【Nikon】Nikonの話~マイクロレンズと実効F値の話
以前よりNikon Fマウントの話をしておりますがその流れでレンズのF値に関して
それもマイクロ(マクロ)レンズに関しての話を掲載していきたいと思います
今回も内容的にはNikon Fマウント初心者の方向けのものとしたいので
なるべく簡易にかるーく紹介してみたいと思います
まず絞りの値(F値)の基本に軽く触れてみます
現在、一般の絞り値はF1に始まり1段階絞ると露光量が半分になる国際絞りというものが採用されています
つまりこんな感じ
ちなみに人間の目のF値は約1.0ということです
絞りを開ければ光がたくさん入り被写界深度が狭くなり(ボケ量が増える)
絞りを絞れば光の入る量が減り被写界深度が深くなる(ボケ量が減る)
これを踏まえてマイクロ(マクロ)レンズの話をしていきます
マイクロ(マクロ)レンズは公称F値(焦点距離を有効口径で割った値)と実効F値(露出倍数を加味したF値)に大きく開きがあります
誤解を恐れずに簡単に言うと理論上のF値と実際にイメージセンサーに受光されるF値に大きく差が出るのです
この話はマイクロ(マクロ)レンズでは仕組みとしては各社共通の話です
しかしながらNikonにおいては「表示」の部分で少し事情が違ってきます
Nikonユーザーの特に初心者の方や初めてマクロレンズを使う方がまず故障しているのではないかと疑うことになる部分なのです
というのも殆どのカメラメーカーは公称のF値をそのまま表示しているので単純にレンズの絞り値がそのまま表示されるのですが
Nikonの場合、露出倍数込みの実効F値表示方式となります
つまり、なにが起こるかというとマイクロレンズで絞りを開放してF2.8に固定していても
被写体に近づくに従ってF値が増加していく(次第に暗くなっていく)
「このマイクロレンズは最短距離では開放F値で撮影できない」
そう見えてしまう(というか実際に表示はそうなっている)ので不良に見えてしまうのです
露出倍数とは露出係数などともいいましてマクロレンズ・中間リング・ベローズを使用したときに
撮像面(イメージセンサー)からレンズ面が大きく離れるために光量が低下し露出量を増やす必要がある
それを数値化したものが露出倍数です
文章にしてみるとそれだけでややこしいです
というわけで図示してみます
AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G EDを使用した場合を考えてみます
開放値F2.8に固定した状態で被写体に接近していくとF値が増加していくわけです
何が起こっているのかというとマクロ撮影ではレンズ全体が繰り出されるからです
図にすると少しわかりやすいかもしれません
絞りが同じだとしてもレンズがセンサーから離れるほど光の当たる範囲が広くなり
センサーに当たっている光の量は少なくなる(つまり実効F値は大きくなる)
Nikonの場合はこの状態を踏まえてマイクロレンズを装着した場合は実効F値を表示するようにしています
開放F値F2.8 無限遠側
開放F値F2.8 最短距離側
マクロレンズを後ろから確認してみてもわかりやすいかもしれません
最短距離側だと絞りが小さく見えますね
遠のく分だけ絞りが実質絞られた状態と同じなのが分かると思います
ただこの表示だと絞りを一段絞って被写界深度を調整しようと思っても
表示が違ってしまっているのでF値をいくつ絞ったのかがわかりにくいのです
ライティング撮影においては非常に便利なのだとは思います
というわけでNikonでマイクロレンズを使用した場合、実効F値が表示されるので
接写した際に開放F値が変化して増えたとしても不良ではありません
他社のマクロレンズでも仕組みは同じなので光量の変化は起こっていますので条件はおなじなのです
ただ表示されるのは公称F値になりますので違うように見えるわけです
Nikonの歴史はカメラの歴史
積み重ねてきた技術はすばらしいものがあります
少しマイクロレンズの仕組みに触れただけでもなかなか深く興味深い内容になると思います
皆様もこの内容を少し頭の片隅にいれた上でカメラライフを楽しんでみてはいかがでしょうか
余談です
ここに計算方式を掲載します
実効F値 = 設定したF値 × (1 + (撮影倍率))
となるそうです
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