【OLYMPUS】OM-D Special Forum 2019 in Tokyo
「OLYMPUS OM-D Special Forum 2019」
先に大阪で行われ、都内でも初のお披露目となった「OM-D E-M1X」を触りに会場へと足を運んだ。
前日に雪の予報となり、無事に会場にたどり着けるか不安だったが
筆者が会場に着いた時にはすでに沢山の方が開場待ちの列をなしていた。
もちろん開場とともにハンズオンコーナーはすぐに長蛇の列となった。
待っている間に興味深いものが目に飛び込んできた。
まずは2020年発売が予定されている
「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」のモックアップや
E-M1Xのグリップの制作過程が分かるモックなどをご紹介したい。
テレコン内蔵型で、35mm判換算にして1000mm F5.6 という驚異的な焦点距離になる。
それに加えて2倍のテレコンを付けることで2000mmを実現するという。
こちらは現在鋭意開発中、ということで発売が今から待ち遠しい。
M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4 PRO 断面図
OM-D E-M1 Mark II 2000台限定シルバー
驚いたのは初期検討品と最終品の握り心地の違いが
「確かにややあるかな?」と思うくらいの差であったこと。
その微分の違いを突き詰めるデザイン、開発者達の熱意や素晴らしい。
関係者の方に聞かせてもらった話の中で興味深かったのは
プロの方が本当に重視するのは重量ではなくホールディング性だということ。
今回のE-M1Xのグリップは縦位置と通常の掴み具合に違いがない。
このグリップの掴み具合で購入を決めた、という方もいらっしゃるという事だった。
ISOボタンに突起がついているのが分かる。
これは夜間の撮影などでボタンを視認出来ない場合でも触感でボタンが分かるように、という配慮の上でデザインされている。
勿論それだけでなく縦位置グリップ一体型になり、ボディの面積が増えても操作しやすいようにボタンの配置がされている。
「撮影に集中出来るように」という想いが見事にカメラに体現されているのだ。
さて、ここでE-M1Xを実際に構えた写真を撮らせてもらえたのでご紹介したい。
余すことなくしっかりとグリップできている。
E-M1 Mark II のグリップもホールディング性が良く掴みやすいと感じていたが
筆者の場合望遠レンズを装着した場合やや小指に負担がかかる。
E-M1Xのグリップではその負担もなくがっしりと掴むことができた。
前述の通り、グリップがこのカメラの決め手に十分なり得ると感じた。
斎藤巧一郎氏と開発者の対談形式で E-M1Xについて語り合っていた。
例えばE-M1Xには映像エンジンが二基搭載されている。
勿論制御は複雑化し熱問題も出てくる。
そのための「ヒートパイプ」を搭載。
これは E-M1 Mark II のサイズでは現状搭載が出来ない、E-M1Xだからこそ出来たことだそうだ。
実は7.5段分を測定する環境が存在していなかったため、
まずは測定できる実験室から作ったということ。
今回搭載された手持ちハイレゾの仕組みは手持ちである以上位置がどうしてもズレてしまう。
ならば「あえてそのズレを利用してしまおう」という逆転の発想から生まれた。
という、ついつい耳を傾けてしまうような面白い内容が続いた。
タイミングを見て筆者もハンズオンコーナーで「OM-D E-M1X」を触らせてもらった。
モニターに映る被写体に対して「インテリジェントAF」と「ライブND」
そして「手持ちハイレゾ」を体験させてもらった。
「インテリジェントAF」はまず被写体であるモーターカーの全体を枠で捉え
半押しでレーサーのヘルメットを追従し続けた。
映像なので急に場所が変わってしまって外れることもあったが
実物はより確実に追従するということだ。
今回の「インテリジェントAF」はAIのディープラーニングテクノロジーを利用したもので、膨大なデータを蓄積させることで
被写体追従性の劇的な向上をもたらしている。
カメラ単独で学習するわけではないのでリアルタイムで進化していくわけではないが「ファームウェアアップデートという方式で、追従性向上を還元できる可能性がある」という話が興味深かった。
余談ではあるが、エントリー機向けの「インテリジェントAF」も面白いかもという話になったが、現状では映像エンジンを2基搭載することで実現できる機能であり、またそれだけ基板の大型化を招くため、小型軽量が求められるエントリー機への搭載は長く険しい道のように感じた。
ぜひとも実現に向けた今後の技術向上に期待したいと思いつつ、次のコーナーへ足を運ぶことにした。
続く 清水哲朗氏によるトークライブでは
M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4 PRO による手持ちの動画撮影や
様々な過酷な環境でも問題なく使えるE-M1Xの魅力を語っていた。
電池の充電が満足に行えないような環境下でも活躍出来る。
もともと大容量の BLH-1 は二個で約800枚の撮影が可能ということだ。
続くコミュニケーションスペースで
斎藤巧一郎氏と清水哲朗氏はそれぞれE-M1XのデザインやライブNDについて語り
参加者達からの質疑応答にも答えていた。
清水哲朗氏の撮影した 手持ちライブND写真
便利なのは撮ってから確認ではなくその効果がリアルタイムで見られること。
今までであれば三脚が必要だった長時間露光が手持ちで、しかも突発的な瞬間でも対応できる。
筆者の目玉は手持ちハイレゾだったのだが今回のフォーラムでこの「ライブND」が
最も気になる機能になってしまった。まさに「撮影領域を広げる」機能なのである。
という質問をさせてもらった。
その答えは何をおいてもまず「信頼性」ということだった。
ダスト処理に追われて撮影後の処理が大変。
だからこそE-M1 Mark II でも好評だったダストリダクションの機能をさらに進化。
砂埃舞う中でもゴミを気にすることなくレンズ交換が可能になった。
雨や過酷な環境でも使い続けられる防塵防滴性能。
Toughシリーズでも採用しているラバー素材でシーリングを施す。
動作保証はIPX1 だが実際のテストではさらに過酷なテストをクリアしている。
放熱性を上げる為の「ヒートパイプ」の採用。
長時間撮影を可能にする為のグリップのこだわり、ボタンの配置、デザイン。
これらは撮影者のストレスをなるべく減らし、より多くのシャッターチャンスを掴むための機動力につながる。
手持ちによるハイレゾ撮影やライブNDなどは
まさに「撮影領域を広げる」というキャッチコピーを体現する機能だ。
マイクロフォーサーズだから実現出来た機能の数々。
「信頼性」という言葉にしてしまうと曖昧なものを
しっかりと形として作り上げ、実現させたE-M1Xはまさにこれからの
OLYMPUSの可能性を広げ続けるカメラだろう。
最後に新しくなった現像ソフト
Olympus Workspace の紹介をしたい。
従来の現像ソフトより飛躍的に処理が早くなった。
拡大したい箇所をカーソルで合わせクリックすればそのポイントで拡大する、など
使い易さも向上している他、明瞭度、かすみ除去などの機能の追加もある。
既にダウンロードは開始しているのでOLYMPUSユーザーなら使ってみたい。
今後はOLYMPUSの現像ソフトはこちらを利用してほしい、ということだ。
OM-D Special Forum 2019
最後は名古屋での2月16日開催となる。
ユーザーの疑問や質問に熱意を持って答えてくれるので
気になっている方はぜひ会場に足を運んでもらいたい。
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