8月1日~7日は「スター・ウィーク※」です!
(※主催:スターウィーク実行委員会、後援:国立天文台・天文学振興財団)
8月上旬は全国的に梅雨が明けて天候が安定するため、星空を見るのに適している時期です。
昨今では6月末から7月にかけて予想を上回る増光となった、「NEOWISE彗星」(C/2020 F3)が話題になりました。
また、現在多くの流星群が活動期を迎えており、8月1日時点で「やぎ座流星群」「みずがめ座δ流星群」「ペルセウス座流星群」が、8月8日からは「はくちょう座κ流星群」も活動期を迎えます。
2018年8月13日2:41頃 撮影
絞り:F2.8 / シャッタースピード:15秒 / ISO:1600 / 焦点距離:16mm (35mm換算:24mm)
使用機材:Nikon D5500 + AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR
本連載を通して、少しでも星を見てみたいと思っている方をはじめとした多くの方々の星を見るきっかけになれたらと思います。
ではまずは、星を見る下準備編としまして、
星を見るうえでの注意点や満天の星空を見るためのポイントなどをお送りします。
・晴れてるところで見るべし
これは言わずもがなと言ったところではありますが、星の光は遥か彼方、宇宙からの光です。
絞り:F2.8 / シャッタースピード:90秒 / ISO:4000 / 焦点距離:15mm
使用機材:Nikon D750 + TAMRON SP 15-30mm F2.8 Di VC USD A012N
微かに見える星空。雲が覆ってしまうと星空は見えません。
天体観測をするときは天気予報を要チェックです。
・なるべく都会を避けて見るべし
「田舎に行ったときに満天の星空を見た!」という方や「林間学校やキャンプで天体観測をした!」という方は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
絞り:F1.8 / シャッタースピード:13秒 / ISO:4000 / 焦点距離:14mm
使用機材:Panasonic LUMIX DC-S1R + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art
しかし、都会にいるとほとんど星が見えません。
絞り:F8.0 / シャッタースピード:20秒 / ISO:1250 / 焦点距離:15mm
使用機材:Canon EOS R + RF15-35mm F2.8 L IS USM
それは、光害(ひかりがい)が影響しています。
光害とは過剰または不要な光による公害のことをいいます。
光害の原因となる光は、家やオフィス、街灯など様々なところから出ています。
これらの光、いわゆる街灯りが本来暗いはずの空を照らすため、見える星が少なくなってしまうのです。
絞り:F3.5 / シャッタースピード:5秒 / ISO:320 / 焦点距離:18mm (35mm換算:27mm)
使用機材:Nikon D5500 + AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR II
そのため、星空を眺めるときはなるべく街灯りの少ない場所で観察しましょう。
・日が落ちてからもしばらく空は明るい
天体観測をするのは夜!なのですがいつから夜なのか….
やはり暗くなってから…ということで日の入りの時間を調べる方も多いはず。
日の入りの定義は「太陽の上辺が地平線(または水平線)に一致する時刻」としています。
つまり、太陽が沈みきって見えなくなった瞬間のことを言います。
絞り:F4.5 / シャッタースピード:1/125秒 / ISO:800 / 焦点距離:120mm
使用機材:Nikon D750 + AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR
ところが実際は、日の入りを迎えた瞬間は少し薄暗い程度で、ライトなどが必要なほど真っ暗というわけではありません。
この時のことを「薄明」と言います。
撮影されている方であれば、「ブルーアワー」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/13秒 / ISO:4000 / 焦点距離:15mm
使用機材:Canon EOS R + RF15-35mm F2.8 L IS USM
薄明にもいくつか段階があるのですが、ここで気にしたいのが「天文薄明」という言葉。
天文薄明とは「空の明るさが星明りより明るい」目安で、おおよそ日の出前・日の入り後1時間30分のことを言います。
人間の目の感度でも違いはある程度わかるのですが、星を撮ろうとカメラを向けるとこの薄明の影響が大きく出ます。
そのため、なるべく多くの星を見たいときは、日の入りから約1時間半後、日の出の1時間半前までの間に見るようにしましょう。
・月明りは避けるべし
もう一つ気にかけたいのがお月さま。
月は満月と新月を約2週間ごとに繰り返しています。
新月の時は月が暗いので、星空観察に悪影響を与えません。
ところが満月はかなり明るく、月夜ではライトがなくても歩けるほど。
当然、空も明るく照らされており、本来見えるはずの星空が見えなくなってしまいます。
そのため、月齢カレンダーなどで新月と満月の時期を前もって調べておくのがいいでしょう。
絞り:F2.8 / シャッタースピード:8秒 / ISO:1600 / 焦点距離:15mm
使用機材:Nikon D750 + TAMRON SP 15-30mm F2.8 Di VC USD A012N
そしてここから、よく勘違いされがちな問題。
では、満月の日は星を見ることができないの?
→実は見られる日もあります。
月は動いています。
例えば、今日のある時間にある場所でとあるビルの上にある月を見たとしましょう。
明日の同じ時間、同じ場所で同じ方向を見ると、月は昨日と同じ場所にはないはずです。
約12°、時間にして約50分遅れて昨日と同じ場所にくるはずです。
絞り:F9.0 / シャッタースピード:1/320秒 / ISO:100 / 焦点距離:300mm (35mm換算:450mm)からトリミング / 3分おきに撮影した4枚を比較明合成
使用機材:Nikon D5500 + AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
また、月は夜になると出てきて朝になると沈んでいくのか、
これも違うことは明らかです。
青空に白く浮かぶ月を目にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
夜になると、一番明るい太陽が沈むため目立つ月ですが、日中に出ていることもあります。
ただその時は太陽が明るすぎて見えないだけなのです。
月の出はおおよそ1日50分遅れていく。
月の出から月の入りまではおよそ9時間。
つまり、満月の日でも月が出てくる前・沈んだ後であれば見ることが可能なのです。
絞り:F2.8 / シャッタースピード:15秒 / ISO:6400 / 焦点距離:15mm
使用機材:Nikon D750 + TAMRON SP 15-30mm F2.8 Di VC USD A012N
月齢だけでなく、月の出/月の入りの時刻も調べましょう!
さて、いかがだったでしょうか。
今回は星を見る前準備なのでやや難しい言葉ばかりであったかもしれません。
次回は実際に見たり、撮影したりするのに必要最低限の物などをご紹介できればと思います!