昨今高まる動画需要。
撮影設定……機材…、普段スチルでのスナップ撮影がメインの筆者にとって動画撮影と聞くとどうしても難しく捉えてしまう部分がありました。
そこでまず前回はジンバルに挑戦。(ブログはこちらから)
とにかくジンバルを使うことへの抵抗をなくしたい意気込みでこの日は撮影に出ましたので、NDフィルターを持たずにいたのですが、後ほど撮った動画を振り返ると…、というよりもう撮影をしている時点で白飛びが目立ち、映像の出来栄えとして満足とはとても言えないものでした。
そんなわけで、今回はNDフィルターが動画撮影に必須と言われる理由を改めて知っていこうと思います。
まず動画撮影において重要なのが動画のなめらかさを決めるフレームレートですが、一般的に映画が24fps、テレビが30fpsと言われています。
これに伴い自然な映像にするために設定する必要があるのが、フレームレートの2倍ほどの数値のシャッタースピードです。
シャッタースピードを速くしすぎてしまうと、カクカクと不自然な映像にとなります。スチル撮影の場合ブレのない写真にする際はシャッタースピードを上げますが、動画の場合はなめらかさを演出するためにシャッタースピードを下げてある程度のブレを作る必要があるのです。
そこにボケ感のある画づくりをしたいとなるとF値は上げられません、ISO感度にも下限があります。
おのずとそのままの状態だと白飛びした画になってしまうので、そこで登場するのが光量を調整するためのアイテム、NDフィルターとなります。
今回使用したのはSONY VLOGCAM ZV-E10とSONY E35mmF1.8。
NDフィルターはK&F Concept NANO-X バリアブル NDフィルター 49mm 減光範囲ND2-ND400です。
動画撮影においてはフィルターの取り外しに手間を省くことのできる可変式(バリアブル)NDフィルターが推奨されます。今回使用したK&F ConceptのNDフィルターは、ケラレが防げる薄枠設計、逆光耐性や撥水撥油効果のあるものとなります。ものによっては数万円と高価なフィルターも多く存在する中で、比較的手の出しやすい価格帯にもなっています。
ついさっきまで青空が広がっていたかと思えば雨が突然ぱらついたりと、この日の天候はかなり不安定。
雨はやんだものの、ご覧の通りどんよりと雲が空をおおうタイミングでカメラをまわしはじめました。光量を減らす必要がある=カンカン照りの日、を想像してしまい正直動画撮影慣れをしていない筆者にとっては、NDフィルターの必要性がいまいちピンと来ない天候でもありました。
さっそくですが動画をご覧頂けるとNDフィルターの必要性は一目瞭然。
今回はボケ感を重視した撮影も意識しましたので、設定は本レンズ開放のF1.8に、ISO100、フレームレートは24fpsでシャッタースピード1/50、となっております。
動画内の切り抜きとなりますが、まずフィルターなしの状態ですと、過度な光量により真っ白、よく目を凝らしてみるとうっすらと柵のフォルムが見えるかな、といった具合になります。
映像としてはまったくと言っていいほど使いものにはなりません。
NDフィルターを装着し、適正露出に調整した場合です。こんな景色が隠れていたのかと、少しずつ調整していくうちに理想の画が現れていくのに少しわくわくしました。
通常、可変NDフィルターはX状のムラが出ると言われます。ちなみにこの場面ではフィルターは最大減光のND400の設定になっておりますが、背景の緑の暗さ等が影響したためか、あまり気にならない画になりました。白い壁や青空の撮影の際は注意を払う必要があります。
また、X状のムラはより広角レンズほど出やすいとされている為、APS-C換算52.5mmの標準域レンズであったことも理由の一つかもしれません。
今回はボケ感を重視するため、と記載しましたが特別そういった画作りでなくても動画撮影においてはNDフィルターを使用することをおすすめします。
いかがでしょうか。
動画撮影にNDフィルターが必須アイテムであること、改めて学ぶことができました。
荷物は少なく軽くコンパクトに、また簡単に撮影をしたい。そんな理想というかわがままが邪魔をして食わず嫌い的に手を出したことのないアイテムがたくさんあるような気します。
しかし実際に使ってみると、荷物や手間がひとつふたつ増えてでもその機材の重要性を知ることで新しい表現の世界に出会うことができました。
今回は簡単な検証のような形になりましたが、改めてND フィルターを利用した撮影を一刻もはやく行ってみたいと思っています。