今から30年前にそのカメラはありました。
当時、私は中学生でしたので高価なカメラは勿論買えませんでした。
せめて気分だけでも味わおうとカタログを貰いに近所のカメラ屋に行きました。

なんと、カタログを貰いに行ったカメラ屋にそのカメラは鎮座しておりました。

それからです！
用も無いのに学校の帰りにカメラ屋に寄っては「OM-1」を見て近い未来に手にする姿を想像しながら、
「いつかこのカメラを買うんだ！！」と映画のワンシーンの様に長い時間そこにいました。

「毎日が楽しくてしかたがない」、そんな日も長くは続きません。
神様はなんて残酷なんだろう～、毎日見ていたカメラが無くなっているではありませんか。
店のおじさんに聞いたところ「御免ね、売れちゃったよ・・・」。
その日は悔しくてしかたがありませんでした。
「なんで自分は中学生なんだろう！」

それからです、母親をなんとか説得してカメラを買う約束を交わました。
毎週日曜日に練馬から自転車に乗って、カメラの聖地この新宿に来てはカメラ屋巡り。
何とか資金が出来たその矢先に欲しかった「OLYMPUS OM-1」が生産中止に！
でも神様は見捨てなかった。
「OLYMPUS OM-1N」という新機種を用意して下さいました。
欲しかったカメラの進化バージョンということで迷わずこのカメラに決めました。

買ってからは毎日が楽しい日々でした。
中学、高校と写真部でこの「OLYMPUS OM-1N」は大活躍しました。
修学旅行ではカメラ係に任命され、至る所で撮影してました。
高校の写真部の合宿で京都に行きましたが毎日が楽しかったのを今でも覚えてます。
勿論、今でも楽しいですよ。

正直、本当の初恋は「OLYMPUS OM-1」なのですが、買ったのは「OM-1N」です。
迷っている間に新しい物が出た為に買う事が出来ませんでした。
本物の恋も同じですよね。
迷っている間に逃してしまった・・・みたいな。
それでも私の初めてのカメラで、愛しいカメラであることには違いありません。

まあ何でもそうですが、買うまでの間ってワクワク楽しいですよね。
いうまでもなく買ってからの方が数段に楽しいですけど。

その後の初恋カメラですか？
もちろん、今でも私の隣にいますよ。まだまだ現役です。
これからも私のそばにいてね。