【マップカメラ鉄道倶楽部RailMap】さよなら新聞輸送列車
3月13日。今年もJR各社の春のダイヤ改正の時期がやってきました。
毎年のように歴史ある優等列車が消えていく中で、今年も3月12日の出発をもって、上野と金沢を結ぶ寝台特急
「北陸」が消え、同区間を走る夜行急行「能登」も季節臨時列車扱いとなり定期運用から消えることになります。
昨年の寝台特急「富士・はやぶさ」の廃止の時と同様に、「北陸」も「能登」も最後の姿を見るために上野駅は
大混雑。チケットの入手も困難な状態になっているそうです。
そんな盛大な送別の中で、ひっそりと消えていく列車があります。それはJR総武線を走る新聞輸送列車。
その名のとおり、新聞を運ぶ荷物列車です。旅客列車では無いので一般の時刻表には載っておらず、沿線の一部
の人にしか知られていない地味な列車です。今回はその新聞輸送列車とのお別れに行ってきました。
新聞輸送列車は、都内の印刷所で刷られた夕刊を両国駅(東京都墨田区)から房総半島(千葉県)の各地まで
運びます。昔は総武線以外にも各方面で活躍していたそうですが、ほとんどがトラック輸送に変わってしまい、
今ではこの総武線と、上野駅から宇都宮方面と高崎方面に向かう各1本づつが残るだけとなってしまいました。
ただ宇都宮線と高崎線は最初から旅客列車に組み込まれているため、純粋に新聞輸送の専用列車と限定すれば、
総武線の両国~千葉(千葉から先は旅客列車に組み込まれます)が唯一の存在だったと言えます。
道路事情の悪い房総方面が最後まで残った訳ですが、東京湾横断道路のアクアラインの開通や高速道路の延長で
千葉県内の道路事情も徐々に改善。今後はトラック輸送にシフトし総武線での役目も終わることになります。
ちょうどお昼頃、夕刊各紙がトラックで両国駅に運び込まれました。(写真左)
目的地毎に乗せる場所が分かれているため、仕分けをしながら乗車位置まで新聞を移動します。(写真右)
そんな作業の中、新聞輸送列車がやってきました。
両国駅3番線に入線する新聞輸送列車。
4年前に東海道線から姿を消し、都心ではすっかり見なくなった113系。
現在は活躍の場を千葉に移したものの、1日1回だけ新聞輸送列車として江戸川を越え都心に乗り入れます。
両国駅3番線ホームに停まる新聞輸送列車。
かつては房総半島各地へ向かう急行列車の専用ホームとして賑わった両国駅3番ホームも、急行列車の廃止後、
定期で使用する列車はこの新聞輸送列車のみ。この列車が無くなると3番線ホームも臨時列車を待つだけの寂しい
ホームに変わってしまいます。
両国駅での撮影後、千葉駅まで先回り。
千葉駅の外房線ホームに入線する新聞輸送列車。
新聞輸送列車は4両編成の車両を2組連結した8両編成で構成されています。
そして、ここ千葉駅で前4両と後4両を切り離し、九十九里側を廻る外房線と東京湾側を廻る内房線に別れ、それ
ぞれの目的地に新聞を配って行きます。
千葉駅での切り離し作業。
内房線へ廻る後4両は一旦、近くの信号所を経由して隣の内房線ホームへ移動します。
その間に外房線へ廻る前4両に新たに別の4両編成の車両を連結し、新聞輸送列車は8両編成の普通旅客列車
(内1両のみ荷物車扱い)に姿を変えます。
外房線ホームでの連結作業。
連結を終えた外房線が発車すると、隣ホームの内房線でも同様の連結作業が始まります。
信号所に廻った新聞列車との連結を待つ内房線。
連結作業の間に、新聞を積んだ車両も覗いて見ました。
荷物車扱いの最後尾の車両には一般乗客の誤乗が無いようドアには「荷物専用」の幕が掛けられています。(写真左)
新聞の束には行き先が書かれた紙が折り込まれていました。(写真右)
そして、連結を無事に終えた内房線も乗客と新聞を乗せ房総半島を下って行きました。
今でこそ一般旅客車両を使った新聞輸送列車ですが、昔は郵便・荷物専用の車両が使われていたことを覚えてい
ます。ちょうど私が小学生の頃で、沿線にあった小学校の校庭から普通の車両と異なる異色の荷物車が見えると
昼休みの終わりの合図みたいなものでした。
大人になってあまり意識しなくなっていた新聞輸送列車でしたが、こうして廃止のニュースを聞き、改めて振り
返ってみるといろんな事が思い出されます。そしてその思い出の1つが消えていく事はなんとも寂しいものです。
使用機材:AF-S ED28-70mmF2.8D
AF-S ED80-200mmF2.8D
AF-S テレコンバーターTC-17EII