エルカン・・・

それは、1952年にライカ製品の生産工場としてスタートしたライツカナダ社(ERNST LEITZ CANADA)の略称。

発足当初から優秀なレンズ設計者が多数在籍しており、数々の銘玉を設計してきた歴史を持つライツカナダ。

ライツカナダ主導で設計されたレンズのうち、あまりにも有名なのがこの「ELCAN 50mm F2.0」です。

ズバリ、メーカーの略称がそのまま冠されたこのレンズは、

ライカM4ブラッククロームをベースとした軍用ライカ｢KE-7A｣と共に、1970年代にアメリカ軍に納入されたもの。

当然ながら、ライカMマウントで距離計にも連動します。

50mmとしては、かなりコンパクトなサイズの鏡胴。

光学系にはシンプルな4群4枚構成のエルノスター･タイプを採用しています。

2群目に貼り合わせ面を持つSummicron50mmの変形ガウス・タイプとは異なり、

レンズエレメントそれぞれが独立し、貼り合わせ面が設けられていません。

軍事用途という前提から、衝撃や環境の変化による貼り合わせ面への影響を考慮したものと推測できます。

それが結果的に、鏡胴の小型化と重量の軽減にも貢献しています。

更に、絞り環には第2世代のSummicron35mmに似た突起が設けられ、手袋をしたままでも操作し易そうな造りをしています。

戦場という過酷な環境を想定された、尖った設計思想が盛り沢山。

たまりませんね・・・

こうして並べてみると、前述のSummicron35mmと大きさも大差ありません。

可搬性に優れる標準レンズ。

そして、軍用という耽美な響き。

なんとも魅力的ですね。

この個体は、レンズ清掃/ヘリコイドグリス交換済み。

コーティングの劣化等無く、光学系の状態は良好です。

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