
こちらの続きです。
五番目、「ススキ(芒、 薄)すくすくと立つ木)」です。
この「ススキ」は別名、尾花(おばな)・萱(かや)とも言います。
尾花は、万葉集の歌での古名で動物の尾(馬)に見立てて呼ぶこともあります。
有名なところで、幽霊の正体見たり枯れ尾花です。
枯れても、へなっとならず、立っているからでしょうか。
萱は茅葺屋根の材料になったものから付けられています。
秋から冬にかけて、若い穂、銀色に輝く穂、枯れ穂が写真のモデルの貴重な植物です。
ですが、最近北欧では、日本でセイタカアワダチソウが猛威を振るって繁殖したように、大繁殖して困っています。
六番目、「ナデシコ(撫子)実際はカワラナデシコ」です。
別名、「大和撫子」日本の女性を引っかけているわけではありません。江戸時代、中国から渡来したカラナデシコと
区別するため在来種をこう呼びました。
種は薬になるそうです。薬効として、利尿、むくみ、膀胱炎に効く様です。
「撫子」という意味は、子供のようにかわいくてなでてしまいたいほどの可憐さなので、「なでし子」から転じてナデシコと
呼ばれるようになりました。
最後、七番目「クズ(葛)」です。
根は、食用、薬用に使われます。薬用では葛根湯の原料になります。食用では葛湯、葛餅になります。
また、茎で籠や縄、布を織りました。
ただ、今私たちが食べてる葛餅は、これを使って物はほとんどなく小麦粉のデンプンのようです。
京都の有名な葛切りは、本物を使ってるようです。
花は甘い香りと蜜があるようで、蟻が群がっているのが分かります。
葉っぱたちのなかに隠れているので、花が咲いているのが分からない人もいます。
ツル植物の少ないアメリカでは、工事で発生した裸地などの緑化に苦労してました。
そこで、荒れ地に生育する植物の1つとしてクズが選ばれ、持ち帰られました。
裸地の緑化にクズは大成功し、飼料としても優秀であったこともあって重宝がられましたが、
あまりにも、繁殖力が強く電線を切断したり牧場の小屋を覆ってしまうなどの被害が出て強害雑草に海外では残念ながらなってます。
五番目のススキと同様に海外で、アメリカ東南部を中心に大繁殖してます。
ただ、本国では悪さすることはありません。
和名はかつて葛粉の産地が大和国(奈良県)の国栖(くず)地方から付けられました。
【参考文献】
大きくて見やすい! 比べてよくわかる! 山野草図鑑 (朝日園芸BOOKS) 金田/洋一郎(著) 朝日新聞出版
色と形で見わけ散歩を楽しむ花図鑑 大地佳子, 小池安比古他 ナツメ社
日本の薬草 フィールドベスト図鑑 監修: 矢野 亮 出版社: 学研
色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑 高橋修 (著), 藤井伸二 (監修) ナツメ社
持ち歩き! 野草・雑草の事典532種 金田 洋一郎 金田 初代 (著) 出版社:西東社
最新版 街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本―収録数600種以上!岩槻 秀明(著) 出版社秀和システム
牧草・毒草・雑草図鑑 清水 矩宏 (著), 森田 弘彦 (著), 宮崎 茂 (著), 広田 伸七 (著)出版 全国農村教育協会
美しい花言葉・花図鑑‐彩りと物語を楽しむ‐二宮 考嗣 ナツメ社
四季の雑草図鑑 稲垣 栄洋 (監修)出版社 : 宝島社
あとがき
その1で書いたように、春の七草は食べられる草に対して観賞用と秋の七草を言いましたが、
色々調べると、薬、薬草になるものがほとんどだと分かりました。
また、秋の七草は一斉に咲くのでなく、
6月から9月にかけて秋の訪れを知らせてくれる草花たちで姿を現すのがバラバラで少々、撮影に苦労しました。
三回に分けて「秋の七草」お付き合いいただきありがとうございました。