
【Leica】Mを愉しむ ~M11でレンズを愉しむ~#10 SUMMICRON M28mm F2.0 ASPH.+SUMMICRON M90mm F2.0 3rd
2月20日、MapCamera本館1階のLeica Boutique MapCamera Shinjuku が9周年を迎えました。
これもひとえに皆様の厚いご愛顧があったればこそ、心より御礼申し上げます。
9周年を迎えるにあたって、今回ライカブティックでは「愉しむ」をコンセプトに様々なイベントをご用意いたしました。
毎年ご好評いただいているスタッフによる連載ブログですが、今回は『Mを愉しむ』というテーマのもと、「M11でレンズを愉しむ」と「M10シリーズを愉しむ」という2本立てで進行させていただきます。
「M11でレンズを愉しむ」では、2021年1月21日に発売を開始したばかりのLeica M11を全面的にフィーチャー。
マップカメラスタッフが持ち回りで試写し、そのインプレッションを各々の観点で語らせていただきます。
さらに最新鋭機 M11に組み合わせたいレンズを各自でチョイス。その描写を皆様にお届けします。
時代を彩る銘レンズたちが、6000万画素という超高画素・高精細なカメラを通してどんな表現を見せてくれるのか、是非お愉しみください。
今こそ深遠なるライカの世界に…。
・・・
本日M11のお供に選んだのは、SUMMICRON M28mm F2.0 ASPH.とSUMMICRON M90mm F2.0 3rdの2本です。
早速電車に乗り込み、何となく冴えない曇天の元、目的地へ向かいます。
脚色が上手い。そして丁寧だ。
最初の印象はこれでした。
雰囲気でごり押しするのではなく、必要な情報をすべて描き込んだ上で独自のエッセンスを加えるカメラ。
それが私のM11への感想第一号です。まだ、撮り出して4~5枚の頃。
画素数が増えるという事は、使える筆の種類や太さが増えるようなもの。
デジタルイラストで例えるなら、膨大なブラシデータから一番合うものを選べる状態でしょうか。
何を撮っても、緻密さが塊になって押し寄せてくる。
それにしても古くて大きな物は、怖い。
まるで何もかもを噛み砕きバラバラにしてしまうような威圧感を、余さず表現してくれます。
回路に流れていたのが電流ではなくオイルだった時代、「動く」という概念が物理的だった頃の獰猛さが、画面から漏れ出している…。
乗せられていることに気付いたのは、そこから10枚ほど撮った頃。
カメラを向ける先、ひいては右手指の動きさえM11に主導権を握られている。
ああ、乗せられている。挑発されているのだ。
「おれを、御してみろ」
やってやろうじゃないか。
28と90という組み合わせは、レンズ交換で見た目上のブライトフレームが変わらない。
2本のズミクロンを付け替えながら考える、撮る。
…どうすればいい。
「切り替えるのは「おまえ」だ」
また声が聞こえる。
まるで書き割りの様だった午後の街が、一気にリアリティを増して襲い掛かってきます。
現実は流れる速度を増し、もう被写体しか目に入らない。
次は、どいつだ。
心の中で聞こえる言葉が荒々しさを増し、道を譲るために立ち止まる足とちぐはぐになる。
私が、分散していく。だめだ、つなぎ留めなくては!
最早どこをどう進んだのかもわからない。
歩いて、歩いて、歩いて、歩いて!
一番力のある猫と目が合う。
シャッツク石のように輝く瞳に気圧され、暫しの逡巡…。
私は、彼を収めた。
そして突然の電池切れ。後になって考えると、ライブビューを付けたままかなりの時間が経っていました。
熱に浮かされていたこの時の私は、一瞬何が起こったか分からず、考え込むこと暫し…。
何か、降りてきていたな。
冷静になり三回ほど頭をポリポリ掻けば、そこはもういつもの街。
帰ろう。まるで何事もなかったかの様に、知らんぷりを決め込んで。
・・・
帰りの電車の中では私も電池切れに。
心地よい疲れの中、「次は使われるのではなく、こちらが主導権を握らなければ」とぼんやり考えていました。
久しぶりに熱中したこの日、帰宅後も熱は冷めないのでした。
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