~第一部~ G9 PRO & LEICA DG Lensが欲しくなるポートレートセミナー
2018年5月19日(土)マップカメラからほど近い新宿ファーストウエストビルにて『Panasonic LUMIX G9 PRO & LEICA DG Lensが欲しくなるポートレートセミナー』を開催いたしました。
講師にお招きした上田 晃司氏には以前にも何度かマップカメラのイベントに出演していただいておりますが、今回はパナソニックの静止画のフラッグシップ機である『LUMIX DC-G9 PRO』でポートレート撮影をする際のテクニックをご教示いただきます。
マップカメラでは様々なセミナーを開催しておりますが、今回のようにポートレート撮影メインのセミナーを開催するのは久しぶりです。お客様からのご応募も多数いただきまして、当日は嬉しいことに満員御礼!ご参加いただいた皆様に心より御礼申し上げます。
G9 PROを使いこなした素晴らしい作例写真もさることながら、上田氏独自のG9 PROカスタマイズ内容の紹介などG9 PROを既にお持ちの方もそうでない方も十分に楽しめる内容でした。今回は特別に上田氏の作例写真をご提供いただくことができましたので、作例写真も交えてセミナーの内容をご紹介したいと思います。ぜひ最後までお楽しみください。
セミナーの前半は、上田氏作成によるG9 PROの魅力が詰まったスライドを見ながらの座学です。画質、手ブレ補正、AF、連写、操作系の5つのポイントに分け、分かりやすく解説をして下さいました。熱心に頷きながら耳を傾けているお客様の中には、メモを取られている方も。
上田氏:「撮影をしているとどうしても絞らなければならないシーンがあると思うのですが、レンズは絞り込んでいくとどんどん画質が落ちていきます。僕の感覚ではF4くらいから落ちていくイメージです。ただ、絞って光条(光芒)を出したい方もいると思います。その際に役立ってくるのがG8から積まれた「回折補正」という機能です。
写真の看板の文字やクレーン車の線を見ていただくと良く分かると思いますが、回折補正機能を使用することでもやもやとしていた描写がクリアになるのです。絞らなければならない撮影シーンや、絞って撮影をするのが好きな方はぜひこの回折補正をAutoにして撮ってみてください。」
写真を見ると確かに回折補正ありの方がくっきりとシャープな印象です。
ちなみに、回折補正はAutoかOFFしか選べませんので使用する際は「Auto」を選びましょう。
上田氏:「今回、以前から搭載されている顔・瞳認識AFがさらに進化して「人体認識AF」も可能になりました。ポートレートを撮影する際に、モデルさんがこちらを向いていない時でも「人体」として認識してくれるので、かなり精度の良い撮影をすることができます。
僕の専門はストリートスナップなのですが、実はこの機能をかなり使います。これに慣れてしまうと非常に撮影が楽になりますし、恐ろしいほど未来を感じる機能の一つです。ちなみに、僕はAF-Cにしてどんどん撮ります。カメラが人間をしっかりと追ってくれますから。」
昨今のデジタルカメラにはほとんど顔・瞳認識AFが搭載されているイメージを受けますが、「人体認識」というのはなかなか聞き慣れない言葉です。上田氏によると、人物が多いところで撮影をした場合はタッチでピントを合わせる人物を選べるとのこと。上の画像をご覧いただくとよくわかりますが、ピントを合わせた人物は黄色い枠に変わります。
上田氏:「操作面で1番に見ていただきたいのが「ファインダー」です。ファインダーのすぐ横にあるボタンを押すとファインダー倍率を変えることが出来ます。これはミラーレスカメラの特権だと言えるでしょう。
ファインダー倍率は広ければ良いというものではありません。風景を撮る時はじっくりと最大倍率である0.83倍で見ていただいて良いのですが、動きものを撮る時には0.83倍だと逆に広すぎて構図があやふやになってしまいます。こういう時は敢えて0.7倍で撮っていただくと構図が決めやすく、スムーズに撮影をすることが出来るのです。
また、僕のようにメガネをかけている方の場合は0.83倍だとケラれてしまう可能性がありますので、0.77倍くらいにしてみると良いかと思います。ぜひファインダー倍率を切り替えてベストな部分を見つけてください。」
ミラーレスカメラの特権だと上田氏も仰っているように、光学ファインダーで倍率の変更をすることはできません。ユーザーのニーズに合わせてカスタマイズできる仕様はとても嬉しいポイントです。
上田氏:「この写真は『LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm F2.8-4.0 ASPH.』で撮影をした写真です。
中央がシャープなのは当たり前ですが、このレンズは端の方までしっかりシャープに写ります。流れもほとんどありません。
そして、小さなセンサーの中にドットがあるため、線が細く見えるというところがマイクロフォーサーズの大きなメリットです。遠景でシャープな画が撮りたいという方にはベストな規格であると思います。
また、僕は基本的にレンズを絞りません。絞ると画質が落ちてしまうため、F8までと決めています。」
マイクロフォーサーズが気になるけれど、センサーサイズが小さいから…と思っている方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、小さいセンサーサイズだからこそ出来ることとその魅力についてもしっかりと伝えて下さいました。
また、レンズ選びについてこのようなアドバイスもいただきました。
上田氏:「僕は単焦点派で、ズームと単焦点を完全に切り分けて使っています。その指標をお教えすると、自分で近づいてどうにかなるなら単焦点で、1歩2歩近づいて変わらない世界ならズームと決めています。
例えば、ハワイの大自然に僕が3歩寄っていっても画角はぜんぜん変わりませんので、ズームで変えます。一方、ポートレートの場合は自分が動けばどうにかなりますし、ストリートスナップでも自分が動けばいいので単焦点を使います。
なので、風景を撮りに行くときには単焦点は持って行きません。せっかくの小さなシステムですから、荷物を減らすというのが一番大事。なので、迷っている方がいたらそれを指標にしてください。」
上田氏:「今日ぜひ使っていただきたいレンズとして、『LEICA DG SUMMILUX 25mm F1.4 ASPH.』と『LEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2 ASPH. POWER O.I.S.』が挙げられます。
25mmは少し古いレンズではあるのですが、1本だけレンズを選べと言われたら僕は多分このレンズを選びます。ズミルックスなのでピント位置は非常にシャープですが、ボケは溶けるような美しいボケで、色も綺麗に混ざるレンズです。
バストアップで撮ろうとすると40cmくらいまで近づかなければなりませんが、こういう時に「顔・瞳認識AF」にしておくと完璧に合わせてくれます。顔認識だけではダメなんです。例えば、彫りの深い人を撮る場合に顔認識だけだとピンボケをすることがあります。ですが、瞳認識があると目をしっかりとロックしてくれるのですごく使い勝手が良いです。寄りのポートレートの際はぜひ合わせて使ってみてください。
そして42.5mmは、いわゆるポートレートレンズです。今日一番使いやすいレンズだと思います。奥行感やボケ感が独特なので、ぜひ開放F1.2で使ってください。」
上田氏がNOCTICRONを推したこともあり、この後のポートレート撮影ではNOCTICRONが大人気!中には「このレンズいくらですか?」とスタッフに尋ねる方もいらっしゃいました。少し使っただけでも欲しくなってしまう、魔性のレンズです…。
会場にずらりと並べられたG9 PROとLEICA DGレンズシリーズ。いよいよこの後、撮影会が始まります!
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