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【Voigtlander】50mmという画角をもう一度考え直してみた。HELIAR classic 50mm F1.5 VM

【Voigtlander】50mmという画角をもう一度考え直してみた。HELIAR classic 50mm F1.5 VM

標準レンズ50mm

この画角は私にとって扱いづらいじゃじゃ馬のようなものです。

一般的には「人間の視野に近く、自然な遠近感が得られるもの」とされ、「標準レンズで構図の練習をしましょう!標準レンズを使いこなせるようになると写真の基礎力が鍛えられます!」などと言われることが多いと思います。

私も標準レンズを使いこなすべくただひたすらに50mmでしか撮影しないという縛りを設けていた時期もありました。
「いつか使いこなせる!いつか使いこなせる!」
そう信じて何百枚とシャッターを切ってきました。

ですが、やはり難しい。
どうしてもしっくりこない。

人間の視野に近く、自然な遠近感が得られる・・・。
逆に考えると、広角レンズのような遠近感を強調したダイナミックな構図がとれない。望遠レンズのような背景圧縮効果や、大きなボケ表現などが使えない。
そう、デフォルメすることができないのが標準レンズなのです。

つまり、「撮影者の目力(めぢから)」が試される画角が50mmであると言えます。
目力とは、被写体の選別、被写体との距離感、どのようなサイズで切り抜くか、被写体と背景の構図内での比率、空間認識力。
様々な要素を正確に捉えられる、まさしく目の力ですね。
それらをケースバイケースで瞬時に判断し、構図を選択、シャッターを切る・・・。

脳がオーバーヒートしそうです。

・・・そうか、だから練習なのか。

普段、私はスナップ撮影一辺倒で、ほぼ35mmレンズしか使わない撮り方をしています。
今回は昔やった50mm縛りのことを思い出しながら「HELIAR classic 50mm F1.5 VM」に練習に付き合ってもらいました。

かなり高低差のある細い階段、奥行きをたっぷりととった構図なのでこれは「準広角的」な表現となりました。手前のコンクリート壁をシャープに写し撮りたかったので、多めに絞り込んでいますが、50mmなので階段の奥行きのなだらかなボケ感がでていて良いと思いました。これは逆に言うと35mmなどではやりづらい表現と言えます。

50mmの醍醐味は「2〜3メートルの範囲内にある物体に注視した表現ができる」ことでしょうか。
言語化するのが非常に難しい感覚なのですが、広角レンズで上の写真と同じように被写体に近づき、サイズ感を同等にしても、広角なので周囲の情報を拾ってしまいます。注目しているという感じにはなりづらいですね。逆に望遠レンズで同じように狙ってみると、背景情報が切り取られすぎて、被写体へのフォーカスが強くなりすぎてしまう気がします。
「デフォルメされない」
昔、練習しているときにはそれが難しく、悩みの種でしたが、なるほど特性が掴めるとそれが醍醐味へと変わるのかと感心しました。

・・・

被写体との距離を詰めたり、構図上の奥行き感を制御できれば、望遠、またはマクロ的な表現となります。
50mmレンズは設計思想によって異なりますが、一般的には最短撮影距離が50cmくらいのものがほとんどです。少し寄り切るには難しいことが多いのですが、今回はヘリコイド付きのクローズフォーカスアダプターを使用してもう少し寄れるようにしています。ネイティブのマウントレンズではなくアダプターを仲介に挟む、そこにヘリコイド機構を追加していますのでこういった少し嬉しい機能を追加することもできます。

開けた場所、中央に被写体、ハイライトとアンダーの比率など条件がそろえば広角的な表現につなげられる気がします。
50mmであれば自然な遠近感が得られるのも特徴の一つです。被写体との適度な距離感が余計な歪みを生じさせません。かと言って望遠レンズのように過度に遠近感を殺すこともありません。適度に、自然に、まさに自分の感じたままに被写体をすくいとれます。「あっ!何か気になるものがある」と気づいたその時の印象をそのままに写し撮れる画角だと思います。

・・・

今回の練習に付き合ってくれた「HELIAR classic 50mm F1.5 VM」ですが、とても素晴らしいレンズです。絞り開放時のクラシックなボケ表現、かつ飽きのこない程度にまとめられていると言った点。しかも絞り込んでF4以上をとればしっかりと解像してくれるという二面性を持ち合わせたレンズです。
上の二枚の写真のように、前後ボケ、距離によって本当にユニークな表現をしてくれます。

ハイライト部のにじみ表現もこのレンズの特徴の一つと言えます。一種独特な表現になります。私は一瞬「白昼夢」をみているような感覚を覚えました。現代のレンズ設計思想には開放からシャープであったり、高い補正能力を目指すものが多いと思いますが、本レンズのような特徴を持つ一本もぜひ手元に置いておきたいものです。

ちなみにこのようにしっかり絞り込むとシャープな表現もしてくれます。
線の多い建造物のシャープさや、手前のコンクリート壁の質感表現など絞り込んだ時の再現力の高さに驚かされます。
被写体ごとに表現を切り替えられるのも本レンズの特徴と言えます。

・・・

昔を思い出し、久しぶりに50mmで練習をしてみましたが・・・。
やっぱり難しいですね。
使いこなせる日など訪れるのでしょうか。

しかし、被写体を選ぶ、構図を決める、シャッターを切る。
写真のおもしろさの根本に触れられた気がしました。

皆様もよろしければ50mm練習いかがですか?
難しくて楽しいひと時をたっぷりとおくることができますよ。

[ Category:Carl Zeiss & Voigtlander SONY | 掲載日時:22年06月02日 16時00分 ]

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