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【Leica】衝撃的な「アポズミクロン SL35mm」を振り返る

【Leica】衝撃的な「アポズミクロン SL35mm」を振り返る

あれはたしか2019年の夏ごろ。
Leica SL(Typ601)にアポズミクロン SL35mm F2.0 ASPH.を付けて撮影に出かけた日のことです。
電車に乗りながら、うんざりするような梅雨の名残を眺めていたのを覚えています。

一見すると、写真である事すらも疑いたくなるほどに緻密な描写…
憂鬱だった雨を被写体へと変えた魔法…

もう2年以上経ちましたが、褪せることはありません。
最高のレンズをお楽しみください。

傘を差しながらふらふらと、カメラのオートフォーカスとホワイトバランスに頼り切って1枚。
落ち着ける場所で確認するまでもなく、プレビューだけで「このレンズはやばいぞ」と気がつきました。

この時はまだSL2が発売されておらず、使用したのは初代SLです。
つまり画素数は2400万画素。
絶対的な評価をするならば十分すぎるほどのスペック。
しかし、昨今の高画素機と相対的に数字を比べれば超高画素、とは言えません。

それでいてこの写り。

当時からラインナップされているSLレンズは全て格別な価値を持った一本一本です。
しかしそれらを頭一つ凌駕するレンズの誕生に立ち会った気がします。

元画像であれば、どれだけパソコン上で拡大せど留まることを知らない「表現」の力。
数メートル離れた数ミリの水滴が、空気を通ってここまではっきりとセンサーに結像するものなのかと驚きました。
もはや人間の目では遠く及ばない領域であることは火を見るよりも明らかなのです。

窓ガラスを前に立ち止まり、シャッターを切る前にせざるを得ない覚悟。
それは「こう写るんだろうな」という予想のはるか上空を通過する成果に対するものです。

「こんなに写るんだ」というよりも、むしろ「こんなに写ってしまうんだ」と、そう感じました。

表現の難しい水面であろうと、何ら問題なく、被写体を選ぶ事を知らぬかのように振舞うこのレンズ。
この時間にはもうすっかり雨もやみ、被写体である雨が止んだことに腹を立てるまでに虜となっていました。

さて、ご紹介できる写真も残り数枚ではございますが、雨上がり、暮れゆくかつての東京を写します。

色の表現にセンスが問われる被写体です。
夕暮れ、商店街の明滅する街灯と、マジックアワーの一番最後を背に背負った硝子、それ本来の持つ色。

撮って出しで表現できる色としては出来過ぎているほどに、印象に違わぬ写真を残してくれました。
もちろん硝子のつやつやとした質感を損なうことなく。
硝子の縁の、古いガラス製マグカップを思い起こすような滑らかなテクスチャも余すことなく。

物語の一場面を、シャッターを一つ一つ切る毎に見せられている様な感想を持ちました。
主人公の居ないそのストーリーは漠然としながらも時間を経るごとに展開していき、撮影者は監督していることも忘れて次の1枚を求めます。
そんな、「自然な撮影欲」を生み出すことのできるレンズでした。

写真が上手くなったように感じるカメラやレンズ、という存在について耳にする事があります。
このセットはその話を飛び越えた先にある「何かを生み出せるカメラとレンズ」であると感じました。

『衝撃的なレンズ』
カメラを10年くらい見ていると幾度か遭遇することはありますが、
私の中で「Leica アポズミクロン SL35mm F2.0 ASPH.」は特筆すべき1本であったことは間違いありません。

この撮影から数か月後の2019年11月には、有効画素数4700万画素の後継機、SL2が仲間に加わりました。
更にその後、画素数を2400万画素まで下げることで、使い易さと動画撮影に役立つSL2-Sも登場しています。

今こそこのレンズに再挑戦するべきなのかもしれません。
既に体感されている方も、そうでない方も、このレンズの描写に酔ってみてはいかがでしょうか。

関東がグレーに染まる、いよいよ本格的な冬、それに訪れるつかの間の雨。
想像しただけでも良いものが得られると確信しています。

[ Category:Leica | 掲載日時:21年12月16日 12時00分 ]

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