スパイス12
どんよりとした天気の中に、時折見せる晴れ間。
照らされる新緑の木々が、より一層青々としてきた文月。
昨日、SONYより新型のミラーレスカメラが発表される等、
今年のミラーレス市場はますます盛り上がってまいりました。
しかしながら、Nikonを愛してやまない私は、相も変わらず、
愛用のボディと共に写真活動に臨みます。
今回の撮影に持ち出したのは、愛機Nikon Z6と、Z 50mm F1.8 Sです。
50mmは基本の「き」である
去る7月初旬、私はZ6と、持ち出したZ 50mm F1.8 Sと共に、箱根の山中におりました。
今まで私が執筆した「スパイス・スウィーツシリーズ」を読まれた事がある方なら、「また50mmか」など思われる事もあるかもしれません。しかし、50mmはとても奥が深いのです。
50mmは、36×24mmの撮像面を持つカメラにとっては、まさに基本的なレンズの一つ。
50mmという焦点距離で体に刻まれたワーキングディスタンスは、私を初心に立ち返らせ、テンポ良くシャッターを切っていくことに貢献してくれます。
そしてなにより、50mmはその銘柄によって一つ一つ個性があります。たとえば同じガウスタイプをベースとする光学系であっても、50mmは銘柄が違えば写りの雰囲気もまた違います。
無論これは50mmに限らずどのレンズにもいえることかもしれませんが、やはり定番なレンズだけに、”同じような50mm”だけでもあまたの種類があり、その一つ一つが深い味わいを持つのです。
さて、そういったわけで、満を持しての50mmでございます。
(ISO200 F1.8 SS1/500)
ロープウェイの中での一枚。
50mmという画角が体に染み付いているせいかもしれませんが、視界をそのまま切り取るような感覚でスナップすることができます。
少しアンダー目ですが、金属の質感や、服のしわなど、階調豊かに表現することができました。
(ISO200 F1.8 SS1/6400)
芦ノ湖遊覧船の船上からの一枚。
穏やかな休日の時間を感じさせます。
開放だとわずかながらに周辺光量が低下しますが、1~2段絞ればほぼ目立たなくなります。
ディテール表現に関しては、ご覧の通り開放から極めて良好で、遠景の細かいパターンの描写にまで用いる事ができます。
(ISO200 F1.8 SS1/2000)
(ISO200 F1.8 SS1/8000)
ゆっくりと時間が流れているのは、きっと私だけではなかったはずです。
平日で観光客の少ない船上では、乗り合わせた人々が思い思いの時間をすごしていました。
アンダーでも、オーバーでも表現できるような、独特の艶っぽさ。
この描写は、このレンズの最大の魅力と感じます。
(ISO200 F8 SS1/200)
湖上を横断中に見かけた小さな鳥居。
思いがけないロケーションの出現にあわててシャッターを切りますが、
高速・静粛なオートフォーカスの性能や、ボディ内手振れ補正もあいまって、良い塩梅に写真に収めることが出来ました。
(ISO200 F1.8 SS1/200)
箱根神社の大鳥居は観光客で大行列。
皆さん様々なポーズで記念写真を撮影していました。
撮影旅行中の私は、あくまで俯瞰的に、一歩はなれたところからシャッターを切ります。
コントラストが高く色収差などが発生すればわかりやすそうなシチュエーションですが、開放でこの描写なのですから、良好に補正されているということが良く分かります。
(ISO200 F2 SS1/1600)
滞在中曇りの予定でしたが、山の神様の恩寵か、ずっと晴れてくれました。
おかげで、歩くたびには汗ばみ小休憩。
木漏れ日の差し込むカフェで、一服します。
最短撮影距離は40cmほどなので、従来のNikon AF-S 50mm F1.8よりもわずかながらに縮まっており、使い勝手の向上に貢献しています。
よって、このような卓上の写真も、比較的苦労せず写真に残せるようになりました。
それ以外にも、良好なボケ味なども伴って、何気ないシャッターが予期せぬお気に入りの写真になることもしばしばありました。
Zと共にあるべき、優秀な”標準レンズ”
二日間の撮影旅行で、一緒に持っていったいくつかの機材を差し置いて、私はZ 50mm F1.8 Sに首っ丈でした。
なんとも艶やかで、絶妙なコントラストの描写に、私は虜になってしまいました。
また、旅行にこのレンズを選択したのも慧眼だったかもしれません。
カメラバッグにはPeakDesignのTravel Backpack 45を選び、Z 14-30mm F4 Sなども同時にパッキングしましたが、現状発売されているZレンズは、F4やF1.8のものはレンズの背の高さが揃えられているため、効率的に荷物をまとめる事ができます。
そしてなにより、415gと軽量です。
「F1.8だから・・・」と選択を憚っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、このレンズの魅力は、そのコンパクトなサイズ感と、そこからは想像できないような良好な描写性能にあります。
こういった設計を実現できたのは、新開発のZマウントによる恩恵なのかもしれません。
“抑えの”、そして”基本の”50mmとして。あなたのラインナップに加えてみてはいかがでしょうか。
よろしければ前回のスパイスもご覧ください。
Z 24-70mm F2.8 S編
↓今回ご紹介したレンズはコチラ↓
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