【Leica】Leicaのある日常 #8
今回紹介するのはズミクロンM35mmの第2世代である通称6枚玉です。
#6で7枚玉を取り上げ、その解像力と柔らかさのバランスに心惹かれた筆者は、時計の針を巻き戻し6枚玉へ
今から50年前に発売された1本が写し出す光を体感してきました。
【Leica】Leicaのある日常 #6 (7枚玉についてはこちらから)
木枯らし1号が観測され、早くも冬の到来を感じさせる冷たくも清々しい空気を感じていただけると幸いです。
M10-Pとの組み合わせでJPEG撮って出し、是非最後までご覧ください。
逆光で紅葉と広場の様子を撮影。
中心のフレアや、特徴的な輪郭を残したボケ具合は同じくズミクロンM35mmの「7枚玉」を思い出させます。
誇張しないやや控えめな色合いはこの季節に丁度良く、どこか懐かしさを感じるものです。
遮るものが何もないとこのようなクリスマスツリーにも似たゴーストが発生します。
横から光が入ってきても同じように発生するため、強い光の下で撮影する場合はライブビュー機能を活用すると良いでしょう。
琥珀色のゴースト、使い方次第で良いアクセントになりそうです。
何気なくモノクロに設定して撮った1枚。
先ほどまでの柔らかさが嘘のように引き締まった画になりました。
M10-Pとの組み合わせによる恩恵は間違いありませんが、50年前にこのシャープさと諧調の豊かさが再現可能であったことはにわかに信じることができません。
滅多にモノクロ撮影を行うことのない筆者ですが、この時ばかりはモノクロでの撮影を止められませんでした。
手摺の滲みや空のグラデーションから、その日の天候を色彩なしに伝えることができているかと思います。
手前の人々の描き方はどこか懐かしさを感じさせる印象的なものになっており、開放でありながらしっかりと描写しているピント面との対比が気に入っております。
前ボケ・後ボケ・滲み・フレアとゴースト、1枚ですべてを確認するためにライブビューを活かし欲張ってみました。
滲みを伴った前ボケは質感描写に優れ、ややざわつきのある後ボケは中央から周辺にいくにつれ玉から楕円へと形を変えます。
フレアとゴーストは写真を破綻させないように気を付けることで表現のバリエーションを増やしてくれる強い味方です。
冒頭のバスのシートと夕暮れ時のバスの車内
電車やバスで出会う印象的な光の入り方に見覚えのある方もいらっしゃると思います。
目測でピントを合わせ、露出はカメラに委ねる、
M10-Pの静粛なシャッター音がこれまで躊躇していた場面での撮影を後押ししてくれました。
それぞれが違った顔を見せるライカレンズ
「シャープに美しく、高解像度で」を追求する現代のレンズも魅力的ですが、
それぞれの個性を長所として捉えるオールドレンズの魅力が伝わると幸いです。
また次回お会いしましょう、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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