2021年の夏、私たちMapCameraは27周年を迎えます。
これもひとえに、日頃ご愛顧いただいている皆様があってこそのこと、いつも本当にありがとうございます。
今年はマップカメラで働くスタッフ一人一人が、27周年にちなみ「○○と、つながる」というテーマでバトンを“(27)つな”ぐことに。
「屈指のカメラ好き」は数居れど、撮るもの、撮る目的は十人十色、否、百人百色とも言えるほどに多様であるはず。
夏休みを思い出すような思い出の毎日から、少しずつお時間を拝借いたしまして「カメラが人とモノを繋ぐ様」をご覧いただこうと思います。
ファインダー越しと表現される世界は隔たれているわけではなく「繋がっている」という事を実感していただけたのなら私たちも嬉しい限り。
個性派揃いの全45回、今夏のお供にどうぞ。
第11回「85mmと、つながる」
皆様の好きな焦点距離は何mmでしょうか。
筆者もそれなりに写真を撮るのは好きなほうだと思ってはいるのですが、やはりトンと撮らなくなることはありました。
あぁこのまま、この撮る意欲も痩せ細って終わってしまうのだろうか、と思いながらブログ用に持ち出した85mm。
あれ、この画角は面白いかも。それまで広角から標準域のレンズばかり使っていた筆者にとって、被写体を強烈に浮かび上がらせる中望遠の画角はとても新鮮でした。
それからは85mmが生活の中の付けっぱなしレンズになり、写欲が尽きることはありませんでした。
めでたしめでたし。
と、それだけで終わってしまう話なんですがもうしばらくお付き合いください。
85mmの魅力に気づいてから、気になった85mmのレンズをちょこちょこと撮り続けてきました。
今回は今まで撮ってきた色んな85mmのレンズの写真を順不同で一枚ずつ紹介していきたいと思います。
「PENTAX K-7」 × 「ジュピター 9 85mm F2」
Carl Zeiss Jena Sonnar 85mm のコピー品として有名なジュピター85mm F2。
筆者が見つけた時には一万円を切っていたのですが、今はオールドレンズの価値が見直されはじめ
同じ価格帯で見かけることはあまりありません。
APS-C機で使っていたので実際には135mmくらいの感覚ですね。筆者の個体はとにかくピントトルクが重くて、あまり持ち出す機会はなかったのですが
オールドらしい柔らかさと、ボケの迫力が好みでした。
「CONTAX Planar T*85mm F1.4 MM」
ヤシカコンタックスマウント。
レンズ名後ろの「MM」には「AE」もあり
「AE」が前期型で「MM」が後期型。もっと細かく言うと「G」がドイツで「J」が日本です。
やはり当時も「AE」が人気でした。フード付きの個体はそれこそレアで筆者もフード無しでしか撮影したことがありません。
ズシリと重い鏡胴、光学技術の塊みたいなレンズでした。
「CONTAX Planar T* 85mm F1.2 MM (60th)」
CONTAXブランド創立60周年記念の限定レンズ。(ちなみに「AE」は50周年記念モデル)
貴重なプレミアムレンズで少しだけ使わせてもらったのですが、やはりF1.2の被写界深度はとても浅いです。
この中景で中間にピントがほんのりでも乗っているのはすごいなと驚きました。
毎年必ず見に行っていた熱気ムンムンのお祭り。またこんな日が戻ってくるのを願ってやみません。
F1.8の85mmはこのレンズに限らずどれも、とてもうまく纏まっているなぁと感じます。
極端な柔らかさにならず安定して開放から使えるので、撮れ高をなるべく逃したくないなぁと思ったらF1.8はおすすめです。
現在は「SONY FE 85mm F1.4 GM」が発売されていますがそれまでの間ソニーEマウントの85mmレンズとして不動の立ち位置を確立していた「SONY Planar T*85mm F1.4 ZA」
ソニーとプラナーの融合による濃厚な画が素晴らしかったです。
過去にこのレンズで撮った記事も併せてご覧ください。
85mm道端の猫を撮るのに最適です。
ミノルタの血筋を受け継いできたソニーが現時点で出した答えともいえるレンズ。
一回しか撮影する機会がありませんでしたが、夕暮れ時の一瞬を立体感豊かに切り取ってくれて驚きました。
「MINOLTA AF 85mm F1.4G (D) Limited」という伝説的な存在の陰に隠れ、ほぼ話題にのぼらない不遇のレンズ「MINOLTA AF 85mm F1.4 G」
実はこのレンズが一番のお気に入りです。
初めて撮った時からその写りにドキドキして、この出会いを逃してはならないというその衝動だけで手に入れました。
どのレンズもそうですが、F1.4ならなるべく開放絞りを活かしたい派です。しかしこのレンズに関してはF2絞りが常で、逆光のシチュエーションなどニュアンスだけでその一瞬を切り取りたい時に開放絞りにします。
銘玉は世界に沢山ありますが、家族や友人を撮る時にも優しい写りをするこのレンズが筆者にとってのMy Favorite Lensです。
一転、目が覚めるような解像感で魅せる「SIGMA Art 85mm F1.4 DG HSM」
色んな85mmの開放絞りの画を見てきたからこそわかる解像力の高さ。でも「Art」シリーズの中ではもっとも感情が豊かというか、開放絞りと絞ったときの変化がシリーズ中もっとも顕著な気がします。
筆者の中では「最もアートなArtレンズ」です。
「Canon EF 85mm F1.8 USM」
逆光で輝く。という評判を聞いて撮りたかったレンズ。
実際逆光に向けてみると面白いくらい光が回ります、うまくコントロールできれば逆光耐性の強いレンズでは見ることの出来ない光の世界を演出することも出来るようになるでしょう。
「Canon EF 85mm F1.4L IS USM」
写りを見て「スマート」だなと感じました。
逆光耐性はばっちりでかつ、ニュアンスとして欲しい光の漏れもしっかりと残してくれる。撮影者がこう写ってここは抑えてほしい、という悩ましい光の問題も起きません。
徹底的に光をおいこんで作りこみたい人にとってはやはりこのクラスのレンズが安定します。
「PENTAX HD D FA★ 85mm F1.4 ED SDM AW」
85mmはブラ歩きスナップにも最適です。
なぜなら「寄らなくていいから」。
「引き」で撮ることは多いですが、街中で「寄る」行為をするより気持ち的に楽です、個人的には。コントラストもよく出て濃厚だなと感じもするんですが、透明感もあります。
おそらくボケのスッキリさがそういう風に感じさせるのですが、とても絶妙なバランスが取れているなぁと感じるレンズです。
かなり分厚いガラス越しのバラをものすごい解像感で魅せてくれたのが「SIGMA Art 85mm F1.4 DG DN」
解像する、という点において究極まで追い込み、小型軽量のコンセプトも崩さずに作り上げています。
まず素材を最高の状態にしたい、という方におススメです。
「CONTAX Planar T*85mm F1.4 MM」
おそらく85mmという画角をまず最初に選ぼう、という気持ちにはなかなかならないと思います。
筆者もいきなり85mmを薦めにくく、気に入ったら使ってみてください。くらいしか言えないのですが
ポートレートレンズと呼ばれるこの画角でもスナップを楽しんでる人がいるということが伝われば幸いでございます。
今でこそ色んな画角で撮りたくなるほど写真欲は回復しましたが、カメラに飽きそうになった筆者を引き戻してくれた
この85mmという画角はまさに「繋がり」だったと思います。
次はどんな「○○と、つながる」が登場するのでしょうか。
全45回、乞うご期待くださいませ。