【Leica】How to Digital Leica マクロアダプターM Typ240編
「ライカで接写がしたい!」
こういったお問い合わせをいただく事が多いです。
カメラに造詣が深い方はご存知の通りレンジファインダーカメラは最短撮影距離に限界があり、一定の距離以下ではレンジファインダーを使ってピントを合わせるが出来なくなってしまいます。
おおよその距離は70cmであり、一部を除く多くのライカMマウントレンズの最短撮影距離が70cmとなっているのもこれが理由です。
上記の事から、レンジファインダーを使って接写を行う事は例外を除いて難しくなっており、撮影者の頭を悩ませることになります。
※例外①…DRズミクロン
※例外②…ビゾフレックス
※例外③…マクロエルマー M90mm F4.0
時代はデジタル主流に移り変わり、デジタルライカでもライブビュー撮影が当たり前となってきた2014年に登場したのが今回登場するマクロアダプターM Typ240です。
元々同タイミングでリニューアルされたマクロエルマー M90mm F4.0(6bit)と共に使うアダプターとして発売されており、アダプターそのものが伸縮するためのヘリコイド機構を備えています。
このヘリコイドを使う事でレンズ全体を前に繰り出し、更なる近接撮影が行えるという優れもの。
代わりにアダプター使用時はレンジファインダーによるピント合わせは行えず、ライブビューでの使用を前提とするためフィルムライカや、Leica M(Typ240)以前のデジタルライカでは使用する事が実質的に不可能となります。
前置きが長くなってしまいましたが、今回はこのマクロアダプターMを使いマクロエルマーM90mm4.0(6bit)以外のレンズを装着した場合どうなるのか?という事で現行の50mmレンズを最近接状態で使用してみました。
本来の設計からは逸脱した近接撮影となるため通常であれば1~2段絞っての利用をライカも推奨しているのですが、開放の描写でお届けいたします。
それではどうぞ。
まずは50mmの決定版といっても過言ではない、ズミクロン M50mm F2.0 4th(1994年発売)から。
球面レンズだけで構成され、ピント面のシャープさにスムースながらも程よく量感のあるボケ味、どちらかというと現実味溢れるドキュメンタリーチックな写真を得意とするレンズです。
本来であれば最短撮影距離は70cm…ですがマクロアダプターM Typ240を使えばこの通り。
さすがに絞り開放でそのまま撮影距離を縮めているため全体的に甘い描写になってしまっていますが、こんなにも近くでピントが合わせられるのだという感動が勝ります。
このサイズの鏡筒にライカの技術の粋をつぎ込んだ究極の50mmレンズ、アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.(2013年発売)
比べてしまうことが野暮ではありますが、ズミクロン M50mm F2.0 4thよりも随分とシャープです。
こちらはズマリット M50mm F2.4(2014年発売)
現行Mマウントレンズの中でも比較的安価に購入でき、コンパクトな鏡筒が魅力的な1本。
最短撮影距離が70cmではなく10cm長い、80cmとなりますが…マクロアダプターMを使うと他の50mmレンズと遜色ない近接撮影が可能です。
開放F値が控えめだからというのもあるとは思いますが思っていた以上に開放からシャープに像を結んでいます。
お次はズミルックス M50mm F1.4 ASPH.(2004年発売
近距離、中距離、遠距離と様々な撮影距離でハッキリと分かるピント面の立ち上がり、そこから前後に広がるボケも相まって独特の立体感を生み出します。ポートレートからスナップまで、文句なしの決めの一本。
こちらも同様に最短70cmのレンズとなりますが、かなり寄れています。
開放F1.4での撮影でもフローティング機構や非球面レンズを採用しているおかげか、無理をさせた撮影でも中心のシャープさはなかなかのもの。
50mmのオオトリと言えばやはりこちらでしょう。ライカが誇る超大口径標準レンズ、ノクティルックス M50mm F0.95 ASPH.(2009年発売)
最短撮影距離は1mとなる本レンズですが、こちらもマクロアダプターM Typ240を使えばご覧の通り。
元々1mという最短のため他のレンズと比べるとアダプターを使用しても撮影距離が長めになっていますが、それでも最短1mとは思えないほど寄れています。
F0.95のまま近接撮影を行っているためピント面に関しても非常に薄くピークを抜けたところから強烈にぼけています。
ピント自体も合っているのか合っていないのか半信半疑になりつつ、ピント拡大機能を使いながらジリジリと追い込みを行いました。
現行モデルとして販売されている50mm単焦点でアダプターを使い最近接の撮影を行ってみました。
普段ここまでの近接をする事がないレンズの一面、いかがでしたでしょうか。
次回は75mm以降の中望遠レンズを取り上げてみたいと思います!それでは!