新製品「SIGMA Art 28mm F1.4 DG HSM」のハンズオンに出かけた日、興味本位でSIGMA マウントコンバーター MC-11も装備していきました。
何を隠そう、筆者のメインカメラはフルサイズα。当時は対応ファームウェアもリリース前(※)でしたが、「フルサイズαの5軸手振れ補正と組み合わせたら最強だな・・・」と膨らんだ妄想は無言実行あるのみ。そう、「Eがいいっ」のです。
ナイフとランプを鞄に詰め込むだけでは飽き足らず、SIGMA Art 28mm F1.4 DG HSMとCanon EOS 5D Mark IV、そしてMC-11を取り付けたSONY α7RM3という極めて現代的な装備を追加で詰め込み、冬の浅草に足を運んだのでした。
EOS 5D Mark IVで撮影後、冷たい風に苛立ちを募らせながらα7RM3にレンズをセット。
行き交う観光客でにぎわう浅草寺へのメインストリートを撮影してみました。
絞り開放のピント面は、ほんの僅かにベールを被った、それでいて細部描写まで果たせている模様。心配の種だった周辺減光も大きなものではなく、むしろトンネル効果を狙える点で強い味方になりそうな予感です。
初めて浅草を訪れたのは、2012年3月1日のこと。
当時を思い返すと、出てくるのは曇り空、開業前のスカリツリー…ぶら下げていたNikonの1200万画素カメラD90とAF-S DX NIKKOR 18-200mm F3.5-5.6G ED VR。どれもフルサイズミラーレス誕生前の記憶たちです。
澄み渡った空を見上げると、時の流れに感慨深いものを覚えます。
流れる涙…といきたいところですが、流れたのは鼻水。冷たい風で現実に引き戻され、次の撮影地探しに向かうのです。
今回の組み合わせが真髄を見せ始めたのは、人々が家路を急ぐ日没の頃。
それまではEOS 5D Mark IVとの組み合わせで撮影していたものの、低感度ではさすがに手振れ補正を必要と感じる局面が出始めます。
ボディ内手振れ補正内蔵のα7RM3なら、シャッター半押しで手振れを補正したプレビューを見れるので、ピント確認を行いながら写真が撮れてしまいます。
光量の大きいLEDライトの影響か、AFではジャスピンにならなかったシーン。悪条件に加え、ファームウェア未対応のMC-11だったため、デフォーカスに陥るとAFがフリーズしてしまいました。
しかしこのようなエラーも、レンズ描写力の前では可愛げに満ちた存在に見えてしまいます。ピントリングを前後に動かすことで、AFは再び息を吹き返しました。
背景のボケには口径食が現れていますが、スペックを考えれば上出来の印象です。
浅草から徒歩で移動し、辿り着いたのは車両基地。
自宅から十数分の距離にも関わらず、訪れたのは初めてのところです。
絞り開放でも展望台外壁の凹凸や鉄骨のディティール等を余すことなく描写するレンズ性能に、思わずため息が出ました。
最新の大口径レンズを手振れ補正機構搭載カメラに装着し、拡大鏡モードでじっくりピントを追い込むことで得られる納得の1枚。
行き交う人々がいなければ、私はこう叫びたい―
「Eがいいっ」
MC-11を介してSONY α7RM3に取り付けると、大きさが際立つ「Art 28mm F1.4 DG HSM」。
純正標準ズームであるSONY FE 24-70mm F2.8 GMと肩を並べるくらいの存在感ですが、その余裕ある描写設計により、仕事に疲れた三十路男の撮影欲を十二分に満たしてくれました。
ファームウェア未対応(※)による挙動の不安定さはありましたが、撮影結果でいえば満足の一言。
特に夕方以降の撮影では、ミラーレスならではのメリットであるEVF、リアルタイム駆動するボディ内手振れ補正、画面上の一部を拡大できる拡大鏡モードを駆使して、ジャスピンの写真を心行くまで撮り続けることができました。個人的には、もう一眼レフには戻れないような気持ちも抱くほどでした。
発売日未定のEマウント専用モデル登場が待ち遠しい限りですが、MC-11経由でハイブリッドに活用できるEFマウントやシグマSAマウントを使用するのも楽しみの一つだなと、改めて感じたよき休日でした。
本日奇遇にも、11月に発表された「Art 40mm F1.4 DG HSM」Eマウントの発売日が決定しました。
発売日は2019年3月8日(金)。決戦は金曜日という名言を有言実行してくるあたり、流石のSIGMAというべきでしょうか。
間もなく春を迎えますが、Eマウント仕様の28mmも、今か今かと待ち遠しくなる今日この頃です。
なぜなら「Eがいいっ」から。
(※)撮影から数日後の1月24日、SIGMAより修正ファームウェアがリリースされております。
アップデートを行っていない方は、ぜひ新ファームウェアをインストールしてみてください。
|
|