二眼レフは、いかがですか?! 番外編③
今回は、2.8Fと3.5Fのともにプラナーレンズの比較に挑戦。 といっても、実はこれ前回と同日の撮影です。 前回、4台も首からぶら下げてなんて無理、とか書きましたが、実は3台ぶら下げていたんです… …嘘です、ぶら下げてはいません。 2台を鞄に詰め1台を下げて、1枚撮っちゃ入れ替え、1枚撮っちゃ入れ替えを繰り返していたんです。 …やっぱり、人通りの多い所では出来ません。
2.8F
3.5F
前回も書いていますが、改めて紹介すると、ローライフレックス2.8Fの撮影レンズには80mmF2.8のレンズ、3.5Fには75mmF3.5のレンズが搭載されています。
写りの違いとして一目で分かるのは、その画角の違いということになります。 対角線画角が80mmで52度、75mmで55度。 35mm判の50mmレンズが47度です。
35mm判レンズの焦点距離で換算すると、80mmが35mm判の44mmに、75mmが41mmに相当します。 まぁ、両方のレンズを使い分けている人には違いが意識される差かもしれませんが、通常は気にならないのではないでしょうか。 最短付近で撮影した時の違いが、下の写真のようになります。
(2.8F) F2.8
(3.5F) F3.5
開放での撮影。 たった絞り半段の違いで、「描写の違いは、あまり分かりませんね」と言おうと思っていたのですが、はっきりとした差が現れました。 2.8Fの大きなボケに対して、3.5Fの方が明らかに背景の線が出ています。 自分のカメラが、開放といいながら実は開ききっていなかったのでは、と心配になりましたが、絞りの羽根はきちんと開いていました。 実際、バックの光源も五角形になっていず、羽根の形が出ていないことが分かります。
(2.8F) F4
(3.5F) F4
同じF4にしましたが、背景の線の差は明らか。 2.8Fの方が、赤色に鮮やかさを感じます。
(2.8F) F5.6
(3.5F) F5.6
F5.6まで絞ると、ともに背景に五角形の光源が見られます。
(2.8F) F8
(3.5F) F8
3.5FのF5.6と、2.8FのF8が比較的近い描写か? 2.8Fの方が明るく、3.5Fは渋めの色味に思われます。
(2.8F) F4
(3.5F) F4
ここでも、同じ絞り値で大きな違いが出ました。 色味の濃さでは3.5F、鮮やかさという意味では2.8Fといえますか。 背景の鮮鋭度は3.5Fの方があります。
(2.8F) F2.8
(3.5F) F3.5
開放での撮影。 ボケ味の大きい2.8Fの方が、合焦面の浮き上がりがより強調されます。 背景の違いもはっきり現れました。
(2.8F) F5.6
(3.5F) F5.6
ちょっと絞ったうえで、こういう雑然とした風景を撮ると、あまり違いが分かりませんが、細部まで見るとピントの幅は3.5F の方が深いのが確認できます。
以上、前回の違いの微妙さからすると、逆にはっきりしすぎていて不安になります。 ので、「同じ機種でも個体差はあります」という断り書きを、あえてここに反復いたします。 いわゆる「逃げを打つ」というやつです。 …情けなっ…
今回の結果からいえば、2.8Fの方がボケが大きく、鮮やかというか明るい印象の発色になるようです。 といっても一眼レフのツァイス標準レンズ、プラナー50mmF1.4のようなとろけるボケとは違いますのでご注意を。 場面によってはガチャガチャとうるさく感じられることもあります。
3.5Fは、開放からもう少し芯のある印象。 発色もちょっと渋い感じを受けます。
というわけで、私的には、桜や紅葉などの景色をより鮮やかに撮りたいときには2.8Fを、街中の空気感をよりリアルに表現するには3.5Fを、と使い分けています… なーんて言ったら、格好いいですよね。 実際は、持っていった1台で何でも撮っちゃうんですがね。
…さてさて、せっかくなので、描写の違いだけでなく、操作性の違いについても触れておきたいと思います。 寸法的には全く同じサイズの両者ですが、レンズ(ガラス)の大きさの違いから、2.8Fの方がよりズッシリ感が強くなります。 おまけにボディ前面に重心がくるので、手のひらで支えた時、かなり前に傾くようなバランスになります。 それに対し3.5Fは、バランスよくすっぽり手のひらに納まる感じ。 シャッターレリーズも3.5Fの方が軽く、「カショッ…」という弱々しいまでの感触に対して、2.8Fは押し込まなければならない印象で、「パチン」という感じ。
私個人の経験からいうと、一眼レフから移行した時には、より明るくシャッター押してる感のある2.8Fの方が好感度高かったのですが、撮り慣れてくると、バランス良く優しい感触の3.5Fにより二眼らしさを感じ、好ましく思えるようになりました。
…まぁ、そのへんは全くの好みなので、なにより皆さんも当マップカメラで現物を手にして違いを実感し、自分の好みに合った1台を選んでいただけたらと思います。(宣伝、宣伝) …それでも選びきれないという方は、もう諦めて4機種コンプリートしてください。 そういう方、大歓迎です!!
続く… (文責・イット)