「蔵造り」の町、川越が今アツいらしいという話を聞いてカメラを持って散歩に行ってみました。
行ってみると通りも整備されていて、その観光地としての仕上がりぶりにびっくり。
蔵造りの町並みはもちろんすばらしかったのですが、それ以外にもグッとくるモノを多数見つけることが出来ました。
(※残念ながら天候にめぐまれず、であれば!ということでモノクロに。)
第八十五銀行本店本館(現りそな銀行川越支店) 大正7年に建てられた建物。
震災前の当時としては珍しかった鉄骨鉄筋コンクリート造の建物ということです。
「フカゼン」という掛軸と額縁を扱っておられるお店。
川越らしい蔵造りの建物で、屋根の上の防火壁も目立ちますが、なんといっても「SILK-SCREENS・EMBROIDERIES(刺繍?)・・」という軒下の切り文字看板の書体にグッと来ました。
明治28年の建物。残念ながらこの日はお休みでした。
武州銀行川越支店(現川越商工会議所)昭和3年に建てられた建物。鉄骨コンクリート造。
現在は川越商工会議所として使用されています。
「伊勢源」という酒屋さんと「小川菊」といううなぎ屋さん。
うなぎ屋さんは大正13年ころの木造三階建築。
2軒の間にあるレンガの防火壁が目をひきます。
川越といえばサツマイモというイメージがあったのですが、うなぎも名物のようで、町のそこかしこにうなぎ屋さんを見かけました。
震災後に建てられた「看板建築」の特徴を見せる住宅。
看板建築とは、二階建ての店舗兼住宅で、建物前面を平坦にしてモルタルなどで仕上げ装飾をつけた住宅。
関東大震災後、防火という観点から道路幅を広く取り直す区画整理が行われたため、
それまでの商家の特徴であった大きく張り出した軒を持つ建築を建てられなくなったのと、
防火性向上のため外壁を難燃性素材で覆う必要があったため創出された建築で、
当時の洋風デザイン志向をうかがわせるモダンな外観が特徴。今見ると懐かしいようなカワイイような不思議な魅力を感じます。
「シマノコーヒー大正館」。
こちらは昭和初期の建物を改装して営業されている喫茶店。やはり看板建築の特徴が見られます。
店内の雰囲気もステキでした。
ブルーマウンテンも大変美味しく、満ち足りた休憩時間を過ごすことが出来ました。
大正期は「関東大震災」という未曾有の大災害があり、耐震、防火、そしてスペース効率という点から一般住宅、商店建築において考え方、様式に大きな変化があった時期のようです。
川越という町には明治期までの「蔵造り」大正期の「木造三階建築」「鉄骨鉄筋コンクリート造洋風建築」「看板建築」など様々なジャンルの建物が多く残っており、しかもみな現役で使用されています。
川越に限らず歴史ある地方都市であれば、まだまだこのような趣のある建築が残っているかもしれません。
そのような建物を足をつかって探し、レンズを通して「採集」する「建物採集」もなかなか面白いかも、と感じました。
それにしてもフィルムで撮ってスキャナでデジタルデータに変換しPC上でいじるという一連の行為に、時間がたつのを忘れるほどの楽しさを感じます。
時間がかかるのはフラットベッドスキャナで一つ一つ読んでいるせいもあるのですが・・。(専用機は速くてキレイなんだろうなあ)
それぞれ千差万別の楽しみ方を内包する「写真」、奥が深いです。
【撮影データ】
CONTAX RX
Distagon 35mm f2.8 YASHICA DSB 50mm f1.9
DNP CENTURIA 100 / FUJI REALA
EPSON GT-F520でフィルムスキャン
Photoshopでリサイズ、グレースケール変換、レベル調整