【OM SYSTEM】マイクロフォーサーズの弱点を強みに変えられる高性能レンズ
OM SYSTEM / OLYMPUSOM-1カメラの楽しみ方スタッフスタッフおすすめ機材単焦点を楽しむ厳選アイテム春日和
普段フルサイズを使っている私。
マイクロフォーサーズには、「シャープだけどボケ量が少ない」というイメージを持っていました。
そんな折、OM-1とM.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROの組み合わせで撮影をする機会に恵まれたので、バスを乗り継ぎ植物園まで赴きました。
―35mm換算で50mm相当となる本レンズなら、花を撮るには使いやすいはず―
そんな淡い期待と、萌ゆる新緑に心躍らせながら。
券売機から延びる長蛇の列に加わり、財布の小銭を取り出しながら、さてどんな順番で園路を回ろうかと考えていると、突然満開のバラ園が。
すさまじい人手に気圧されながらやっとの思いで一枚撮ると、ディスプレイには驚くほど美しいボケを伴った写真が表示されていました。
意識的に被写界深度が浅くなるようにしているとはいえ、このとろけるような柔らかなボケ味は何とも言えません。
それに加え、大型センサーではありがちな「ボケ過ぎて撮りづらい」事もなく、自分の寄り引きで素直にボケ量がコントロールできる事がうれしかったです。
「やるなあ、マイクロフォーサーズ」とうならせられた瞬間でした。
すっかりテンションが上がり、人混みに負けそうだった心は一念発起。
OM-1の深いグリップを握り込み、地面に突撃しそうなローアングルで次の一枚を収めます。
アートフィルターをネオノスタルジーに設定し、少しばかり非現実的に仕上げました。
ヒスイカズラの花弁が浮かぶ水瓶。
真俯瞰で撮影しましたが、随分と光を柔らかく描くレンズです。
水のヌメついた感じも良く表現されているあたり、性能の高いレンズなのだなと実感します。
大口径の単焦点にもかかわらず、近接撮影でもちゃんと解像しています。
もちろん少し柔らかくなってはいますが、一昔前のレンズではこうはいきませんでした。
もっとシャープネスが下がり、ぼわぼわになってしまう事が多かったのです。
少し絞ってf3.2で撮ってみました。
年月を経た建物の質感をちゃんと再現しており、石造りの硬さが感じられる写真になりました。
写真最下部の草が少しうるさくボケているので、もう少し絞ったほうが良かったかもしれません。
次は意地悪な条件で、軸上色収差を見てみます。
f値は先ほどと同じ3.2のままですが、右上の木の葉や枝と空の境目にパープルフリンジが見てとれます。
完全にクリーンにするのはもう少し絞らないといけないようです。
最後は薄暗い屋内の写真で締めくくります。
立体感を失いべたっとした写りになりがちなシーンですが、見事に奥行きを再現してくれました。
開放1.2で撮影したので、1/60秒という手ブレしないシャッタースピードを確保しながらもISOは1250で済みました。
最近のマイクロフォーサーズ機は高感度にもめっぽう強いですが、それでも感度を抑えて撮れることは嬉しい限り。
ノイズの乗りやすいボケの場所(望遠鏡本体ではなく壁の部分)を見ても、気になるノイズは見当たりません。
撮影を終えてみて、冒頭の「シャープだけどボケ量が少ない」というイメージは消え去りました。
むしろ「被写体の形を残した適度なボケ~ほわほわのとろけるようなボケ」の両方を楽しめる上、類まれなるシャープネスも併せ持った万能機という印象を受けました。
35mm換算で50mmの1.2。この値段で手に入るのは驚愕です。
今回使用したボディはOM-1。素晴らしい画質と使い勝手でした。