【Voightlander】MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5
…weil das Objektiv so gut ist
(訳:なぜならレンズがとてもいいから)
オーストリアのウィーンで創業した世界最古の光学メーカーと言われている
フォクトレンダー社の有名なキャッチフレーズ。
今なおその血は脈々と受け継がれ、日本のコシナが
フォクトレンダーブランドの製品を作り続けています。
今回はそのフォクトレンダーブランドから新たに発売された「MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5」をご紹介。
α7RIII+MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5
ss1/200 F2.5 ISO100
「フォクトレンダー史上最高」と謳われたハーフマクロレンズ「MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical」が
昨年の8月に発売されたのは記憶に新しいところです。一部のユーザーの間で「これはすごいレンズだ」と囁かれ始めたのも束の間
あっという間に口コミが拡がり市場の在庫が一時的に枯渇するほどの人気を博していました。
本レンズは今年3月のCP+2018にて発表され、一度の販売延期を経て発売となります。
補足ですが、フォクトレンダーブランドの製品をを今なお世に送り出しているコシナからは近い焦点距離のマクロレンズがここ近年でも2本出ており
1本目はカールツァイスの「Milvus 100mm F2」(旧MACRO-Planar 100mm F2)。
2本目はすでに生産完了となっていますがフォクトレンダーの「MACRO APO-LANTHAR 125mm F2.5 SL」がありました。
今回はこの間の焦点距離を持つ「110mm」という、これまた35mm判ではなかなか見ない焦点距離を持ったレンズとなっています。
筆者も予約開始日には即予約を入れ、首をなが~くなが~くしながら待っていた65mmで魅せられたファンの一人。
早速撮影に及んで参りましたので”MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5“の描写をご覧ください。
α7RIII+MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5
ss1/200 F2.5 ISO100
100mmから半歩だけ前に出たようなレンズですので、いわゆる中望遠域を担当する本レンズ。圧縮効果で作画するのも良いですが、せっかくの大口径ですので中距離でのピントの立ち上がりとボケ味を見てみます。
うっすらと背景に巻きそうな気配を感じますがしっかりとピントは立ち上がりボケもなだらかです。
α7RIII+MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5
ss1/100 F2.5 ISO200
さて、まずは「APO-LANTHAR」のおさらいですが、フォクトレンダー製品の中で最も高い光学性能を持つレンズに与えられる銘。そして同時に「APO」の名を冠するレンズでもある事からアポクロマート仕様であることも伺えるレンズでもあります。
このアポクロマートは色滲みの原因となる軸上色収差(ピント面前後のパープルやグリーンのフリンジ)及び倍率色収差(画面周辺部に発生する外方向への色ずれ)を補正したレンズ。
α7RIII+MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5
ss1/160 F2.5 ISO200
と言われてもなんのこっちゃという感じだと思うので、白が多い被写体をご覧いただければと思います。
大口径レンズでは最早宿命とも言える色ズレが全くと言っていいほど発生しておらず、色が濁ることがありません。
α7RIII+MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5
ss1/160 F2.5 ISO200
そして色の繋がりに優れるという事は中間トーンからシャドウに移り変わるようなシーンを撮影しても澱む事無く、1枚ベールを取り払ったヌケの良い作画づくりが行えます。また今回はレンズ構成に非球面レンズを使用していないとの事。点光源などが含まれるシーンでもより滑らかなボケ味が楽しめるでしょう。
それにしても実に気持ちの良い写りです。
α7RIII+MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5
ss1/200 F2.5 ISO100
そこに在るという存在感、いかがでしょうか。
持ち帰ったデータを大きな画面で見てみたのですが、先代もそうであったように一体何千万画素を見越して作っているのだろうかと感じずにはいられない解像感です(こちらは記事用に縮小をかけてしまっていますが)。
構図の関係上真ん中に目が行きがちですが、左のガラス戸の汚れた様子までしっかりと写しています。
線が太ったりギスギスしたりすることはなく、細かく描き分けていくので光線状態の助けもあればポートレート撮影などでも力を発揮しそうです。
α7RIII+MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5
ss1/320 F2.5 ISO100
とにかくありのままをキャプチャーするレンズだなと感じます。
レンズによってはそのレンズが持つ”味”が良い雰囲気を作り出してくれる事があると思うのですが、その味が描写に介在しません。
ある意味非常に難しいレンズであると言えるかもしれません。
α7RIII+MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5
ss1/60 F2.5 ISO100
ここからはモノクロを何枚か。
α7RIII+MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5
ss1/400 F2.5 ISO100
線が細かく、トーンも豊富となれば質感描写にとても優れたレンズとも言えるでしょう。
布は布、木は木。触れずとも伝わってくるようなリアリティがあります。
α7RIII+MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5
ss1/160 F2.5 ISO100
α7RIII+MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5
ss1/20 F2.5 ISO100
佳い光を探すのがとても楽しいレンズです。
α7RIII+MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5
ss1/25 F2.5 ISO100
α7RIII+MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5
ss1/60 F2.5 ISO100
以前にも同じ場所で撮影をしたことがあるのですが、その時は35mmでした。
110mmでどう撮るかなあと悩んだ時に今回のような構図にしてみたわけですが、縦構図を使ってあげる事でキリトリ感を残しつつ屋内でも窮屈さをなくせます。
α7RIII+MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5
ss1/320 F2.5 ISO100
α7RIII+MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5
ss1/200 F2.5 ISO100
描写は濁らずとも、澱んだ空気は写し取ります。
しっとりと静かに佇むカーテン、いかがでしょう。
α7RIII+MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5
ss1/250 F2.5 ISO100
斜光が部屋をゆるりと満たしていましたので、3~4mくらいのレンジからスパッと。
この日は生憎の曇りで撮れ高はあまり良くないだろうなあと思っていたのですが、蓋を開けてみれば何という事はありませんでした。
脚色がなく、ありのままの光を捉えてくれるレンズのおかげかもしれません。
日も暮れてまいりましたのでこの辺りにいたしましょう。
・・・
いかがでしたでしょうか。
フォクトレンダー史上最高と謳われた先代にも勝るとも劣らないレンズで
高い解像力、色滲みを徹底的に抑制したアポクロマート仕様が
ヌケの良いトーンと素直な色の繋がりを魅せてくれます。
また先代には無かった柔らかさも相まってポートレートなどにも良いのではないかと感じました。
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