が買えてしまうものもありますよね。そのスマホではなくカメラにしかできないことは何ですか、というところを常に考えたラインナップ・商品化を富士フイルムとしてはやっていきたいと考えています。

一例として、カメラって撮影を楽しむものだと思うんです。カメラそのものが魅力的でないといけないと思いますので、やっぱりある意味クルマと近いですかね。A地点からB地点まで移動するということがクルマの目的という方も多いとは思うのですが、そのような目的であれば燃費がよくて、人がたくさん乗れて…という選択肢になっていくと思います。しかも、所有せずに必要な時だけレンタカーを借りる方が経済的です。一方で「運転するということ自体が目的の一つであって、移動の手段だけではない」、という人にとってのクルマとしては、例えばスポーツカーであったり、オフロードを走るためのSUV であったりしますよね。そういった目的や魅力というものを明確化したデジタルカメラ作りをこれからもやっていきたいと考えています。それが先ほども言った「専用」or「万能」というところに近いのかなと思うんです。専用になればなるほど尖らせることができる、そういう魅力があると「それならば欲しい!」となるのではないかなと思います。逆にそうしなければ、カメラは必要な時だけ「借りるもの」になってしまうでしょうから。

マップカメラ 少し話が逸れてしまいますが、フジフイルムのミラーレスカメラはX-Pro1で始まり、X-T1、X-Pro2、X-T2 という順に発売されてきました。順番的に次はX-Pro3かなと想像していたところにX-T3が先に出てきました。Proシリーズはもう完成形ということでしょうか?
上野氏 そんなことはないです。Pro は私たちの間では冗談半分で「オリンピック」と呼んでいるんですけれど、だいたい4年に1回くらいでいいのではないかと話しています。そこもカメラに対して要求される内容の差だと思っていまして、Proで10コマ/秒の連射や超絶高速AFといった性能が要りますか?また、4K/60pの動画を録りたいですか?ということを考えたときに、私たちはどれも要らないかな、という解釈です。それならばX-Pro2のままで十分いいよね、ということになり、変えなければならない理由が今のところありません。

しかしながらX-T○や、X-H○はデバイスやソフトウェアを一生懸命進化させていかないとライバルに置いていかれる可能性もありますので、常に性能向上を要求されています。Proの魅力はそういうところではなくて、例えばものすごく工数がかかる半艶黒塗装や、どのようにしたら柔らかく、尚且つ写欲をそそるような小気味良いシャッター音にできるかなど、ある意味性能には全く関係のないところにすごくお金がかかっているんです。そういう作り方をしたカメラは4年くらい続けていきたいなと思っています。

実際、デジタルカメラは通常発売初年度に最も売れる傾向にありますが、Proは発売から時間が経っても継続的に着実に売れています。先日も知人から「X-Pro2 が欲しくてしょうがない」とメールが来たのですが、正直、発売してからどのくらい経ってると思ってるんだよって思うわけですが、それだけ普遍的な魅力があるということなので、私たちは後継機の発売を焦っていないですし、私自身、今でも様々なインタビューにおいて「数多くのカメラを企画してきて、一番好きなカメラは何ですか?」と聞かれた時は、毎回「X-Pro2です」と答えています。

マップカメラ 今回の50R がレンジファインダースタイルということで、多少なりともX-Pro2 に近いものがあるのかなと思うのですが、同様な熱い想いというのはあるのでしょうか?
上野氏 やはり50Rの開発はすごく楽しかったですし、気合が入りましたね。実はレンジファインダースタイル中判というものは、いつかは実現させる構想ではいたものの、ここまで早くやる予定は当初ありませんでした。50Rの具体的企画は、Xシリーズのデザイナーに「レンジファインダー型のGFX を提案したいから、あなたが良いと思うデザイン画を1枚描いて欲しい」と依頼したところからスタートしました。そのデザイン画を提案書に付けて「次回のPhotokina2018 のときにこういうカメラを商品化してはどうか」と社内でプレゼンしたところ、最終的に「富士フイルムらしいカメラになりそうだし、これをやろう!」ということになり、商品化が決まりました。そういう意味では、50R は自分がいつかは作りたかったカメラだったので、すごく思い入れがあります。いいカメラに仕上がったと思いますので、是非多くの人に使って欲しいですね。
マップカメラ この度は詳しい解説をありがとうございました。

富士フイルム株式会社 上野 隆 氏

 

 

 

 

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[ Category:FUJIFILM | 掲載日時:18年11月22日 19時55分 ]
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