【FUJIFILM】X-T4で使う『銘匠光学 (めいしょうこうがく) TTArtisan 35mm F1.4 C 』
安価帯の単焦点レンズは国内メーカーからも発売されていますが、その価格は安くても2〜3万円ほど。
このレンズ安いっ!と思っても、よくよく考えると「3万だよなぁ」と思ったりします。そのお金でダイワ・ルビアスやシマノ・ヴァンフォードが買えちゃいますから。あ、これはリールの話です。ご飯と寝ている時以外は毎日釣りの事ばかり考えて生きている人間なので。
そんな中で注目したいのが中華ブランドの新興レンズメーカー達。ここ近年はイケイケドンドン的な凄まじい勢いなのです。
多くがMFの単焦点レンズではありますが、F1.4・F1.2・F0.95など明るいレンズにも関わらず価格が驚くほど安い。もう、どうなってんの?というレベルで安いのです。
しかし、中華ブランドのレンズに興味がありつつも、なんか怖い。何が?と聞かれても難しいのですが、やっぱり何かが怖い。そう思っている方もいるのではないでしょうか。そんな不安を解消すべく、Kasyapa担当スタッフである筆者が実際に中華レンズを使用し、お世辞抜きのレビューしたいと思います。
今回選んだのは
『銘匠光学 (めいしょうこうがく) TTArtisan 35mm F1.4 C』 ※FUJIFILM Xマウント
マップカメラの新品価格は驚きの8,910円!
もう一度言います、8,910円です!(※2020年12月26日現在の価格)
諭吉さんを出しても英世さんが返ってくる衝撃プライス!
正直、驚きと同時に不安を感じずには要られない価格です。ちゃんと写るの? 壊れない? それガラス? みたいな。
まずは外観や仕様、感触などを確かめてみましょう。
レンズはF1.4にしては少し小ぶりな印象ですが、ライバルの『七工匠 (しちこうしょう) 7Artisans 35mm F1.2』よりレンズ枚数が多いため、こちらのレンズの方が長いです。
鏡筒にレンズ構成が描かれている通り6群7枚のダブルガウス型。
面白いデザインをしていますが、絞りとピントリングが別れているため、操作性は悪くありません。
そして、もうお気付きの方もいらっしゃるでしょう。あれ?“あのレンズ”に似ていない?と。
というわけで、“あのレンズ”と並べてみました。
似ている…いやいや、きっとカッコいいクラシックデザインの『Voigtlander (フォクトレンダー) HELIAR 50mm F3.5 Vintage Line VM』に激しくインスパイアされたのかもしれません。
良いデザインは様々な情報や経験を自分の中に取り入れて、そこから生まれてくるもの。学生時代にエライ先生から教わりました。
最短撮影距離0.28m。絞りはF1.4-F16。絞り羽根は10枚と、なかなか贅沢な作りです。
ヘリコイド(ピントリング)のトルク感は少し軽め。滑らかさは国産MFレンズと比べると若干のシャリ感(リール用語)があるものの、変なガタつきや精度の悪さはなく、価格を考えたら十分納得できる完成度です。
では肝心の写りはどうなのか、実際に撮影してきた写真をご覧いただければと思います。
初めに言ってしまいますが、ビックリです。
【使用したカメラ:FUJIFILM X-T4 / フィルムシミュレーション:クラシックネガ / 全てJPEG撮って出し / 使用絞り値:F1.4〜F4】
これは参りました…安いのにめちゃくちゃ良い感じに写ります。
フィルムシミュレーションによって味付けはされているものの、開放からピントの芯を感じられる描写力。周辺四隅は若干の甘さはありますが、それがクラシックネガの雰囲気にどハマりしました。
強い光を入れるとフレア・ゴーストが派手に出ますが、あえて生かした写真の方が面白いレンズかもしれません。写真にとって必ずしもマイナスではない要素です。
絞れば解像感が増すのは当たり前。とはいえ、結構細かいディテールまでしっかり写します。これは中々すごいなと。
開放からフリンジも抑えられていて、ボケ味もなだらか。まぁ、あえていうなら少し二線ボケの傾向は見られますが、素直で優秀な写りと言って間違いありません。
この描写力で8,910円…もう、どうなっているんでしょう。はっきり言ってバーゲンプライス過ぎるというのが本音です。
某動画サイトでも絶賛されていましたが、筆者も急いですぐ買っても決して損はしないレンズだと感じました。これは良いレンズです。
仮にXF35mm F1.4Rを持っていたとしても、クラシックネガを使用してフィルムテイストを出したいのであれば『銘匠光学 TTArtisan 35mm F1.4 C』は非常に面白いレンズになるだろうと思いました。