Tour delle Dolomiti -1-
Dolomiti(ドロミテ)の風景は特異なものだ。
白や灰色、あるいは黄色。石灰岩の鋭い峰がそこかしこに屹立する、一見荒涼とも思えるその景色は、無機質でありながら人の感性に訴えかける何かを持っている。
Dolomitiの象徴的存在のひとつ、Tre Cime di Lavaredo(ラヴァレードの三つの頂)に足を運ぶ機会を得た。
その名のとおり、質量感に満ちた岩峰が三つ寄り添いそびえる様は圧巻である。
ベースとしたCortina d’Ampezzoの街。1956年には冬季オリンピックが開催された。
まずはミーティング。目方と安全性は果たして比例するのだろうか。永遠の課題。
Tre Cime di Lavaredoへ向かう。夜が明けた。
垂直に切れ落ちる北壁が美しい。
左からCima Piccola(2,857m)、Cima Grande(2,999m)、Cima Ovest(2,973m)。
まずは真ん中のCima Grandeへ取付く。
「Via Comici-Dimai 5.11a 18Pitch 550m」
エミリオ・コミチとディマイ兄弟が1933年に3日間をかけて拓いた、世界的にも著名なクラシックルート。
北壁の右寄りを突き上げる美しいラインだ。
難しい部分は傾斜の強い下部に集中しており、
やや前傾した壁を、巧みなライン取り、かつ直線的に結ぶ。
ドロミテの天使と称されたエミリオ・コミチ(1901-1940)の、直登こそ美しい、という信念をひしひしと感じるばかりである。
行程も半分を過ぎると、傾斜は緩み、背後の風景も広がりを増す。
登ったら降りる。さあ、帰ろう。
水平道を歩いて、南面のノーマルルートを下るべく下降点を目指す。
懸垂下降やクライムダウンを繰り返す帰り道は、気が抜けない。
疲れました。
一つが終わり、残すは二つの峰。楽しみである。
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◎使用した機材
「RICOH(リコー) GR II」
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