【SONY】 Planar T*85mm F1.4 (MM/AE)~ 【+α7S】
CONTAX一眼レフ用レンズの最高峰とも称される
「プラナーT*85mm/F1.4」
このレンズの描写を知らずして
レンズの良し悪しは語れない、と言われるほどです。
「写真はレンズで決まる」
いつか聞いたことのあるその言葉も
かつてのこのレンズがきっかけとなったとさえ言われています。
コッテリとした赤。
金属の冷たい光沢感。
質感描写が実に生々しい写りです。
偶然立ち寄った都立小金井公園で開催されていた
クラシックカーフェスティバル。
車の知識は全くといっていいほどない私でも
惚れ惚れしてしまうフォルム。
F値を8~11くらいまで絞っての撮影ですが
オールドレンズに分類されるレンズとは思えない精細な描写に
二重で惚れ惚れ。
どの写真も本当に素晴らしい写りで、全部載せたいくらいです。
勿論、まず実物の車の美しさが素晴らしい事が大前提です。
手入れの行きとどいていた車にオーナーの愛を感じずにはいられません。
僅かな光量でも撮影を可能にするF1.4という明るさ。
開放絞りに抵抗がある方にこそぜひ使ってみていただきたい。
掬いあげた光がこんなにも美しいレンズです。
単に「コントラストが高い」というだけでは説明出来ない濃艶な描写。
パァっと射し込んだ弱い光が印象的で
シャッターを切った撮影者の意図を丸ごと汲んでくれたかのような写りでした。
主役となる被写体は薄いピントに浮き上がり、
背景は主役を引き立てる最高のわき役になる。
無駄に思えるものが何一つないと感じさせてくれます。
そしてこのレンズを推すに言っておきたいこと。
それは縦撮りが実にかっこいいのです。
中望遠レンズに共通するところではあるかもしれませんが
最近ご無沙汰していた縦撮りを積極的に使っていました。
ピントの立ち方に軽く鳥肌がたちます。
撮りたい、と思った情景、その時に在った光の記憶を
溢すことなく切り撮ってくれました。
傾いてきた陽が空を夕焼けに染めていく。
このフェンスの向こう側では野球少年達が声を上げ練習していました。
これだけ光の透過を美しく写してくれるのですから
逆光にもどんどん立ち向かいたくなってきます。
ハレーション、ゴーストは「え、ここで出るの?」
と意外な時に出現しましたが
ほぼ回避出来るシーンがほとんどでした。
もう帰る時間。強い夕日の輝きに眩む視界。
はっきりとしたコントラストが個性の一つでもあるレンズですが
こんな淡い写りもいかがでしょうか。
優しく儚い世界。
朝が美しく、夕の暮れも美しい。
ほぼ絞り込みなしでもこの線の細さ。
一日の始まりから終わりまで、この一本で
楽しむことが出来ました。
実は以前に一度使ったことがあるのですが
そのときはあまりこのレンズにのめり込む事が出来ませんでした。
改めて使ってみることで気付く事もあるんだなと実感。
レンズは何も変わりはしないのに、見える世界が違って見える。
少しは成長できているといいのですが。
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