「カメラ屋さん」になって早2年。
露出の「ろ」の字も知らない筆者も気づけば、
カメラとフィルムに埋もれ、「カメラ屋さん」らしくなりました。
まだカメラ初めてまもない頃、一目惚れしたカメラがありました。
タイトルにあるのでもうご存知であるかと思います。
MINOLTAの「TC-1」というコンパクトフィルムカメラです。
当時はまだフィルムの装填の仕方さえよく分からず、
そんな中でも触った瞬間に「他のカメラとは違う」と強く印象に残ったものです。
整った四角いボディに、品のあるチタンの質感。
完全円形で切り替わる絞り羽根。
最小限のボタンでありながら、シンプルで分かりやすい操作性。
コンパクトカメラでありながら本格的なマニュアル撮影。
初めてこのカメラを触った時もこんなことを書いていました。
「The Cameraを名乗る小さいながらも堂々とした佇まいの高級コンパクトカメラ」
あの日の感想は今では初々しく見えますが、今でも印象は全く変わりません。
それから1年くらいでしょうか。
いい個体を見つけた筆者はついに、自分のカメラとして家に迎え入れたわけです。
そして今日も筆者の日常や旅のお供として活躍しています。
雪が薄く積もる湖での朝。こんな日はカメラがひどく冷たいのです。
いつかの朝ごはんも。
最短撮影距離が45センチのため、手元のものも撮影できます。
コンパクトフィルムカメラでは近くまで寄れても70センチ、というカメラが多い中、45センチまで寄れるのは非常に優秀です。
カリッとしたデジタルカメラにも負けない描写力と色彩。
モノクロフィルムとも相性は抜群です。
期限切れのISO1600のフィルムを入れてみたり。
高感度・低感度のISO感度設定を手動でできるのもこのカメラの強み。
最近はやりの超低感度フィルムを試してみたい、という方も是非。
暗い場面だとしっかりスローシャッターを切ります。
スローシャッターが最長8秒なのも比較的珍しいです。
あ、ここは暗い、と思った際はしっかりと脇をしめて。
手すりなどがあればしっかり固定して撮ってあげるといいかもしれません。
いかがだったでしょうか。
人によっては「良く映りすぎる」、と思う方もいるでしょう。
それもそのはず、当時の技術をたっぷり詰め込んだ高級コンパクトカメラですから。
それでいいのです。
今日コンパクトフィルムカメラを検討している方の中で頭をよぎる問題。
「いつか壊れてしまう」問題。
こればかりは時間とカメラ次第なのでどうしようもないのです。
でもいつかすべてのこのカメラが動かなくなってしまう時が来ます。
その前に手にしたいカメラかどうか。
今一度考えてみてはいかがでしょうか。
筆者はこのTC-1が壊れても、2台目は買わないでしょう。
末永く、動いてくれますように。願いをこめて。