【SONY】母艦機日記 周八枚
これはSONY α7RⅢを軽量性だとかAFだとかを無視して古いレンズの母艦機として運用している筆者の日記です。
母艦機とは本来燃料や航空機などを輸送する船のことを指す言葉ですが、カメラボディに対してこの言葉を使う場合は「レンズを使うためのボディ」という少々ややこしい意味を持ちます。
フランジバックの問題でレフ機ではアダプターがなく楽しめなかったあのレンズもこのレンズも、ミラーレスならすべて楽しめるというわけです。
大昔の聞いたことがないレンズから一度は耳にしたことがあるレンズまで、α7RⅢに付けて楽しんでいきたいと思います。
今回使用したのはLight Lens Lab M35mm F2です。
知っている方は知っている、知らない方は目を引くよう題名を「周八枚」としました。
周八枚とはこのレンズを作った資産家の周氏の字を取ったレンズの愛称です。
今や伝説と言われているLeica Summicron(ズミクロン) M35mm F2 1st(通称:8枚玉)をレンズ構成からコーティング、外観に至るまでほぼ完璧なコピーとして作成したのが本レンズです。
今からオリジナルを手に入れようとすると、中古で70万円~が相場でしょうか(2022年9月現在)。
それを新品16万円程度で購入できてしまうのです。
8枚玉自体にこだわりはなく、8枚玉の描写が好きな方にとっては朗報と言う外ないでしょう。
本家八枚玉と周八枚の作例をご覧いただいた後、本投稿をご覧いただきますとより一層楽しめるかと思います。
まずは太陽に向け逆光性能を見てみます。
当時のコーティングを再現した、というので暴れるかと思いましたが意外と小綺麗にまとまっています。
なんとなく撮った一枚でしたが、現像しながらM型フィルムではシャッター幕が焼けるのが怖くてできない撮り方だなと思いました。
35mm F2ということでボケ量はあまり多くはありません。
しかしながら、前ボケは怪しく回り後ボケは非常にスムーズです。
もしこれがオリジナルのオマージュだとしたら、当時としては非常に”写る”部類のレンズだったのではないでしょうか。
個人的に最も気に入っている一枚です。
一見するとパンフォーカスのようですが、後ろはスムーズにボケて左側は光が滲んでいます。
なんと繊細、なんと美しい描写なのでしょうか。線の細さが非常に好印象です。
オールドレンズらしくややハレーションがかった一枚。
しっとりとした空気の中で一枚。
本当はもう一段絞った写真もあったのですが、苔にかかった滲みが美しかったため開放の写真を使用しました。
周辺減光は派手ではないものの発生し、絞っていっても大きく改善されるわけではあません。
しかしながら、35mmという準広角で被写体に視線を集中させるための減光と捉えれば丁度良い引き立て役でしょう。
普段50mmしか使わないからか、35mmというだけで超広角レンズを使ったような気になります。
被写界深度が深く、それでいてピントピークには立体感がある不思議なレンズです。
今回は八枚玉に魅せられ、自らコピー品を作るという極致へ至った中国の資産家、周氏の思いが詰まったLight Lens Lab M35mm F2とお送りしました。
繊細ながらしっかりとした写り、年代を感じさせる周辺減光、現行レンズでは採用されていない無限遠ロック機構、取付指標の人工ルビーなど描写・外観ともにこだわりと思いがつまった非常に良いレンズだと感じました。
見かけた際は是非お手に取ってみてください。