筆者が35mmという焦点距離を意識したのは、
もともとAPS-C機用に買ったAuto Nikkor 35/2(Ai改造済み)を、Nikon F100に付けて撮影したときでした。
それまでは街中などでのスナップといえば、いわゆる換算28mm相当を中心に使ってきました。
F100を親戚から譲り受けたときに試してみたのですが、
その時非常に感覚にマッチして、無意識でファインダー越しの世界を感じて切り取りながら、
さくさくと心地よく撮影できたのがきっかけで、35mmという焦点距離のレンズが好きになりました。
Panasonic DC-S1の購入を決めたとき、初めてフルサイズミラーレスを個人所有するということもあって、
「マウントアダプターでパナライ”ツ”がしたい!」と冗談で友人に相談したのですが、
そのときに譲ってもらったのが、「ズマロン M35mm F3.5 眼鏡付」
都内で街中を撮影するのに、筆者の感覚だとちょうどよい画角で、
またS1のファインダーが非常に見やすいこともあって集中しやすく楽しく撮影できました。
ここから「自分は35mmが好きなのだ」と思い、コンデジ含め様々な「35mm」を楽しんできました。
そのうち、Lマウントボディ機を所有していることもあって、どうしても試してみたいレンズが出てきました。
「アポズミクロン SL35mm F2.0 ASPH. 」
最先端のライカレンズ。
色収差を最小限に抑えるためのアポクロマート補正が施されている点で注目を浴びたレンズですが、
「肌の自然な階調表現、ソフトなボケ、細部まで高コントラストで周辺部まで歪曲収差がなくシャープな画質という、ライカならではの非常に優れた描写を実現」
とのメーカーの言葉にもあるように描写力も凄まじいレンズです。
発売当初は在庫薄で、筆者もなかなか触る機会に恵まれませんでしたが、
海外のフォトグラファーさんの作例を見て、その描写力に感動し、いつか手にしてみたい、そう思っていました。
そしていよいよ、究極のズミクロン35mm試すことができる機会がやってきました。
とはいえそのときはなかなか外での撮影はためらわれる時期でした。
なので自宅でいろいろ撮って遊んでみました。
まずは朝、ベランダから一枚。
ボケが非常に柔らかく朝の寝ぼけ眼を感じる優しい描写です。
一方で洗濯ばさみの金属感は損なわれておらず、レンズの表現力を感じた瞬間でした。
こちらも開放での一枚。
元画像を拡大するとよくわかるのですが、
ピンがきている面の生地、そのメッシュの再現には目を見張るものがあります。
S1自体の表現力もありますが、やはりレンズの解像力の凄まじさを思い知ります。
少し絞って一枚。
この春自宅にお迎えしたダンベルセットとジムマット、そして愛用のシューズ。
35mmという焦点距離は、自宅でこうした小物をちょちょっと撮影するのにはちょうどよいです。
またこのレンズは35mmという言葉から想像できるレンズとしては比較的大柄、
重量もそこそこのレンズではありますが、S1のグリップが握りやすいこともあって、
この一枚はファインダーを覗いたまま、左手で小物を動かしながら、
右手片手で持って撮影しています。
これは日々のトレーニングの賜物、ではなく、機材のバランスがよいからこそです。
自宅でずっと撮影していると、
日々の何気ない食事も撮っておきたくなります。
この日のトレーニング後の食事はあり合わせのチキンカレー、
ゆで卵と鶏肉でたんぱく質たっぷりのカレーです。
筆者はテーブルフォトや食べ物の撮影は普段撮らないので、
必要な光源は特に持ち合わせていませんが、
そこはポジティブに捉え、自然な一枚を気軽に撮っておきます。
黄身のグラデーション、ルゥの質感、実物よりも食欲をそそられます。
もちろんこちらも開放での一枚、その描写力の高さに驚くばかりです。
一方で、やはり外に持ち出していろんなものを撮って遊びたい気持ちもふくらんできます。
もうちょっと世情が落ち着いたら、そのときがチャンスかもしれません。