【FUJIFILM】ネガったりかなったり
【 1/60 | F2 | ISO 800 | クラシックネガ 】
今年は「待望の」という言葉がよく似合う商品がいっぱい登場する年のようです。
FUJIFILM Xシリーズのレンズ交換式カメラがここ数年で劇的な進化をしていくなかで、
果たしてX100シリーズの後継はどうなるのか、注視していた方も多いと思います。
「防塵防滴仕様になって欲しい」「背面液晶はどうなるのか」
さまざまな思いがファンの方々にもあったと思います。
そうした思いへのFUJIFILMからの答え、5代目となる本機。
個人的には、「クラシックネガを手軽に楽しめる機種だといいな」と思っていたので、
進化した分、より手軽で気軽に楽しめると思い、
あえてラフに撮影に出てみました。
【 1/350 | F2 | ISO 160 | クラシックネガ 】
出かけた先は歩き慣れ、撮影し慣れた街。
フイルムカメラを持ち出したこともある街です。
天気はくもり、今にも雨が降り出しそうな雰囲気。
なんとうってつけの天気でしょう。
昔どこかで見た話しですが、記憶から街や場所を思い浮かべるとき、
慣れている場所ほど「くもり空」の状況を無意識に人は思い浮かべるようです。
昔、フイルムカメラで撮った思い出、
そういった雰囲気に浸り、ノスタルジックになるにはうってつけです。
【 1/1250 | F2 | ISO 160 | クラシックネガ 】
グレイン・エフェクトはフィルム写真が持つ独特の粒状感を再現する機能です。
X-Pro2で初めて搭載され、注目された機能です。
このグレイン・エフェクトとクラシックネガの組み合わせで、
どんな画が出てくるのか、その好奇心が今回の撮影のきっかけです。
今回の撮影では、クラシックネガでの撮影は、
すべてグレイン・エフェクト「強」、粒度は「大」で撮影してます。
メニュー画面でグレイン・エフェクトの項目で、
STORNG
LARGE
と表示されるのが個人的には印象的でした。
画作りの面でいえば、この一枚でもボケた背景や灰皿の影などにその手ごたえを感じることができます。
【 1/8 | F8 | ISO 250 | クラシックネガ 】
【 1/8 | F8 | ISO 160 | クラシックネガ 】
X100Vは4段分のNDフィルターを内蔵しています。
曇りの日の日中ならば、このくらい流した撮影も思いのまま、
フィルターの付け替えをしなくても手軽に楽しむことができます。
流れて残像になったところに、独特の粒状感を感じることができます。
フイルムとはちょっと違うように感じるかもしれませんが、
この独特の画作りはまた違った表現でも活かせそうです。
【 1/1800 | F2 | ISO 160 | クラシックネガ 】
これまでのカラークロームエフェクトの派生として、
青い被写体のコントラストを調整し、
青の濃度を高めた画作りを楽しむことができる「カラークロームブルー」という機能が、
X100Vでは新たに追加されました。
この機能とクラシックネガ、そしてグレイン・エフェクト「強」「大」を組み合わせて撮影してみます。
【 1/1600 | F2 | ISO 160 | クラシックネガ 】
日光や風に晒され、独特な風合いになっているデニムが、
この設定で撮影してみると、実物よりもより渋みを持って感じられます。
風合いの表現も見どころですが、
個人的にはピント面から外れた、バイク後部の白くなった部分の表現に注目してしまいます。
トップ画像でもそうですが、少し白飛びするような被写体だと、
より「ネガっぽさ」を感じることができると思います。
【 1/1600 | F2 | ISO 160 | Velvia 】
ちょっとここらで一息、グレイン・エフェクトをOFFにし、
フィルムシミュレーションもVelviaに変えて気分転換しましょう。
X100Vのレンズは新設計、メーカーページいわく、
絞り開放から高い解像力を発揮し、最短撮影距離から無限遠まで極めて鮮鋭な像を形成することが期待されたレンズです。
この一枚でも、レンガとそのペイントが平坦にならず、
そのでこぼこ感や、塗りの表現を感じることができます。
これはこのサイズのカメラのレンズとしては驚異的ではないでしょうか。
純粋な撮影も十分に楽しめるカメラだと感じた瞬間です。
【 1/1100 | F2 | ISO 160 | ACROS 】
ここからはモノクロのフィルムシミュレーション「ACROS」と、
そしてグレイン・エフェクト「強」「大」を組み合わせて撮影したものをご覧いただきましょう。
クラシックネガ目的で持ち出してみましたが、
せっかくの機会です、ACROSでもグレイン・エフェクト「強」「大」との組み合わせを楽しんでみます。
こちらはガラス越しの撮影ですが、
それ故にわずかに描写が甘くなっていることもあって、
ほどよくノスタルジックな仕上がりです。
あえてソフトフォーカスフィルターなどと組み合わせるとどうなのるか、興味がわきます。
【 1/250 | F2 | ISO 320 | ACROS 】
モノクロでこそ映えそうな被写体があったので、ACROSに切り替えて一枚。
同じ設定とはいえ、
背景の粒状感からクラシックネガのときとはまた違った「フイルムっぽさ」を感じることができます。
よくデジタルカメラでのモノクロ撮影のハウツー本などでは、
ISO感度を上げて生まれる「ざらつき」をうまく利用して、粒状感に近い表現をおこなう手法が紹介され、
筆者もやっていたことがありますが、
それらとは全く異なる、ほんとうに「フイルムっぽい」粒状感。
この「強」の設定が大げさに感じるか、ほどよく感じるかはひとそれぞれかと思いますが、
だからこそ、ぜひ強弱使い分けて、自分だけの表現を編み出したいところです。
【 1/60 | F2 | ISO 1250 | ACROS 】
黒猫ってモノクロで撮りたくなりませんか?
この黒猫さんは、とても人間慣れしているので、逆に普段、カメラ目線をくれない子です。
今回もなかなかカメラに興味を持ってくれなかったのですが、
じっくり待ってタイミングを探し、ここぞというところでレリーズ。
従来機よりもより静かに撮影することができるX100V、
黒猫さんを驚かせることなく撮影できています。
【 1/70 | F2 | ISO 160 | ACROS 】
やや駆け足気味ではありましたが、
X100Vを持ち出し、クラシックネガやグレイン・エフェクトなど、
注目機能のいくつかを試してみたものをご紹介いたしました。
なお今回の撮影ですが、
フィルムシミュレーションや各エフェクトの効きを確認しながら撮影したかったので、
慣れるまではEVFを多用して撮影して撮影してみましたが、
途中慣れてからは、このように片手ポケット、
片手でX100Vを握ってラフに撮影していました。
OVFが魅力のシリーズではありますが、
EVFは従来機に比べ格段に見やすくなっており、また液晶も高細化されたこともあって、
より様々な撮影スタイルにフィットするカメラになったと思います。
本来の目的であった「クラシックネガを手軽に楽しむ」という目的を達成しつつ、
様々な機能を堪能できた今回の撮影、まさに願ったり叶ったり、
いえ「ネガったりかなったり」な一日でした。