みなさんこんにちは。
8月に入り、気が付けばお盆休みもすぐそこに迫っています。
今年は梅雨明けの発表が例年よりも早く、体調の変化が著しいと感じている今日この頃です。
みなさんもこのご時世ゆえに、お身体には十分ご自愛ください。
さて筆者はというと、もっぱら夜に出歩く機会が多くなりました。
ジリジリと突き刺すような日差がなく、気温も日中に比べ4~5℃下がるため幾分か過ごしやすい気候となります。
そのため、撮影をじっくりと楽しみたいという方にとってはおすすめの時間帯です。
そこで今回のブログでは夜のスナップを中心にご紹介していきます。
今回も最後までお付き合いいただけたら幸いです。
それではどうぞ。
今回使用した機材
SONY (ソニー) FE 70-200mm F4 G OSS SEL70200G
SIGMA (シグマ) Contemporary 45mm F2.8 DG DN (ソニーE用/フルサイズ対応)
・・・
F5.6 , 1/8sec , ISO1600 (FE 70-200mm F4 G OSS SEL)
ダーウィンの進化論はあまりにも有名な論説です。
しかし、これは自然界に限ったことではありません。
そうです。
カメラの技術進歩の過程においても、進化論のロジックは当てはまります。
今回使用したα7Sはまさに進化論の典型例と言えます。
ではα7Sがそのように謂れる所以はどこにあるのでしょうか。
それは有効画素数をあえて1220万画素に抑え、その代わりに「高感度の強さ」と「広いダイナミックレンジ」を手にしたからです。
どことなく、トレードオフの関係性にも似ています。
つまり画素数を捨てることによって、暗い場所や明暗さの激しい環境でも使用できるように独自の進化を遂げたのです。
F4 , 1/25sec , ISO12800 (FE 70-200mm F4 G OSS SEL)
さて、ではなぜα7Sはここまで高感度性能を高めることができたのでしょうか。
ここからは少し技術的な視点でお話していきます。
先に述べた通り、α7Sの画素数は1220万画素です。
現在普及している35mmフルサイズセンサーのカメラは、一般的に4000万画素前後が多くを占めています。
しかし、画素数を増やしてしまうと1画素あたりに割り当てられる受光面積が小さくなってしまうため、光量が不足し、結果的に画質の低下を招いてしまいます。
その対策として、画素数そのものを減らしました。
画素数を減らすことで、画素ピッチが広がり、1画素で受け取れる光の量(集光率)の大幅な改善につながりました。
その結果、高感度に強く(ノイズやディティールの耐性など)、諧調の豊かな描写表現を獲得することができたのです。
こうした高感度に特化したカメラを作るという柔軟な発想は、イメージセンサーを製造しているSONYだからこそ成し得た功績であり、今後のイメージセンサーの可能性を感じさせてくれる1つの良い例だと思いました。
・・・
F4 , 1/200sec , ISO12800 (FE 70-200mm F4 G OSS SEL)
これまでに作例を2〜3つ程見ていただいていますが、1220万画素の解像度はいかがでしょうか。
筆者の感想を申し上げれば、必要にして十分な解像力を保っていると思います。
スマートフォンなどの比較的小さな画面で見る場合にはそこまで気にすることはないかと思います。
一方で、印画紙などに印刷する場合は大きくてもA4サイズまでのプリントが無難なサイズと言えそうです。
また、電子デバイス上で閲覧するような場合でもトリミングの耐性は若干弱いため、むやみなトリミングはできる限り避けたいところです。
そして、高感度域での画質の良さが特徴のα7Sですが、どのように感じましたでしょうか。
筆者個人の感想としては、ISO12800が常用で使用できる最高感度だと感じました。
これ以上の感度になるとノイズが気になってくるのと同時に、解像感や色再現性も多少失われてきているように思いました。
これはあくまで個人的な感想ですので、これ以上の感度に設定しても許容できるという方もいると思います。
※RAW現像をしていますが、ノイズの軽減などのディテール表現に直接関わるような処理は加えていません。α7Sの素直な描写力として楽しんでいただければと思います。
F4 , 1/60sec , ISO12800 (FE 70-200mm F4 G OSS SEL)
