突然ですが、私は「歴史的建造物」が大好きです。
お寺、神社、古墳などだいたい何でも好きなのですが、中でも「城」というものに対しては、ひとかどならぬ思い入れがあります。
小学生のころのプラモデルにしても、勿論人並みに「ガンプラ」も作ったのですがしかし一番作ったのは「城」のプラモ。
私にとってはザクの頭部に光るモノアイを仕込む事よりも高知城の石垣にいかにうまくパウダーをまいてコケをつけるかと言う事のほうが大事だったのです。
『暴れん坊将軍』のオープニングに城が出てくる度に
「吉宗の頃の江戸城にはあんな立派な天守はなかったんだ。この城は江戸城じゃなくて姫路城だよ」
と口走らずにいられないような小学生だった私ですが、大人になってからはそんな事はすっかり忘れていました。
しかし前回川越に「蔵造りの街並み」を見に行った時に「川越城本丸御殿改装中」という看板を目にし、
「そういえば友達と川越城見に行ったな(よくつきあってくれたもんだ)」と、小学生時代の城にかけた情熱がよみがえってしまいました。
そしてふと思ったのです。
「姫路城や松本城のような国宝級のお城はたしかに魅力的だけどそうそう気軽には見に行けない。
でも、ここ東京にも規模においてそれらをはるかに上回る城の中の城があるじゃないか!」と。
というわけでお休みを利用して地下鉄で大手町へ。目指すは300年の太平を築いた徳川幕府の本拠、江戸城です。
地下鉄大手町駅下車徒歩5分。
ゆったりと水をたたえたお堀の向こうに見えてくる大手門。皇居東御苑、つまり江戸城三の丸、二の丸、本丸の入り口です。
将軍の居住、政治の場所であると同時に「軍事要塞」としての機能も当然求められているため、さまざまな防御上の工夫が凝らされています。
この大手門は「枡形虎口」という形式。第一の門を入ってきた敵は90度のターンを強いられ、しかも前面、側面両方からの攻撃にさらされることになります。
入り口を入るとこのようなカードを受け取ります。(出口で回収されます。)
ちなみに公園内へはこの大手門のほか、二の丸北東部の平川門、本丸北端の北桔橋(きたはねはし)門の計三つから入場することが出来、どの門から入ってどの門から出るかは自由に選択することができます。
百人番所。本丸を守る警備の番所。甲賀組、伊賀組、根来組、二十五騎組という4隊が交代で詰めていたとの事です。(各組同心100人)
本丸中之門跡。ビシッと隙間無く組み合わされた見事な石垣に圧倒されます。
この先の通路も真っすぐには本丸に入れないようになっており、S字状の坂道となっています。
本丸。一面の芝生ですが、かつては多くの建物とそれをつなぐ廊下続いていたと思われます。
「忠臣蔵」で有名な松の廊下もこの左のほうにあったということです。
ちょうど「大奥」のあった辺りから見た天守台。
大奥女中を思わせるような艶やかな紅梅が見事でした。
本丸の一番奥に鎮座する天守台。かつてはこの石垣の上に5層の天守がそびえていました。
江戸城の天守は慶長(家康)、元和(秀忠)、寛永(家光)と三回建造され、とくに二回目とそれをベースにした三回目の天守は高さ58mと史上最大のものでしたが、三回目竣工からわずか19年後の「明暦の大火」で焼失してしまい、その後再建されることはありませんでした。
(江戸市街の復興を優先したため、との事です)
それ以降、全国の諸大名家のお城でも幕府に遠慮し、天守を建設、再建することが難しくなってしまいました。
今回「スーパーダヌビア」なる28mm単焦点と35-70mmの「バリオゾナー」の2本を使用したのですが、28mmのほうはあきらかにコントラスト、解像度で見劣りします。(フードがなかったせいもあるかもしれません。)
ちょうど通りかかったトラックと比較するとその壮大さがわかります。
(ラバーフードを戻し忘れてしまいました。)
石垣の積み方にもその時代時代で特色があり、天守台のこの積み方は方形に整形した石を横に目が通るように積む「布積み」という積み方。
またこの隅の部分の長辺と短辺を交互に組み合わせた積み方は「算木積み」というのだそうです。
天守台より本丸御殿方向を望む。
建物があまり残っておらず、石垣ばかりが目に付く城ですが、かえってそれがこの城の壮大さ、堅固さをより伝えているような気がします。
大手門から本丸、天守台へのルートを歩いてみると、この城の戦時における攻めにくさ、守りやすさ、平時における、見るものを圧倒する壮大さが伝わってきます。
この城は将軍の居城として「天下普請」という一種の公共事業的方法で築城されました。城内各所の工事は諸大名家が分担し、しかもそれぞれの工費も諸大名家持ち。言ってみれば「みんなー、今度オレのウチ新しくするからよろしくね、あ、工事費は出しといてね」というものすごい話です。もちろん諸大名家の財力を弱めるのが目的です。文句は・・当然あったでしょうね。
天守台の裏手にある北桔橋門。
この門をぬけ、通りを渡ると北の丸公園です。
はじめての「江戸城登城」はなかなか満足感の高い経験でした。
歴史に少しでも興味のある方なら、きっと楽しめるお散歩ルートだと思います。
今回もデジタル一眼ではなくRXを持っていってしまったため大量のスキャンニングに追われる羽目になりましたが、それも楽しいのだから仕方ありません。
今回の収穫は「はじめて使ったCENTURIA200はなかなかグッド」ということと「やっぱりツァイスレンズはコントラスト・解像力とも優れているのかもしれない」という事。事実スキャンして出てきた最初の画像からシャープでコントラストも高く、もう一本の28mmのほうで撮ったのと比べるとその後の調整が明らかにし易いです。
北の丸公園でもいろいろ「ぐっ」と来るものを見つけてしまったため後編へ続きます。
【撮影データ】
CONTAX RX
Vario Sonar 35-70mm f3.4 SUPER-DANUBIA 28mm f2.8
DNP CENTURIA 200
EPSON GT-F520でフィルムスキャン
Photoshopでリサイズ、レベル調整