現行のLeica純正Mマウントレンズで最も長い焦点距離を誇るアポテリート M135mm F3.4。
普段あまり使用しない画角の望遠レンズですが、その存在はずっと気になっていました。
元来広角レンズと相性が良いレンジファインダー機で、135mmのピント合わせは可能なのか。
写りはどうなのか。
それを解明すべく、試して参りました。
使用カメラはLeica M10-P、絞りはF5.6です。
結論から申しますと、レンジファインダーでのピント合わせ(特に最短撮影距離付近)は非常に難しく、F5.6に絞った状態でもジャスピンとはいきませんでした。
(筆者の視力は両目とも0.7で、乱視矯正の眼鏡をかけています)
その為このブログで紹介している写真は、記載がない限りLeica ビゾフレックス(Typ020) を使用しています。
拡大機能を使いピントを追い込みました。
描写に関しては、車の金属感をあまり強調せず、色のグラデーションを丁寧に写し撮っているように見受けられます。“ぬるっとした感じ”と例えればよいでしょうか。
“ぬるっとした感じ”と言うと、思い浮かぶのは水。ならばと撮ってみたカットがこちらです。
絞りはF5.6のまま。思惑通り、独特な滑らかさで水が表現されました。
船や岩には立体感があるのですが、リアル路線ではなく絵画的に描き出しています。
ハマる時にはハマる。
そういうレンズな気がします。
先ほどまでは被写体から数メートルの距離でしたが、今度はもっと離れてみましょう。
このカットはF4で撮影していますが、どことなくソフトな感じ。
シャープネスやコントラストではなく、「色とグラデーションの量」で描く事がこのレンズの売りだと感じました。アポクロマート補正機構を搭載した事が作用しているのかもしれません。
また、どちらかと言うと近距離の被写体が得意なタイプです。
高周波の被写体を画面に入れても、2線ボケは見られません。
曇天時はコントラストがさらに下がるので、フィルム撮影にも向いていそうです。
軟らかい、優しい、でも必要十分な解像力。これがこのレンズの魅力…!
こちらはレンジファインダーを使用して撮影した唯一のカットです。
帰路に就く時間が迫り焦る中、どうしても「一枚くらい距離計で合わせたい」と思い挑戦しました。
嬉しいことに、ちゃんと狙った所にピントが来ていて大喜び。
これ程の夕日を浴びながら、軸上色収差は右下にほんの僅かに出た程度。アポクロマートの力は偉大です。
玉ボケの形が非常に整っており、上品で嬉しくなりました。
かねてより疑問だった「レンジファインダーで135mmはどうなのか」、「アポテリート M135mm F3.4の写りはどうなのか」。
その答えは、
・低めのコントラストとリッチな色表現で絵画的な写りをするレンズ。近距離~中近距離の描写が特に良い。
・レンジファインダーでのピント合わせは大変難しいので、ライブビューやEVF※があると良い。
※(M10シリーズにはビゾフレックス(Typ020)、M(Typ240)系ならEVF2)
となりました。
お付き合いいただきありがとうございました。
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