ライカブティックMapCamera Shinjuku は、2月20日にオープン8周年を迎えます。
これもひとえに、たくさんのお客様のご愛顧あってのこと。心より御礼を申し上げます。
さて、1年に1度のライカブティックにとって記念すべきこの2月。
8回目の今年は「ライカ恋慕」と、題しまして、マップカメラきってのライカ好きに、ただひたすらと「一人一人のライカ愛!」を語ってもらいます。
ライカはとにかく高価。
ライカは歴史が長くて敷居が高い。
ライカというだけでピント合わせるのも難しそう。
今はまだそう感じている方も多いのではないでしょうか。
確かに、価格や長い歴史、操作方法などは事実として変わることはないでしょう。
それでも数分後、このブログを読み終えた前と後では何かが違って見える、かもしれません。
様々なハイスペックカメラが世に溢れる今の時代に、ライカを愛し、使い続ける理由とはなんなのか。
十人十色の視点から愛でるライカ、さあ今回も紐解いてまいりましょう。
高校の写真部からですから、私のカメラ小僧歴は30年以上になります。
ですが、ライカデビューはずっと後…
それまではご多分に漏れず、「ライカは高価」「ライカは敷居が高い」と敬遠していました。
マップカメラ入社後半年余り、ローライやハッセルを所有しているという理由だけでライカを始めとする舶来カメラフロアに配属になりました。
当時のフロアは「ライカが並んだ陳列ケースを眺めているだけで、ご飯3杯はいけますよ!」と豪語するフロアリーダーを筆頭に、一癖も二癖もある変人ばかり…
正直「ライカの知識なんてこれっぽちもない私には絶対無理…」と気落ちしていました。
そんな私がライカユーザーとなったのは、転属から半年も経たない頃…
さらにレンズも次々と増え(勿論、お小遣いで買えるような比較的安価なものばかりですが…)、気が付けば、そう、しっかり変人の仲間入りをしていました。
マイライカは、「Leica M3」
言わずと知れた、M型フィルムライカの初代にして最高傑作とまで称される1台です。
学生時代から50mmを標準レンズとして愛用していた身としては、両目を開いたまま覗いても違和感のない、等倍に近いファインダーの見えにすっかりヤラレてしまいました。
さらにM4以降のエレガントな外観よりも、より工芸品を思わせるような金属感溢れる無骨なフォルムに魅了されてしまったというのもあります。
M4以降よりもひと手間多いフィルム装填、指の痛くなるフィルム巻き戻しなど、面倒な部分は多々あります。
でも、それを言ったら、当時はオートフォーカスカメラが当たり前で、さらにはデジタルカメラも一般に普及し始めた頃。
手間が1つ2つ増えたところで、大した問題ではありません。
むしろ手間が掛かることで、カメラにせかされることなく、自分のペースでじっくりと被写体に向き合うことが出来ました。
慎重にピントを合わせ、そっとレリーズ。
「カショッ」という控えめなシャッター音と、かすかな振動が手に伝わります。
それはまるで、カメラと呼吸を合わせるような一刻。
自分の想いが、M3という相棒によってフィルムに刻まれる一瞬です。
私のM3は、1960年製のシングルストローク。
ごく普通のM3ですが、私よりも年上、きっと多くの事を体験してきたことでしょう。
私と出会う前にはどんな歴史があるのか、はたして何を写してきたのか、気になるところです。
とはいえ、私の所に来てからも既に10年以上が経過しています。
妻よりも永く連れ添っています。そして、妻よりも従順で…、いえ、何でもありません。
外装はオリジナルの貼り革(グッタペルカ)です。
この革は劣化してくるとヒビが入り、ぽろぽろと剥がれてきます。
ですが、同じものはもうなく、貼り替えるとなるとビニールレザーなどに…
その方が劣化を気にせず扱えるのですが、やはりオリジナルの質感にこだわりを感じてしまいます。
実は角のところなど何か所か剥がれてしまった所があるのですが、それを丁寧に拾い集め補修しています。
素人の補修なので、決して綺麗とは言えませんが、それはそれで逆に愛着が…
その他、ついているキズ一つ一つにも愛おしさを感じてしまうのは、やはり永く連れ添っているからか…
Summarit L50mm F1.5
Leica M3 + Summarit L50mm F1.5
クセ玉ズマリットといえば、渦を巻くように流れる独特のボケ。好きです。
Leica M3 + Summarit L50mm F1.5 蒲田
光源の玉ボケも特徴的。
Leica M3 + Summarit L50mm F1.5 蒲田
勿論、普通にも撮れます。
Summar L50mm F2
Leica M3 + Summar L50mm F2 蒲田
ズマールは、光源がそろばん玉のようになります。
Leica M3 + Summar L50mm F2 横浜
逆光では白くなりがちなオールドレンズも、そうでなければこんな具合に。中華街の鮮やかさが出せました。
DR Summicron M50mm F2
Leica M3 + DR Summicron M50mm F2
Leica M3 + DR Summicron M50mm F2
最短48cmまで寄れるDRズミクロン。地べたに這うようにしての撮影。
Elmar M50mm F3.5
Leica M3 + Elmar M50mm F3.5 丸の内
歴史的銘玉エルマー L50mmのMマウント版。それにしても、この足でよくも器用に並んだものです。
Summicron M35mm F2 8枚玉 眼鏡付
Leica M3 + Summicron M35mm F2 8枚玉 眼鏡付 渋谷
Leica M3 + Summicron M35mm F2 8枚玉 眼鏡付 渋谷
かっちりした写りのズミクロン8枚玉の眼鏡付き。写りもいいですが、なんといってもこのフォルムが…
広角28㎜も好きな画角のレンズです。よく50㎜とのペアで持ち出し、外付けファインダーを装着して撮影に臨んでいます。
Elmmarit M28mm F2.8 3rd
Leica M3 + Elmmarit M28mm F2.8 3rd 六本木
Leica M3 + Elmmarit M28mm F2.8 3rd 丸の内
人気レンズ、エルマリート M28mmの中では一番人気の低い? 3rdレンズ。そのぶん価格もお手頃ですが、写りは信頼できます。
Summaron L28mm F5.6
Leica M3 + Summaron L28mm F5.6 錦帯橋
小ぶりな赤ズマロンは、旅への持ち出しに最適。でも小さすぎて、よくバッグの中で行方不明になります。
Leica M3 + Summaron L28mm F5.6 宮島
安芸の宮島での撮影中、肩にローライフレックス、首からライカ M3をぶら下げ撮影していたら、ドイツ人観光客の一団に囲まれました。
握手を求められ、写真もパシャパシャ撮られました。ちなみに彼らが手にしていたのは、日本製のコンパクトカメラでした…
フィルムも年々高価になり、気にせずバシャバシャ撮っていた頃のようには扱えなくなってしまいました。
それでも、M3を手放すなんてことは到底考えられません。
ただ空シャッターを切るだけでも、満ち足りた幸せな気分になれるカメラ。
そう、ライカとともにある日々は、何ものにも代えがたく素晴らしい…
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