【Canon】マクロとフォーカスブラケットの話
貝類をはじめとした軟体動物は世界に約85000種がいると言われています(Rosenberg, 2014)。
食卓に並ぶアサリやシジミの二枚貝やサザエなどの巻貝、さらにはアワビやタコ、イカ等も軟体動物です。
陸上にもカタツムリやナメクジが生息しています。
そんな彼らの多くは貝殻をもって生きています。
どのようにしてこの形を作っているのか…はまた別の話ですが、
今回はCanonのEOS RPとRF35mm F1.8 MACRO IS STMを使用して、筆者が所有している貝殻コレクションの一部を撮影してみました。
今回使用している撮影機材は、CanonのEOS RPとRF35mm F1.8 MACRO IS STMです。
軽量なこの組み合わせは、マクロ撮影にうってつけです。
また小型ながらフルサイズセンサーであるため、ボケ量が非常に大きくなっています。
貝殻は装飾品や飾りとしてだけでなく、その生き物の種を特徴づける情報の一つで、ときに重要なものになります。
そのような場合、”記録”として貝の全体をくっきり撮影したいということが出てきます。
しかし、近接撮影になればなるほどピントが合って見える範囲である被写界深度というものが浅くなります。
先ほどの写真のように高さのある貝だと、被写体である貝殻のすべてが被写界深度に入らず一部がぼけてしまうのです。
では、絞ってみるとどうなるか。
絞ることによって被写界深度は深くなりますが、貝殻全体にピントを合わせようとすると最大近くまで絞ることになり、今度は回析現象などの影響でシャープさが失われてしまいます。
そのため、深度合成ということを行います。
これはピント位置をずらしながら複数枚の写真を撮影し、それら写真のピントが合っている部分だけを合成していくという手法になります。
これまではピントをずらす作業は手動で、合成を行うのも外部のソフトを使用して行うことが一般的でした。
ところが最近では、カメラが自動的にピント位置を変えながら連続撮影してくれるものや合成までカメラ内で処理してくれるものが増えてきました。
今回使用しているEOS RPも自動的にピント位置を変えてくれるフォーカスブラケット撮影モードを備えています。
そのためピントをずらす作業をカメラ本体で行ってくれます。
では実際に撮影してみましょう。
さきほどのナンヨウダカラの殻口(腹面)側。
背側は滑らかなのに対し、殻口は両側に歯状突起が並んでいます。
このように先ほどの写真と違うことが分かるかと思います。
貝殻の一番手前から奥にかけてピントが合っています。
また記録として使用する場合、ここにラベルや縮尺を添付したり、カラースケールを挿入することもあります。
フォーカスブラケット撮影の注意点として、カメラに対してどのレンズでもできるということではありません。
以下のレンズが フォーカスブラケット撮影に対応しています(2020/5/20現在)。
・RF35mm F1.8 MACRO IS STM
・RF50mm F1.2 L USM
・RF28-70mm F2 L USM
・RF24-105mm F4 L IS USM
・EF16-35mm F4L IS USM
・EF24-70mm F4L IS USM
・EF100mm F2.8L マクロ IS USM
・EF180mm F3.5L マクロ USM
・EF-S35mm F2.8 マクロ IS STM
・EF-S60mm F2.8 マクロ USM
いかがだったでしょうか。
作品としてはやはりカメラ特有のボケを活かした写真が綺麗だと筆者は思いますが、
記録という観点では、ボケではなく全体がより鮮明に写っていることが重要な場合もあります。
マクロレンズ、そして今回使用したEOS RPをはじめとしたカメラを用いることで
簡単にその両方を撮影することができます。
おうち時間で家にいる時間が長い今、
普段愛用している小物やアクセサリーなどなど、自分の好みで様々撮影してみるのはいかがでしょう。