【マップカメラ鉄道倶楽部RailMap】千葉のSL、代走貴婦人
今年も恒例の春の千葉県観光キャンペーンが始まりました。
去年、一昨年とマップカメラ鉄道倶楽部でも蒸気機関車の運転イベントを中心に紹介してきたこのキャンペーン。
今年もD51の運転イベント実施が早々に発表、以来この日を楽しみにしていました。
ところが、年の瀬も押し迫った頃に悲しいニュースが…。
悲しいニュースとは昨年末、宮城県の車両基地で試運転の準備中にボイラー内の水が足りないのに関わらず、
石炭を燃焼させた空だき事故が発生したとの事。外壁の一部も溶けてしまう大惨事で修理には最大1年半かかると
言われています。
安全確認が第一の鉄道会社でまさかのボイラーの空だき事故。今後のスケジュールも白紙との発表に心配しました
が、先日ののり氏の記事にもあったように急遽、磐越西線で活躍中のC57形蒸気機関車での代走が決まりイベント
の中止は免れました。
今年の運転区間は京葉線の千葉みなとから内房線の木更津まで。
例年同様、最後尾にディーゼル機関車を連結し、一旦逆向きで木更津から千葉みなとまで走り、ディーゼル機関
車を切り離した後、SLの牽引で木更津まで戻ります。
中止になりかけたSL運転。しかも代走はD51と並ぶ日本を代表する蒸気機関車C57。
そう考えたらいてもたってもいられなくなり、試運転日を調べ一足早くフライングで出掛けてしまいました。
姉ヶ崎駅に停車中の試運転列車。小雨交じりの寒い日は、SLのボイラーから発せられる熱と煙で周りは白一色に。
停車中にも関わらず、風が吹く一瞬のみがシャッターチャンスでした。
C57形蒸気機関車はボイラーの細いスマートな車体で「貴婦人」の愛称で親しまれています。
山口県内を走る「SLやまぐち号」と同型の機関車と言えば、西日本地区の方にもお馴染みだと思います。
実はその山口のC57、過去に千葉県内で活躍していた経歴を持っており、そちらが走れば里帰りとしてもっと盛
り上がったのではないかと、勝手な妄想がふくらみます。
プレートと一緒に掲げられているのは、もはやお馴染みとなった千葉機関区を示す「千」の札。(写真左)
ボイラーの先端には通称「門デフ」と呼ばれる除煙板が取り付けられていました。(写真右)
除煙板は走行時に受ける向かい風を上昇気流に変え、煙による視界不良を防ぐ働きをします。
特徴的な形をしている除煙板は九州の門司鉄道管理局で作られたデフレクターということで「門デフ」と呼ばれる
ようになったそうです。
SLの鼓動と石炭の香を満喫した後SLの出発駅、千葉みなとへ先回り。
千葉みなと駅は千葉県のシンボルタワー「千葉ポートタワー」の最寄り駅。
思い切って地上113mの展望台からの撮影にも挑戦してみました。
DE10形ディーゼル機関車の先導で港を回り込みながら千葉みなと駅まで向かいます。
千葉都市モノレールの軌道を見ながら、後ろ向きにゆっくりと千葉みなと駅に入線(写真左)
非公開の試運転にも関わらず、千葉みなと駅には大勢の鉄道ファンが押しかけ、本番さながらの人員整理が行わ
れてました。これも予行演習の一環?(写真右)
そして多くの鉄道ファンが見守る中、力強い走りで再び木更津へ向かって走って行きました。(蘇我駅にて)
そして2月13日、いよいよイベント本番を向かえました。
千葉みなとへ向かうディーゼル機関車は「DL春さきどり号」という愛称が付けられました。(姉ヶ崎〜五井間にて)
SLの見学用に用意された臨時の「快速春さきどり号」(写真左)や、SLを千葉みなとまで牽引したディーゼル
機関車の折り返し(写真右)を見送りながらSLを待ちます。そして、
やってきました!「SL春さきどり号」(袖ヶ浦~巌根にて)
春一番の強風が向かい風となる中、真っ黒な煙を上げ力強く走り抜けるSLはものすごい迫力でした。
静かな軽量のステンレス通勤電車に見慣れた昨今、たまに迫力あるSLを見るととても新鮮。D51の1日も早い復
帰と来年のイベントが楽しみになってきました。ちょっと気が早いですね…。
使用機材:Nikon D700
Nikon AF-S ED17-35mmF2.8D
Nikon AF-S ED28-70mmF2.8D
Nikon AF-S ED80-200mmF2.8D
SIGMA APO150-500mmF5-6.3DG OS HSM