CONTAX T3
デジタル全盛の時代にあっても、手放せないフィルムカメラがいくつもあります。
Nikon S2やF100、Rolleiflex 3.5BやAsahi Pentax SPなど、手元には様々なカメラがありますが、
とりわけこの一台というものがあります。
それは「CONTAX T3」というコンパクトフィルムカメラです。
フィルムコンパクトカメラの頂点をRicoh GR1やMinolta TC-1などと競い合った銘機。
どれもこれも個性派揃いですが、その中でも使っていて、とりわけ私を魅了した描写をしたカメラがCONTAX T3でした。
空のトーンも美しく描いてくれるだけでなく見たときの気持ちをそのまま写し取ってくれる気がしてなりません。
TC-1のガツンとくるコントラスト溢れる描写と違い、自然な写りをしてくれます。
コンパクトカメラにおいて中抜けが少なく、非常に優秀なAFです。
フィルムコンパクトに多い中抜けが嫌いで、一眼レフを使わざるを得なかったことも多いのですが、
CONTAX T3は他のコンパクトカメラの中でもとりわけ中抜けが少ないカメラです。
ピント面の解像力も高いのは当然と言わんばかりの描写をします。
とはいえ、中抜けしないわけではありません。強烈な逆光時など中抜けをすると、いったりきたりでピントを外すこともあります。
ピントを外してもボケが綺麗なため、その場の雰囲気を持ち帰るような写真になったりもします。
そのためでしょうか。不思議なことに、T3なら中抜けしても許せる事が多い気がします。
秩父にある天空のポピー畑です。撮影したころは今ほど有名でもなく、整備もほとんどされていない状態でした。
35mm F2.8というレンズではありますが、これだけ離れた人物でも自然と浮かび上がるような雰囲気で撮影できます。
ツァイス単焦点×フルフレームをジーンズのポケットに収め、銘レンズCarl Zeiss Sonnar 2.8/35を存分に
楽しめるだけの操作性を、小さな筐体にギュッと詰められたカメラ。
いつも傍らに居てくれる孤高のツァイスがCONTAX T3というカメラです。
デジタルとは違い、ネガもポジもフィルムとして形が残るフィルムカメラは、その日、その場所にあった光を
一緒に居てくれたフィルムに残してくれること、デジタル全盛の時代にあっても、やはりフィルムカメラを
手放すことができない理由のひとつです。
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