【FUJIFILM】極上のヴィンテージトーンを撮る
湿気が多いこの季節、ギターやベースは本当にネックが反りやすい季節です。そんな中での「楽器シリーズVol.8」はネックがとても太くて反りにくい、この時期にとても重宝するギターを「FUJIFILM X-T20」に「フジノン XF 35mm F1.4 R」を付けて撮影してみました。このコンビネーションは軽くて本当に快適ですね。
ギターをあまり知らない人でもこの形は見たことも多いのではないでしょうか?自分の「楽器シリーズ」には何回か登場しておりますが、ESPという日本のメーカーでオーダーメイドしたLPスタイルのギターです。LPスタイルというのはGibson社のLesPaulというシェイプのギターになります。
オーダーメイドというものの、材の構成などはGibson社の1959年のLesPaul Standardにほぼほぼ準じており、音色はとても美しく極上のヴィンテージトーンを出してくれます。
Gibson社の「LesPaul」というモデルは1952年ジャズ・カントリーギタリストの「レスター・ウィリアム・ポルスファス(略してレス・ポール)」氏のモデルとして開発されました。
今はエレキギターの代名詞とも言われるこのギターですが、その中でも1958年~1960年に生産されたトップのメイプル材がサンバースト塗装されたものは「Burst」と呼ばれ、とても希少なものになります。
その1958年から1960年の「Burst」の写真がたくさん掲載されたムック本で「THE BEAUTY OF THE BURST」というものがあり、その中にアメリカのギターコレクター「ブライアン・ブロックス」が所有していた通称「Brock Burst」という機種があり、そのギターの木目と色が大好きでした。
オーダーメイドする際にトップには「Brock Burst」に近しい木目の出た「ハードメイプル」材を用意してもらいました。かなり大きなうねりの出たメイプルになります。
ブリッジには1959年当時にも採用されていた「ABR-1」タイプのTune-O-Maticにアルミテールピースという仕様です。基はピカピカのパーツだったのですが、弾いてくうちにどんどん金属が腐食していって良い感じでくすんできました。ノブも1959年当時と同じゴールドのハットノブを使っています。
トップのアーチもとても綺麗です。ピックアップカバーも金属部分が腐食し始めていてとても良い感じな仕上がりになっています。ネックやボディのバインディング(縁取り)は元々真っ白だったのですが、オーダーして10年以上たっているのでこれもイイ感じに黄ばんできました。
指板には1959年当時にも使われていた「ブラジリアンローズウッド」が採用されています。位置を示すポジションマークですが、こちらだけ仕様に準じておりません。1959年当時や今のGibson社のLesPaulも「パーロイド」というパールに見せかけたセルロイドが採用されているのですが、自分はここは本物のパール(白蝶貝)にしました。自然なパールの輝きが好きなものでここはあえてオリジナルにさせてもらいました。
ヘッドTOPはESP社のトラディショナルスタイルのギターのラインの「Navigator」のロゴと「Limited MODEL」のインレイ。通常はここに「LesPaul MODEL」のインレイが入ります。書体とかはかなり似せてますね。ネック裏にはネックの強度を上げるために「ボリュート」を採用しています。こちらも1959年当時にはなく仕様には準じておりません。なぜ付けたかというと「ネックは強いに越したことがないから」です。ヘッドの裏にはシリアル番号が入っているのですが、掲載に伴いまして消させていただきました。
ボディーバック材は「ホンジュラスマホガニー」の1ピースを採用しております。奇麗な柾目で見てるだけでもうっとりします。
最後は全体像を楽器屋風に撮ってみました。色々なシェイプや構造のギターを所有してきましたが、やっぱり50年以上変わらず愛されているシェイプには理由があると思いました。弾きやすいかと言われると決してそうではないのですが、「音色」と「弾いていて楽しい!気持ちいい!」と思いますね。最高のギターです。