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カメラの王様と、つながる

カメラの王様と、つながる

2021年の夏、私たちMapCameraは27周年を迎えます。
これもひとえに、日頃ご愛顧いただいている皆様があってこそのこと、いつも本当にありがとうございます。
今年はマップカメラで働くスタッフ一人一人が、27周年にちなみ「○○と、つながる」というテーマでバトンを“(27)つな”ぐことに。

「屈指のカメラ好き」は数居れど、撮るもの、撮る目的は十人十色、否、百人百色とも言えるほどに多様であるはず。
夏休みを思い出すような思い出の毎日から、少しずつお時間を拝借いたしまして「カメラが人とモノを繋ぐ様」をご覧いただこうと思います。

ファインダー越しと表現される世界は隔たれているわけではなく「繋がっている」という事を実感していただけたのなら私たちも嬉しい限り。
個性派揃いの全45回、今夏のお供にどうぞ。

第9回「カメラの王様と、つながる」

カメラの王様と言えば、ZeissIkonのConta“rex”を一番に思い浮かべるのは私だけでしょうか。
REXとはラテン語で王という意味で、ContarexはZeissIkonが世に放った35mm判の一眼レフカメラです。
私が持つContarex I型は通称ブルズアイと呼ばれています。レンズの上部にある露出計が目玉のように見えることらその愛称で呼ばれています。

こちらのブルズアイは1959年に発売された、世界初の絞り・シャッタースピードの値が連動する露出計を内蔵したカメラです。
ZeissIkon社が持つ技術の結晶ともいえるそのボディの塊はズッシリとした重さで中判カメラであるHASSELBLADと同程度。王様はメタボのようです。

Contarex用のレンズは全てオーバーコッヘンのCarl Zeissで製造されています。
ラインナップこそ多くはないものの、必要な焦点距離は網羅されており、どのレンズも高い描写力で知られています。

実は唯一、同じカメラを2台所有しているのがこのContarexです。

初めてContarexを手に入れてから愛着があり、気に入っていましたが、その重量から最近はほとんど出番がなくなっていました。

どうにかこのレンズ達を有効活用できないかと、アダプターで使うためのミラーレス機を探していました。
そこで最近気になっていたのが、Leica SL2-Sの存在です。
2400万画素のミラーレス機で、アダプターの種類が豊富なうえ、手振れ補正がボディに内蔵されているカメラです。
同じドイツのメーカーということもあり、Contarexを運用するのに面白いのではないか、と考えた為です。

いくつか作例とともに、Leica SL2-Sのマウントアダプター使用時の感想などをしたためます。

Leica SL2-S + Carl Zeiss Planar 50mm F2

Leica SL2-S + Carl Zeiss Distagon 25mm F2.8
前述の通りEVFは非常に見やすく、出来上がりのイメージとのギャップも小さいです。
デジタル水準器もついており、水平が上手く取れない私にはなくてはならない機能です。

Leica SL2-S + Carl Zeiss Sonnar 85mm F2
EVFのタイムラグもほとんどなく、波打つ瞬間を捉えることができました。

Leica SL2-S + Carl Zeiss Distagon 35mm F4
SL2-Sの特徴に豊かな階調がありますが、こういった古いレンズを使うとより暗部の粘り強さを感じます。

Leica SL2-S + Carl Zeiss Planar 50mm F2

気になる手振れ補正ですが、夜景や物撮りで非常に頼りになりました。
EVFを覗いている最中から全く動かないので、撮った写真をプレビューしているのかと勘違いしたほどです。
ただし、一つ注意点があり、手振れ補正を使うには必ずレンズプロファイル(どのレンズが付いているか)を選択しなければなりません。
レンズプロファイルはオート・マニュアル(Mレンズ or Rレンズ)・オフが選べます。
ライカMレンズで6bitコードが付いているレンズに関してはオートで、その他ではマニュアルで使うレンズを選びます。(全てのレンズが網羅されている訳ではありません。)
私も悩んだ末に、Rレンズで焦点距離と開放F値が近いものを選びました。
結果的に手振れ補正バッチリ働きましたが、画像補正がどこまで入っているのかは未知数でした。

Leica SL2-S + Carl Zeiss Planar 50mm F2
Contarex用レンズは接写も得意で、近接撮影時も画像に乱れや破綻が少ないことが知られています。
今回はアダプターのヘリコイドを使用し、ここまで近づくことができました。
ここでも手ブレ補正が大きく貢献してくれました。

最後に一日使った感想を。
描写は他のメーカーと色の出方がほんの少し違う気がします。かと言って大きく違うわけでもないので、イメージから逸脱することもなく、扱いやすい印象です。色気があります。
手振れ補正の効果は抜群です。そしてEVFが素晴らしいです。
ただしレンズプロファイルには要注意です。

今回使用したレンズは4本
Carl Zeiss Distagon 25mm F2.8:後にヤシカ/コンタックス用レンズとして復活するレンズです。
Carlzeiss Distagon 35mm F4:解放F4と明るくはありませんが端正な描写をすることで人気です。
Carlzeiss Planar50mm F2:標準レンズの帝王と言う方もいる定番レンズです。
Carl zeiss Sonnar 85mm F2:キングオブゾナーと呼ばれる名玉。

今回の記事にある機材写真はSL2-Sと85mm F2で撮影しています。85mmが被写体の写真のみ50mmで撮影しました。
マウントアダプターにもヘリコイドが付いていたため、最短撮影距離が1mの85mmでもかなり寄ることができました。
Contarexを象徴する露出計、そして絞りを操作するギアにクローズしてトリミングしました。
金属の質感やContarexという刻印も可愛らしいフォントでお気に入りポイントです。
それにしても驚くほどよく写っています。センサーが良いのか、レンズが良いのか。

ミラーレス一眼カメラが一般的になって数年が経ちましたが、こういったマウントアダプター遊びができるのが非常にありがたいことです。
選択肢もどんどん増えており、これからもますますカメラ選びで頭を抱えそうです。
機会があれば最近手が届きそうになってきたSL(Typ601)でも試してみたいと思います。

第9回 『カメラの王様と、つながる。』お楽しみいただけましたでしょうか。
次回は一体どんなものが飛び出すのか、私も楽しみです。ご期待ください。

[ Category:Carl Zeiss & Voigtlander etc. | 掲載日時:21年07月25日 19時40分 ]

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