筆者はRAWデータで撮影し、現像ソフトを使って現像しています。
RAW現像をされている方はお分かりになると思いますが、RAW現像の処理速度はファイルサイズ(画素数)の大きさに比例し、大きなファイルほど処理するスピードは遅くなります。
ですが、α7Sで撮影したRAWデータは12MB程度の比較的軽いファイルサイズで構成されるため、現像処理もサクサク行うことができます。
※処理速度はパソコンの性能により左右されるため、ここではあくまでファイルサイズが小さく扱いやすいという意味合いで記載しています。
F4 , 1/50sec , ISO12800 (FE 70-200mm F4 G OSS SEL)
α7Sはグリップが浅くホールドしにくいという声が聞かれます。
実際に筆者がFE 70-200mm F4 G OSS SELを付けて撮影した感想から申し上げると、答えは「NO」です。
F4程度の大きさのレンズでは全くその不安を感じさせませんでした。
撮影時は必然的に左手をレンズの銅鏡に添えることになるためそうした心配は必要ありませんし、移動時においてもグリップ部を右手で握ったまま持ち歩くことも容易に行えました。
しかし、F2.8のGMレンズではフロントヘビーになりすぎてしまい、しっかりとホールドさせるのは正直厳しくなるだろうと感じました。
・・・
F2.8 , 1/60sec , ISO400 (Contemporary 45mm F2.8 DG DN)
夜の街に煌めくウィンドウディスプレイを切り取ってみました。
明暗差のある難しいシーンですが、α7Sの特徴である広いダイナミックレンジにより、白飛びや黒つぶれを起こさずにきれいなグラデーションを描いています。
これにより、LEDライトのスポット光が当たっている被写体と、その後ろに伸びる影との陰影が見事に表現され、写真に立体感を演出しています。
F2.8 , 1/60sec , ISO125 (Contemporary 45mm F2.8 DG DN)
α7Sは高感度域での耐性が良いだけではありません。
低感度の撮影では、ノイズが出ないのは無論、トルソーが着ている衣服や金属什器の質感までもが感じられる描写になっています。
さらに豊かな階調表現も合わさり、その場の空気感を逃すことなく描くことができています。
F11 , 1/5sec , ISO12800 (Contemporary 45mm F2.8 DG DN)
最後は夏の風物詩、線香花火の写真です。
夜の帳が下りた頃、そこには雄大でどこか儚い小宇宙が姿を現します。
SIGMAのContemporary 45mm F2.8 DG DNは、最短撮影距離が24cmと短いため、小さな宇宙空間で繰り広げられるドラマを壮大な世界観で楽しむことができます。
幻想的な光の花が咲く光景は夜ならではの風景です。
そして、その夜に心強い味方となってくれるのがα7Sなのです。
α7Sは高感度域まで十分な画質を保てるため、絞りを絞った状態でも問題なく撮影できます。
ボディ内手ぶれ補正は搭載していませんが、三脚ないしはカメラを固定できるような構造物の上にカメラを置いて撮影すれば、手ブレも気になりません。
どうしてもボディ内手ぶれ補正が必要ということであれば、第2世代のSONY (ソニー) α7SII ボディ ILCE-7SM2や第3世代のSONY (ソニー) α7SIII ボディ ILCE-7SM3をおすすめします。
一方で、初代のα7Sは後継機の2機種と比べて小型軽量のため、携帯性を重視で考えている方には初代を強くおすすめしたいと思います。
さて、夜のスナップはいかがだったでしょうか。
高感度に強いα7Sとともにこの夏は夜のスナップに出かけてみてはいかがでしょうか。
そこにはあなたが未だ知らない新たな表現領域が待っているかもしれません。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
この記事がみなさんの好奇心を刺激し、そして購入のきっかけの一助となればと思います。
それではまたお会いしましょう。
追記
本編の続編となる「冬の夜もα7Sとともに」を公開しました。
冬の夜の風景を切り撮った作品になっているので、気になる方は是非そちらもチェックしてみて下さい。
▼ 今回使用した機材はこちら ▼