今回のレンズはこちら「PC-E Micro NIKKOR 45mm F2.8D ED」
ニコンのティルトシフトレンズです。
そもそもティルトシフトレンズって何?
という方もいるかと思いますので、簡単に紹介します。
ティルトシフトレンズはその名の通りティルト(チルト)/シフトを用いれるレンズです。
ティルト(チルト)は『傾ける』、シフトは『移動する』の意味で、
レンズ自体の形を変形させることができます。
変形させることで普通のレンズとは違う特殊な効果を生み出せます。
普段はオーソドックスなレンズを好んで使用しているので、今回このレンズに挑戦してみました。
まずはレンズの基本的な機能から見てみましょう。
ティルトシフトレンズは普通のレンズと違い変形機構があります。
そのため、変形機構部分の形がボックス型になっていることが多いです。
ティルトシフトレンズはほとんどの場合、操作レバーの向かい側に小さなストッパーが存在いします。
「L」と書いてある方向に回すと操作軸が固定化されます。
レンズを装着した状態でマウント側を回転できるリボルビング機能を搭載しています。
通常のレンズなら筒状になっているため、
なぜ回転させる機能が必要か一瞬疑問に思いました。
使用してみるとわかりますが、ティルトシフト機構が存在するため、
マウントから先を回転させる機構は結構重要です。
オートフォーカス機能がないため、フォーカスリングは非常に重要です。
マニュアル操作を集中して行う必要があるため、個人的にはちょうどいいリング幅と使用感です。
絞りリングはフォーカスリングの真下にありますが、
誤って操作することは少なく、うまくまとめられている印象です。
ティルトした状態です。大判カメラを使用する方は横方向のティルトは「スイング」と呼ぶらしいです。
このようにレンズを変形させて曲げられます。
たとえば被写体を限りなく真上から撮影したい場合、
ティルトさせて撮影面と角度を合わせるとこで全体にピントを合わせることができます。
また、被写体面と逆にティルトさせることでピント範囲を狭めることもできます。
有名なのは逆にティルト状態の撮影でミニチュアのような撮影ができる事でしょうか。
ティルト、逆ティルトの角度は±8.5°です。
通常の状態での撮影とティルトした撮影を比べてみましょう。
このように被写体面に合うようにティルトした状態だと全体的にピントが合います。
身近なところだとレストランのメニューの写真撮影等で使用されます。
被写体面と逆側にティルトすると、このようにピントが合ている部分が強調されます。
その結果、ミニチュアのような写真になります。
最近のデジタルカメラには画像効果でミニチュアモードやジオラマモードとして搭載されています。
スマートフォンの画像編集アプリでもミニチュア、ジオラマ加工するものもあり、面白い写真効果の一つです。
シフトした状態です。
マウントから先をこのようにスライドさせるとこが出来ます。
画像では上側にシフトしていますが、下方向へのシフトも可能です。
少し高い位置から撮影したい時や、見ている構図より低い位置で撮影したい時に有効です。
シフトの幅は±11.5mmです。
例えば、高層ビルなど、全体を入れようとするとローアングル撮影になってしまうため、
被写体の上部がすぼんだ状態になってしまいます。
シフトを使用することですぼみを抑えることができます。
もう一つの特徴として、撮影者が映り込んでしまう被写体の撮影もシフトは有効です。
例えばガラス越しの撮影や、額縁に収められている作品の撮影で使うと、
自分を写しこむ心配がないです。
普段はオーソドックスなレンズを使用しており、まず触ることがなかったティルトシフトレンズ。
使ってみると非常に面白く、1本持ってみても良いのでないか、と感じました。
今回はとにかく弄り回して感覚で撮影してましたが、ティルトにはちゃんとした計算式があり、
ティルトシフトレンズをマスターするにはそれなりに大変そうではあります。
しかし、オーソドックスなレンズならあり得ない写真撮影ができるのは魅力的です。