カメラのスタイル・サイズは前モデルの「X-Pro1」から大きく変更されていない様に見えますが。
上野氏:ほとんどそうですね。X-Pro2は前モデルから高さが1mm高くなり、厚みが約0.7mm増しました。
進化したギミックをX-Pro1とほぼ同じサイズにぎゅっと詰め込んでいる訳ですね。
上野氏:はい。サイズに関してはX-Pro2を開発するにあたり様々な議論を重ねてきました。先ほど申した「写真家ヒアリング」で海外の写真家にカメラサイズを聞くと、これがベスト、小さくも大きくもして欲しくない。という意見をいただきました。
日本のミラーレスカメラとしては決して小型・軽量では無い部類に入ると思いますが、やはり海外の方向けに手の大きさであったり体格の違いなども考慮してなのでしょうか。
上野氏:それもあるかもしれませんが、なんというか「日本人特有の美学」みたいなものがあるじゃないですか。小さいけれど高性能なものを作るっていう。やっぱり日本の小型化技術ってすごいですよね。おそらく、そういう美学が日本人の物に対する考え方の根底にあって、ましてやX100というカメラも見ているので、このくらいの大きさでX-Proの性能でレンズ交換式だったらいいのに、というところがあると思うんです。
しかし、レンズ交換式での使い勝手を考えるとX100に比べてレンズが圧倒的に大きいですよね。大きなレンズに対して小さなボディというのは重量バランスもそうですし、操作性も決していいものではない。小さくする事で色々と弊害も出てくるんですよ。
そういう事もあり、やはりX-Pro1と同じ大きさを目指すのが最適なんだろうというところに行き着きました。これは4年前(X-Pro1を出した時)に散々大きいと言われた事を百も承知で決めたのです。
基本デザインもほど踏襲されていますが、これも写真家やX-Pro1ユーザーからの意見などあったのでしょうか?
上野氏:実はX-Pro 1からX-Pro2の間にはたくさんのデザイン案があって、そこでは大胆に変わったものなどもありました。斜めのRをつけてみたり、小型にしてみたり。ですがX-Pro1というカメラは初号機だったので、我々はこのカメラを作り続け、これから育てていくだろうと考えた時、ここで大幅にデザインを変更するのは違うんじゃないかと思いました。そこでダイヤルの位置や機能、シャッターの位置などは基本踏襲して、デザイナーには「3m離れたら X-Pro1かX-Pro2かどちらか一瞬見分けがつかないようにしてくれ」とお願いしたんです。
実はこれは既にX100でもやっているんです。X100・X100s・X100Tという感じで。X100Tはかなりデザインが変わった方なのですが、それでも3台並べてどっから見ても「X100」というのがわかりますよね。やっぱりX-Pro2でもあれをやるべきでしょという風になった訳です。
唯一大きく変わったのは背面ですよね。親指がちゃんと置けて、各ボタンが操作しやすいように機能的に作り込みました。 その中でも一番チャレンジングだったのがSDカードスロットですね。ボディの厚みは約0.7mmしか変わっていないのに2枚差し込めるようにしました。SDカードだけ見ても厚みが0.7mm以上ありますよね、これだけ見ても開発の苦労と工夫がどれだけあったのかとお察ししていただけると思います。
なるほど。たしかにそうだと思います。他にシャッターボタン下のコマンドダイヤルが追加になったのと、グリップの形状も変わりましたか?
上野氏:X-Pro1の時はグリップがもっと薄くて長かったんです、それを幅を切り詰めて、前も後ろもより立体的な形状に変更して指掛を良くしました。これはショールームなどで実際に触っていただいているユーザーさんからも高い評価をいただいています。
これまで、フジフイルム Xシリーズミラーレス一眼のフラッグシップは「X-Pro」と「X-T」の双璧という謳われ方がされてきましたが、今回の発売をもって改めて「X-Pro」シリーズが富士フイルムのフラッグシップという認識で宜しいでしょうか。
上野氏:それはちょっと違います。やはりX-ProとX-Tでそれぞれ特徴がありますから。今回センサーが24Mへ進化しましたが、今までのXシリーズのミラーレス機は基本全部16Mでした。まずXシリーズのラインナップに優劣が無いんですよ。あとはお客様の使用目的や好みで選んでいただけたらいいという考えです。
例えばAFに関しては最初にX-T10に最高のものを積んで、そのあとX-T1はファームアップで追いついたという事がありました。もちろん機能が増えれば値段も上がりますが、だからと言って優秀な画が撮れるのかというとXシリーズの場合は別なんですよ。この2機種は値段は違いますが1枚の写真を撮り比べたところで同じはずです。センサーが同じなので。
これがXシリーズのポリシーなんです。
じゃあ、あえてフラッグシップと言ったら、X-ProとX-Tのシングルナンバーの双璧でいくというところは今後も変わらないです。そもそも我々からのメッセージとしては用途が違う2機種なんです。X-Proはスナップ・ドキュメンタリー系のカメラで、より目立たないスタイルと光学ファインダーで撮ることができる。X-Tはカメラマンが「私はカメラマンです」と主張して撮るカメラ。大きなレンズをつけてもグリップしやすいデザインですし、バッテリーグリップもつけられます。
ですので、あとはお客様がどちらが好みかということだけですね。
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