【SONY】シリーズRX100の系譜 Vol.1
SONYSONY RX100/RX10 seriesコンデジを楽しむシリーズRX100の系譜スナップズームレンズを楽しむ旅秋、色撮りどり
「Cyber-shot」
SONYのカメララインナップにおけるコンパクトなどのレンズ一体型カメラにつけられるシリーズ名。
そのCyber-shotシリーズにおいて「高級コンパクト」というカテゴリーで大型の1.0型センサーを搭載したモデルがRX100シリーズです。
2010年代からのスマートフォンの流行にともなって、安いだけのコンパクトカメラはその存在を脅かされ続けています。
しかし、このRX100シリーズは「小型のまま高画質」という独自路線を確立したことにより、現在でも人気のシリーズとなっています。
2022年9月現在、通算7機種(RX100M5Aを含むと8機種)がリリースされているRXシリーズ。
本シリーズの魅力を総ざらいし、機種ごとの特徴をお届けする本企画『シリーズRX100の系譜』
初回は、本シリーズの原点である「DSC-RX100」をお送りします。
初代RX100の登場はさかのぼること約10年前、2012年に発売されました。
基本スペックとしては
1.0型2020万画素のExmor CMOSセンサーを搭載。
レンズはツアイス銘の28mm~100mm(35mm判換算)F1.8-4.9となり、広角側開放F1.8のレンズを1.0型センサーのコンデジに搭載したことは当時としては画期的なことでした。
センサー性能は初代の時点でほぼ完成し切っている感があります。
もちろん、画像処理エンジンの刷新などを考慮すると後継機の方が高画質と捉えることができますが、発色傾向などは個人的に初代が好みです。
コンパクトカメラにありがちな必要以上に濃すぎる発色、ベタっとした色合いがなく、見た目と近い自然な風合いの発色が非常に好みです。
今回掲載している写真も全てjpeg撮って出し、スタンダードな発色をご覧いただけるようになっています。
花壇の花の発色もそれぞれ自然な風合いです。
広角側でも開放値に余裕があるので、コンパクト機でありながらボケ表現も積極的に盛り込めるのが本機の魅力です。
こういった点がスマートフォンとの差別化に繋がるので、写真表現にこだわりのあるユーザーから一定の評価を受けているのも納得です。
暗部の色再現性も非常に高く、コントラスト差のある被写体を相手に積極的にシャッターを切っていくことが出来ます。
ともすると、ベタっと潰れがちなことが多いのですが、手のひらサイズのコンパクト機でここまで再現性が高いのは嬉しいです。
コンパクトカメラはその特性上、旅行や普段かならず持ち歩くなど、様々な明るさのシチュエーションでの撮影に臨むことが多いと思います。
露出条件的に余裕がある時だけではなく、光が乏しいときにも暗所・明所の再現性が高いカメラは、いかなる状況においても信頼して使用することが出来ます。
空のグラデーションも非常によく再現しています。階調表現が豊かなカメラを手にしていると、積極的に空を写したくなります。
対物撮影もお手の物です、搭載されているレンズもシャープすぎない所が気に入っています。
広角が28mm始まりである点は現行機と比べるとマイナスポイントともとられがちですが、むしろ、広くなりすぎることによる歪曲を気にせずに撮っていけるとも言えます。広角を使った写真を撮ろうと考えると、必然的に「広く、広く」と意識しがちですが、あえてどんなに広くしても28mmまでしかいかないことが、歪み防止につながります。自分の広く撮りたいという気持ちのままに撮っても、カメラのレンズ側でそれがセーブされるというのは無意識に撮るスナップ撮影などの強力な味方となります。
もちろん、望遠側で被写体をアップで捉えることで、正確な形を表現することができます。
バイクのパーツの美しい形、信楽焼のたぬきのかわいい曲線。
旅先で見つける興味ある物の物撮りにも持って来いです。
広角でのボケ表現はここまでできます。
強烈なボケではありませんが、その場の背景情報も緩やかに残しつつのボケは非常に好印象です。
暗部の階調表現の良さはこの写真を見て頂くと分かると思います。
日陰となる場所に差す光源、明暗差が大きくセンサー性能が非常に試されるシチュエーションですが、非常に満足のいく写りをしています。
およそ10年前のカメラとは思えない写り。今でも初代を使い続けるユーザーが多い事にも納得です。
この写りを持つカメラが2022年9月現在、中古で約3万円台とは驚きです。
季節柄、ポツンと咲いていた彼岸花を見つけました。
赤の発色もナチュラルで良いと思います。
光線の当たっているシチュエーションではまた違った発色なのでしょうが、こういった日陰に咲く花のマットな発色も好きです。
とにかく初代の魅力は「薄い」という一言につきます。
もちろんその代償に液晶画面が非可動であったり、ファインダーが非搭載であったりと、後の後継機では当たり前に備わっている機能が初代にはありません。
しかし、私はその潔さに非常に好印象を覚えます。
機能をそぎ落とすことは一般的にはマイナスと捉えられがちですが、できることが限られるというシンプルさもまた魅力となります。
限られた使い道の中から撮れる最高の写真を狙う。
ある種ストイックともいえる設計思想が初代機からは垣間見ることが出来ます。
総評としては、「原点にして頂点」ともいえる完成された設計思想が垣間見える初代RX100。
後継機にはさらなるAFの強化や画像処理エンジンの刷新、ファインダーや液晶可動式の導入など、便利さを追求した流れはコンパクトデジカメというジャンルの性質上全く当然な流れだと思います。
ですが、シリーズを共通して貫いている「コンパクトのまま高画質」という意思はこの初代から完全に確立しているのだと強く再認識しました。
今後もRX100シリーズの魅力をたっぷりとお伝えしていきますので、ご期待ください。