【マップカメラ情報】リコー GR DIGITAL III レポート
■進化した新たな「GR」の登場
2009年8月5日に発売されたRICOH GR DIGITAL IIIは2007年11月に発売されたGR DIGITAL IIの後継モデル。約1000万画素の有効画素数は継承しつつも搭載レンズのF値がF2.4からF1.9に明るくなり、総合的にも画質が向上。液晶画面も約23万ドット2.7型から約92万ドット3.0型液晶モニターに進化し、液晶の精細感はデジタル一眼も含めデジタルカメラの中では最高峰です。また、外観の形状に大きな変更点はなく、さりげなく持てる軽さと小ささや使い込むほどに手になじむ心地良さなど「もの」としての完成度の高さは健在です。
■継承される「もの」としての価値
初代GR DIGITALからGR DIGITALシリーズの外観は一見、見分けがつかないほどその形を継承しています。あくまでコンセプトを変えず、他機種には無い価値を見出そうとする製作者のGRに対する「もの」づくりへのこだわりがうかがえます。
GRは日々進化を止めないデジタルカメラの中で、もっと言えばフラッシュバックのように大量の情報が押し寄せる現代の中で、変わらない「もの」としての価値を人々の中に確かな痕跡としてを残しているのだと思います。
■機動力を高める使いやすさと追加機能
GR DIGITAL IIIはAFやデータ書き込みの速さなど撮影一連でレスポンス良さが光り、スナップ撮影には無類の機動力を発揮します。特に、液晶画面上でAFポイントを自由自在に動かすことができる「AE/AFターゲット」は、動かしたAFポイントにスポット測光エリアが連動してくれて便利です。花の撮影などのマクロ撮影時には簡単に思い通りの露出とピント合わせができ、露出補正などの手間は最小限に抑えられ快適でした。
さらに、GR DIGITAL IIIから追加搭載された「フルプレススナップAF」をONにすれば、一気にシャッターボタンを押し込んで全押しでシャッターを切っても、あらかじめ設定しておいたフォーカス距離にピントを合わせてくれます。ある程度絞って、被写界深度を深くとってつかえば、シャッターボタン半押しでのピント合わせが不要になるので、一瞬のシャッターチャンスを逃しません。また、もう一つ追加で搭載された「プレAF」をONにすれば、シャッターボタンを半押しにしなくても液晶画面上の選択したAFポイントに常にピントを合わせ続けてくれます。いずれの機能もスナップ写真を撮る撮影者に配慮した便利な機能です。
■夜間撮影にも強くなった高画質性能
新レンズの搭載はもとより新開発のCCDと映像エンジンを搭載したGR DIGITAL IIIは絵作りの上手さが際立ちます。空などのハイライト部のグラデーションの滑らかさや、質感を残したしっとりとした自然な風合いの発色性など、デジタル一眼レフのサブ機としても十分使っていける高品位な画質です。また、マクロ撮影時のぼけ方も滑らかで、小さな被写体の一部にピントを合わせ、広く入れた背景はキレイにぼかすなど、広角28mm最短1cmまで寄れるGR DIGITALならではの魅力が、より洗練された画質の中で活きてきます。
夜景の写真からは暗部のコントラストはしっかりと残り、クリアな立体感のある描写力が見てとれます。特にビルなどの解像感は画像中央部を中心に見事です。また、電灯などのハイライト部の白とびも落ち着いて描写され、見たままに近い自然な夜の雰囲気が伝わってきます。さらに、ISO400や800でもノイズ感は少なく確かな進化を実感できました。
ノイズリダクションの効き方もGR DIGITAL IIIから「OFF」の他に「弱」と「強」から効きの強さを選べるようになりました。ノイズ感を抑えたいなら「強」、解像感を優先させるなら「OFF」に、その中間なら「弱」という風に、より好みの画質設定を追求できるようになっています。
■作例
(元画像を50%に縮小)
■ISO感度別比較
ノイズリダクションは「OFF」に設定、絞りはすべてF1.9で撮影しています。(※元画像を50%に縮小)
■ノイズリダクション比較
いずれもIS0感度800、F1.9で撮影。上段は元画像を50%に縮小。下段は元画像の一部をトリミングしています。ノイズリダクションを「OFF」→「弱」→「強」にするにしたがって、ノイズ感は少なくなりますが、「50」の標識からもわかるように、解像感が少しずつ甘くなっていってるのがわかります。