カメラとは気づけば増えているもの。
我が家もMamiyaの中判が645判、66判、67判が知らぬ間に揃っていました。
(誰が一体こんなに買ったんでしょうか…。ええ、私です。)
今回はそんな筆者がフィルム中判からデジタル中判へと衣替えを検討する記事をご紹介いたします。
もともとフィルムメインで撮影を行っている筆者ですが、デジタル中判カメラへの憧れは常に持っております。
今回使用したボディはMamiya 645DF+とPHASE ONEのデジタルバックP30+です。
デンマークに本社を置くPHASE ONEは中判デジタルカメラを代表するメーカーの一つです。
デジタルバックやXFボディなどの製品はプロのカメラマンから絶大な信頼と評価を得ています。
また現像ソフトである「Capture One」はテザー撮影などを行う現場で重宝されています。
使用したレンズはSchneider KREUZNACHのAF 80mmF2.8LSというレンズ。
このレンズは発売された時期などによってMamiya、Schneider、PHASE ONEの3種類の名義があります。
またレンズシャッターを搭載していたり、いなかったりなど様々です。
筆者はこの「Schneider KREUZNACH」という語感が非常に好きです。
35mm判に換算するとおよそ50mmになります。LSとはレンズシャッターの意味。
このAF 80mmF2.8LSはシャッタースピードが1秒~1/800秒まではレンズシャッターを使用でき、それ以降1/1000~1/4000や1秒~60分までは自動的にフォーカルプレーンシャッターに切り替わります。
※使用時に肩液晶に「FS」「LS」の表示が出ます。
LeafやP65+やP40+というデジタルバックを使用すると1/1600秒までのストロボ全速同調が行えます。
ここでAFとMFの切り替えを行います。レンズシャッターのマークが可愛らしいです。
CONTAX645を彷彿とさせる外観です。
両者ともその磨き上げられたフォルムに惚れ惚れいたします。
別角度からもう一枚。ブラックのボディに映える白い印字。
中判カメラの標準域とされるレンズはどれもコンパクトネスも考えられて設計されており非常に扱いやすいです。
その昔、中判カメラを使う前に35mm判のカメラを使っていた筆者にとっては
80mmという響きは少し新鮮かつなんともマニアックなものに感じました。それゆえにこれなら今まで以上のものが撮れると息巻いたものです。
それでは実写をご覧頂きましょう。
PHASE ONE P30+は3100万画素のCCDセンサー搭載のデジタルバックです。
「P30」というものも存在しているのですが、P30+は内臓のバッファーメモリの増加や、ライブモードの追加などを行った上位互換のデジタルバックになります。
数ある追加点の中で特に恩恵が大きいものは、メニューUIが日本語対応になったことだと思います。
ISOはあまり上げず、CCDの特性を生かした発色やディテールの豊富さを楽しむ。
これが本来の使い方かと思われますが、個人的にはISO400程度でも十分にノイズレスだと感じました。
吐き出される画の立体感は、現行のフルサイズ機と比較しても圧倒的です。
今でこそフルサイズ機で4000万画素超えのモデルがありますが、本機も十分な高画素機。
ピントを合わせた手前の葉と背景の葉の切り分けが素晴らしいです。最高感度のISO1600でも色の破綻などは無いように感じました。
ところ変わって海のシーンです。
少し眠たさの残る中、深夜に車を走らせ海岸に向かいます。
波の音だけが響く真っ暗な世界からだんだんと薄闇へと移ろっていく景色は不思議な感覚を覚えます。
あっという間に明るくなりました。海は実に様々な表情を見せます。
持ち帰れる「光の情報量」が桁違いに多いため、逆光や強い斜光のシーンをどんどん撮影したくなります。
「天使の階段」とも呼ばれる薄明光線が印象的な仕上がりになりました。
まさに被写体が「そこにある」写真が得られる気がいたします。
枯葉なのに生命力を感じるその描写は、高性能なデジタルバックだけではなくレンズによるものも大きいでしょう。
冒頭にてこのレンズは3タイプあるとご紹介いたしましたが、初期型のMamiya製からSchneider製に変わった際にファインチューニングされており、開放時の描写力が上がっています。撮影画像を200%や400%に拡大した時ですら、1つ1つのピクセルがしっかり情報を持っていることが解るという素晴らしいレンズです。
朝起きると月下美人の花が。どうやら昨晩咲いたようです。
夜に人知れず花を咲かせる不思議な植物です。その時の香りは素晴らしいもの。
発見時はすでに枯れていましたが、その姿も美しさを残していました。
カラーフィルター付きのセンサーという事を忘れてしまうほど、モノクロも魅力的です。
濃いものは濃く。薄いものは薄く。
それぞれを描き「分け」る能力が高い恩恵は、色情報を排したモノクロでさえ感じられます。
ISO1600での撮影でしたが、ディテールの破綻などは目立たず程良い粒状感を出せました。
今回様々な被写体を撮影する中で、このセットの魅力に釘付けになってしまいました。
P30+のシンプルかつ合理的なUIは、最初はとっつきにくく感じます。
しかしながらデジタルバック本体にある4つのボタンで、撮影設定から画像の拡大・移動まで全てを行えてしまうのは慣れると快適ですし、645DFのAFセンサーは正確に被写体をロックしてくれます。
AF 80mmF2.8LSは、どんなシーンでも光の持つ魅力を余すことなく描き切ってくれます。
皆さまはどのような写真を撮りますか?
私は自分の見たもの、感じたものをフィルターをかけることなくそのまま映し出す写真が好きです。
そしてそれを実現してくれるカメラにいつか出会えるといいなと思いながら日々写真を撮っています。
(そしてカメラを集めています…。)
今回の組み合わせはまさにそれを実現してくれるものに感じました。
機材の衣替え、そう遠くはなさそうです。
最後に中判デジタルを使用したので「横長写真同好会」というブログを真似してみました。
意外と難しいです。皆様も是非、横長写真挑戦してみてください。
それでは、ご覧いただきありがとうございました。