【マップカメラ情報】『マップタイムズ 週刊アスキー版 vol.2』の撮影後日談
秋葉原のとなりは、お散歩カメラの街だった
先月からスタートしたマップカメラの雑誌広告『マップタイムズ 週刊アスキー版』は、本日!「週刊アスキー」9月29日発売号に掲載中だ。今回は、ライカ限定デジカメを颯爽と使いこなすお散歩カメラの達人が、秋葉原のとなり街・お茶の水に出没すると聞いて、われらが取材班が駆けつけた。いざ、シャッターチャンス!
ある時は黒く、ある時は赤い、台数限定の憎い奴
さっそくだが達人愛用のお散歩カメラとは? 泣く子も黙る1500台限定。キラリと光るブラックボディ。ワンポイントのレッドマークには「L・e・i・c・a」の文字。その名も、ライカD-LUX3。ボディの裏面は全面液晶か!?と思うほどデカいワイド液晶モニターは、さすが風景が張りつくと賞賛された史上最強のファインダーを世に送り出したライカDNAを受け継ぐ機種ならでは。Leica DC Vario-Elmaritなる高性能ズームレンズを搭載し、撮る・観る・魅せるのすべてに卓越したクオリティを叶えている。
デジカメって便利だけど、気に入ったデザインがなかなか……なんて迷いやためらいを感じている人にこそ体感して欲しい優れモノだ。それを裏付けるかのように、こだわり抜いた本物を求めてやまない目利きが、D-LUX3と出合っていた。
聖橋の上で、吹く風に髪をたなびかせ
ライカ限定デジカメを持つお散歩カメラの達人、上島明子さん。本の街・お茶の水で、粋なステーショナリーを扱うギャラリー&ショップ、美篶堂を営むこだわり派の店主だ。店の人気アイテムであり熟練の職人が1冊1冊手づくりする「みすずノート」は、文房具ファンや万年筆マニアの垣根を越えて、いま静かな注目を集めている。
きっとモノには人一倍うるさいであろう上島さんが選んだデジカメが、D-LUX3だったというから気になる。理由をたずねると、「デザインにひとめぼれしたんです」と満足そうに言った。
機能的にも、たとえばワイド液晶は、撮った写真のイメージをしっかり把握できてよいと言う。「お気に入りです」とのことば通り、使い込まれているはずのD-LUX3だが、キズひとつなく大事に扱われていた。
上島さんが撮影した街のスナップをご覧になればわかっていただけるだろうか……人とカメラの幸福な出合いがどれほど満ち足りたものであるか。そのお人柄からだろうか。ただ1台のデジカメを愛用してきた上島さんに、次の名機が訪れたのはこの夏のことだった。上島さんはお父様から、銀色に煌めくボディ、燦然とレンズに光るCarl Zeissの文字、コンタックスG2を贈られたのだった。父から娘へ、時代の流れにも霞むことない名機の輝きは、いま確かに受け継がれた。
カメラとレンズの存在証明──ハッセルを選ぶ理由
尚、聖橋でお散歩カメラ中の上島さんのポートレートは、カメラマン村上圭一氏がハッセルブラッド500CMで撮影した。レンズは、ディスタゴン C 50mm/F4 T*だ。
村上氏に、仕事カメラとしてハッセルを選んだ訳を訊ねると、「正方形のフォーマットは非常に構図を決めるのが難しいのですが、決まるとチョーかっこいい。なので、レコードジャケットなどを研究したりもします。むかしのJAZZのジャケットには秀逸なものが多いです」とのこと。
同じく使用レンズに関しては「レンズはCシリーズという最初のシリーズ。今はCFとかCF-Eとかありますが、Cだとハレーションやゴーストなんかも出てしまいます。カメラ自体も古いので、きっと『中でかぶってんじゃ?』って思うこともあります。でも、この古い機械とレンズを通すことによって、写真を撮っているんだというカメラとレンズの存在証明を残したいと思っています」
あえて古いレンズを選ぶ。そこに、自分だけが感じ取れる時代の個性を認めて。そんな美学が、オールドレンズセレクトの眼としてあっていい。
ちなみにもう1点、美篶堂の作業台の上に置かれたライカ D-LUX3とコンタックスG2の写真には、プラナー C 80mm/F2.8 T*が使用された。但し、ボディはキヤノンEOS 5Dである。アダプターをかませることで、フルサイズCCD搭載のデジタル一眼は、鮮鋭なる名玉と手を組むことができる。ほの暗い室内に響いたシャッター音は、アナログとデジタルのハイブリッドとも呼びうる静謐な一枚を写し取った。
(2008年8月吉日、お茶の水で 撮影・村上圭一(写真上・下2点) 文・白井明大)