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【HASSELBLAD】Change the “Aspect” on HASSELBLAD~ハッセルでクロップしてみる1:1編~

【HASSELBLAD】Change the “Aspect” on HASSELBLAD~ハッセルでクロップしてみる1:1編~

クロップ、所謂「切り取る」という意味で用いられるこの用語、
トリミングとも言い換えられるのですが、厳密にはトリミングは後に切り抜く事で、
クロップは撮影時に既に切り抜いた状態で撮影する事だそうです。

元来写真の歴史の中でもこの「切り抜く」行為に関しては賛否が分かれています。
しかし歴史的に残るあんな写真やこんな写真も、実はトリミングとして「切り抜かれていた」事も明らかになってきました。

実はクロップという概念の言葉はデジタルカメラが主流になってから生まれたもので、
センサー性能が高くなるにつれ、このクロップ機能も普及していきました。

クロップも「任意のサイズで常に撮影をし続ける」と思うとそこまで悪い響きではありません。
最近のデジタル機も非常に性能が高く、センサーや画素数の進化。
そして何よりもSNSやスマートフォンでの鑑賞が主流化した事から現代では昔よりも受け入れられるようになりました。

今回は中判センサーを有するHASSELBLADのデジタルボディで「伝統的な画角」をクロップで再現してみました。
使ってみると写真撮影の考え方も新鮮なもので、デジタル機ならではの遊びやすさを感じます。

今回使用したのはHASSELBLAD X2D100C。1億画素44×33中判センサーを搭載したモデルです。
使用するアスペクト比は1:1、ハッセル伝統の6×6フォーマットの再現になります。
この画角を使用する場合は有効センサーサイズは33×33。
有効画素数は7300万画素程。正直これでも画質は充分そうです。

レンズは対角線長を基準に考えると46mm程度が標準に当たります。
対角線といえば懐かしの「ピタゴラスの定理」です。
つまり44×33でなら55mmが標準に当たりますが、クロップして1:1に変更すると少し望遠気味に感じます。
これはこれでフィルムのVシリーズにおける100mmに近い感覚かもしれません。

一方38mmになると少し広いですがそこまで使いにくくもなく、
Vシリーズ(6×6判)で80mmは、35mm判換算44mm。
なんだか覗いた時に「視界が80mmっぽい?」と思った感覚はあながち間違いではなさそうです。

個人的な感想ですが、Vシリーズとデジタルバックとして装着する場合は、
40mm付近が実は1:1で撮影するのに適した組み合わせかもしれません。
人によっては50mmでも良さそうです。
標準レンズについてはややこしいのでひとまずここまでにしましょう。

1:1で使用するならXCD38mm/XCD45mmが標準っぽい!

と覚えて頂けると良いかと思います。
XCD45mm F4PはXCDとしては手頃なレンズなので、コレ一本で1:1にクロップして撮影をするのも面白そうです。
907Xに45mmを装着する理由もコレで合理的だという事が分かります!

スクエアフォーマットになるとどうしても静的な撮影を行う事が多くなります。
風景撮影やスナップで使用している方も多いフォーマットではあるものの、
やはり正方形という形は35mm判で慣れ親しんでいる3:2とは印象が異なるものです。
筆者も500C/Mと80mmや100mm等使用していた事を思い出し、モノクロームで仕上げてみました。

X2DをはじめXシリーズのカメラはボディ内での「モノクロ撮影」はできません。
撮影後Phocusで編集してみましたが、想像以上に処理に時間が掛かります。
(Adobe Lightroomでも編集可能。)
自宅のmacは2018年のモデルという事もあり、このカメラを使用するならそれなりのPC環境が必要になりそうです。

撮影しながらイメージしていたのは高梨豊氏の作品群です。
東京の中にある歴史の破片を集めていた写真は、歴史と時間の経過のコントラストを感じさせるもので
「都市へ」や「東京人」といった35mm判でのスナップの作品群や、後期では中判や大判カメラで撮影していました。
その中でも「都の貌」という写真集は上記の「時間のコントラスト」を強めた写真集です。
万世橋方面は都市開発が進んでいるものの、未だに歴史の名残がハッキリと存在しています。
X2D 100Cで撮影すると画像のように微細なディテールをしっかりと記録し、都市の時間を感じさせてくれます。

少し裏に回るとこのような風景もまだ残っています。
秋葉原方面は賑やかな反面、穏やかな時間が流れています。

陰影の階調も豊か。現行のHASSELBLAD機は見たままに素直な画作りが大きな魅力です。
フィルム時代にモノクロ撮影をしていた写真家も多いことから、モノクロで編集してもその良さは十分に表れています。

夕景の勝鬨橋。こちらも完成したのは昭和15年。
本来は可動橋ですがこの45年程は稼働していません。ライトアップがはじまったのは、実は平成10年と最近の事。

スクエアフォーマットの面白さはこのように幾何学イメージを作る時にも実感できます。
モノやカタチというアプローチは昔から撮影され続けているモチーフではあるものの、撮影していると楽しくなります。
丁度、夕方から夜に差し掛かる時間帯での撮影。空の階調に画像を開いて思わずびっくりした程の美しさ。

実はここまで全て手持ちでの撮影です。レンズシャッターである事とX2D 100Cの手ブレ補正機構によって
構え方次第ではご覧の通りしっかりと撮影する事ができます。
使ってみて一番驚いたのはこの手ブレ補正で、夜に軽く風景を撮影する程度ならカヴァーしてくれます。

夜の街を歩いているとさながらブラッサイのような気分になります。
上記の画像もそのイメージで撮影したもの。夜のパリの街を大判カメラで撮影していたように、
現代では手持ちできるサイズでここまでしっかり写るのだから、時代の流れを感じます。

カラーでも少し撮影。先述した通り見たままの自然な発色です。
そのままで使用しても良し、編集のしやすさで好みの作品作りもしやすい忠実性。
昔カラーネガをプリントする時はこの「ニュートラルな状態」にする事も大変な作業でした。
デジタル機でも各ボディの癖はやはり残っているものの、X2D 100Cや907X 100Cになると
その手順はおよそ必要が無いと思われます。この忠実性を求める方が多いのも人気の一つと言えます。

X2Dで1:1で撮影をしていると、ニューマミヤ6の感触を思い出します。昔はスプリング式で6×6なカメラも多数存在していましたが、
近代では恐らくアイレベルで撮影できるカメラはニューマミヤ6かGF670のみです。
他は基本的にウエストレベルが主体のカメラが殆ど。プリズムファインダーという存在もあったりはしますが…
それはまた別の話。
筆者もVシリーズを使っていた時に水平を手持ちで整える事に苦心したのもX2Dでこのように使うと非常に気が楽になります。

「撮る事に困ったらカメラやレンズを変えてみる」というのは写真家・植田正治氏の言葉。
現代では更に「画角を変えてみる」のも新しい写真行為の発見ができるかもしれません。
変えてみたら実は変えた画角が自分に合っていたり、新しい作品作りのヒントが隠されているかも!?
たまには気分を変えてアスペクト比を変えてみるのも楽しいかと思います。
皆様も思い切って 自分の中のアスペクト比を探してみましょう!





[ Category:etc. | 掲載日時:24年11月26日 19時30分 ]

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