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【Leica】マップカメラが選ぶライカレンズ10 ~Leica Summilux M50mm F1.4 1st~

【Leica】マップカメラが選ぶライカレンズ10 ~Leica Summilux M50mm F1.4 1st~

2023年2月20日、Leica Boutique MapCamera Shinjuku は10周年を迎えます。
マップカメラのブログサイトであるTHE MAP TIMESでは、よりライカの世界を楽しんでいただけますよう、専門店スタッフによる関連記事や動画コンテンツを順次掲載してまいります。ぜひお楽しみください。

さて、マップカメラが選ぶライカレンズ10ということでスタッフ一押しのレンズをご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは「Leica Summilux M50mm F1.4 1st」です。


1959年、ズマリット50mm F1.5の後継レンズとして発表されたズミルックス 50mm F1.4。
ライカレンズの中でも、当時最も明るいレンズとして登場しました。
レンズ構成は5群7枚で、光学設計上は先代のクセノンやズマリットに酷似しています。
その後、1961年同じ5群7枚ながら設計を大幅に変更。2群目の貼り合わせ面に空気レンズを採用し、結果としてコントラストの向上が図られました。
(ただし、ライツはその設計変更を1966年まで公表しなかったという逸話が残っています。)
そのため、その1961年シリアル・ナンバー 1844001番以降を「2nd(第二世代)」とか「後期型」と称し、設計変更前のモデルは「1st(第一世代)」とか「初期型」などと呼ばれています。

~「貴婦人」と称されるレンズ~
ライカのレンズ、とりわけオールドレンズの中には素晴らしい金属加工を施した、工芸品を思わせるようなレンズが多く存在します。
中でもこのズミルックス M50mm F1.4 1stの鏡胴の造形は、群を抜いて美しいものになっています。
レンズ根元部分やピントリングに施された繊細なローレット加工、上質なクロムメッキの輝き。その優美さは、道具としての粋を軽く超えています。
さらに撮影してみてわかるこのレンズ特有の繊細な描写表現。
このレンズが「貴婦人」と呼ばれ、昔からファンの非常に多いことも容易に納得できます。

美しいローレット加工

なお、このピントリングの刻み、通常モデルはリングの凹部にローレット加工が施されているのですが、ズミルックスが登場した極最初期のレンズに凸部に加工が施されたものが存在します。
通称「逆ローレット」と呼ばれ、生産数は1000本とも数百本とも言われ、正確な数はわかっていません。
極初期のプロトタイプとも思われますが素性が定かでなく、市場では希少性の高いレンズとして取り扱われています。

右が通常のもの、左が「逆ローレット」。
それだけの違い、と考えるか、その違いにライカの深淵を感じ取るか。私は後者の側の人間のようです…

その他、バルナックライカユーザーの希望に応え、スクリューマウントのものも生産されました。生産数548本とも言われ、こちらも希少モデルとされています。

左がスクリューマウント「ズミルックス L50mm F1.4(オリジナル旧マウント)」です。

かなり丸みを帯び突出した前玉
43mm径ですが、通常のフィルターだとレンズ前玉表面とフィルターのガラスが接触してしまう恐れがあります。フィルターには専用のものが必要となります。

今回、東京駅周辺や有楽町、そして銀座を散策した時の写真を掲載します。
実は少し前、妻と銀座でランチを取る機会がありました。(「銀座でランチ」いい響きだ…)
その時持っていったのは、標準ズームを付けた小型のミラーレス一眼カメラ。
気の向くままに数枚シャッターを切ったのですが、「なんか違うな…」
「街中の雑踏はライカに標準レンズ1本で切り取りたい!」
食後に立ち寄ったGINZA SIXの書店で、好きなライカ遣いのカメラマンたちの写真集を手に取ってしまったせいでもあります。
その時の想いもあり、私の手にはズミルックス M50mm F1.4 1st付きのM11が。何とも贅沢な組み合わせです。

丸の内の通りに出ていたキッチンカー。前後がなだらかにぼけ、自然な存在感が出ました。

少しアンダーに補正して光を出しました。
背板部分にピントを合わせたのですが、座面の黄色がボケというより滲んだ感じになりました。
ズミルックス 50mm 1stは滲みの美しいレンズとしても有名です。
先代のズマリットのようにボヤボヤになってしまうのではなく、芯を残した滲み方が特徴。
ただ個体差もあるらしく、以前数本で試したところ、滲み具合はまちまちでした。

有楽町駅横のガード下にて、モノクロモードでの撮影。
金属のサビ具合まで見事に表現されています。
およそ60年前のレンズですが、その描写力は最新6000万画素のセンサーでも十分発揮できているように思います。

今度は少し絞って。途端に精緻な描写になります。
モノクロでの金属描写はクセになります。

先ほど「雑踏を切り取る」なんて格好いいこと言いましたが、いざ銀座に着くとなかなか人にレンズを向けることはできませんでした…

眩しくて肉眼では捉えられなかった情景も、M11とズミルックス50mm 1stの組み合わせは隅々まで再現してくれました。

ガラス越しですが、ピント合焦面はそれを感じさせず、革のシボや表面に付いたチリまで写し出しています。

ふと眼に留まった街路樹を。花?部分にピントを合わせ絞り開放で。バックは絵画的なボケになりました。


見ていた写真集の影響もあり、隙間から何枚も撮っていました…

雨の東京駅前。
よく見ると、アスファルトに塗った白線の塗装の凹凸まで分かります。


木肌の質感、下の布地のなだらかなボケが気に入っています。バックの光源は車のライト。

絞り開放で撮るとこんなにも幻想的に。像の光沢が滲み、金属なのにソフトな印象に。


大分暗く、そして寒くなっていましたが、光源ボケが面白くてなかなか場を離れられずにいました。
M11に手ブレ補正機構はついていませんが、下の写真ISO200でありながら絞り開放で1/200秒でシャッターを切れました。大口径レンズの恩恵を感じつつ、ようやく家路に。

絞り開放ではピントの芯を感じさせながらも、繊細で柔らかな描写に。絞ればキリっと精緻な表現に。
その変幻自在な写りが楽しくて、1日中使っていても飽きのこないレンズ。
ズミルックス M50mm F1.4 1stは、他では味わえない愉悦をもたらしてくれます。

 

 

 

[ Category:Leica | 掲載日時:23年02月15日 18時30分 ]

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