【マップカメラ情報】PENTAX K-5 レポート
圧倒的な高感度性能
最高感度ISO51200。あまりに高い。まさかここまでになるとは。今までのISO感度とは一体何だったのかと考えさせられる数値だ。2009年6月に発売されたペンタックス K-7の後継機として登場した「ペンタックス K-5」。本機はこの感度領域にいち早く到達し、話題をさらっている。
本体の大きさや重さはK-7とそれほど違いはなく、外観もボタン配置や形状などもほぼ同じように感じるが、モードダイヤルの高さが僅かに高くなったことと、フォーカスモードレバーの形状が変わったことにより従来よりも操作感が向上している。どちらも一見小さな変化かもしれないが、これにより撮影時の気分が大きく変わるから不思議だ。実に軽快。恐らくK-7から持ち替えても違和感を感じることはないだろう。
K-5で大きく変わったのは内部だ。内部がすごい。冒頭でも少し触れたが、やはり最高感度ISO51200が目を惹く。実際のところISO51200が積極的に使用できるかというと少し難しいところだが、それは拡張設定の感度なので当然のこと。本機に限らず全ての機種にも同じことが言える。肝心なのは“どれだけ拡張できるか”なのだ。設定できる最高感度が上がるということは、それだけノイズも少なくなっているということ。実際に撮影した画像が明白な証拠だ。ISO10000で撮影しても充分な画質で、僅かにシャープネスやコントラストの低下はあるがISO10000であることを考えれば申し分なし。高輝度ノイズ、カラーノイズ共に良好に抑えられており、高感度ノイズリダクションの優秀さが見てとれる。ISO3200や6400が常用感度として使用できるレベルだ。処理の強弱を各感度ごとに設定できる点もさすがと言える。
超高感度に相応しいAFシステムと自動水平補正機能
高感度だけでは良い写真は撮れない。それに応えるファインダーやAFシステムがなければ。その点本機は11点ある測距点のうち中央9点がクロスセンサーであることに加え、AFモジュールをK-7に搭載されていた「SAFOX VIII+」から「SAFOX IX+」へと一新。これにより高速・高精度化に成功している。また、撮影する場所の光源情報まで計算されるので、様々な光の中でもピントを外しにくく、室内や夕暮れな ど光量の乏しい状況下にも強くなり、AFでの安定したピント合わせが可能となった。ファインダーはK-7から引き継いだもの。視野率100%で視認性も良く、新しいAF モジュールとの組み合わせでこの高感度性能にうまく応えた。
新設計の駆動機構により、シャッター音とミラーショックが驚くほど小さく抑えられていた。ミラーレス一眼のシャッターと比べても本機の方がまだ小さい。まるでベルベットタッチのような感覚。しかも最高約7コマ/秒をこのボディサイズで実現しているというのだから恐ろしいものだ。
K-7で搭載されていたペンタックス独自の「構図微調整機能」と「自動水平補正機能」も引き続き搭載。構図微調整機能は調整幅が拡張され、上下左右方向に±1.5mmまで移動可能になった。
さらに電子水準器も強化。同社の中判デジタル一眼レフカメラ「645D」に搭載されているものと同等のものを採用。ライブビュー撮影時、従来の左右方向に加え上下方向の水平も表示できるようになった。ただし、ファインダー内では左右方向の水平しか表示されないので注意が必要だ。
多種多様の画像仕上げ
HDR(ハイダイナミックレンジ)撮影も以前よりも手持ちで撮影しやすくなっている。新しく搭載された「自動位置調整機能」により、標準・アンダー・オーバーの3枚連続で撮影された画像の僅かなずれを補正し合成する。以前よりも気軽にHDR撮影が楽しめるのは嬉しい。今回十数枚撮影した中でコマずれの画像は一枚も無かった。もしもコマずれが不安になっ ても、強化された高感度性能とボディ内蔵の手ぶれ補正機構(SR)のおかげで、特に大きな問題にはならない。つくづく相乗効果の多いカメラだなと感心する。
ホワイトバランスも進化した。オートホワイトバランス(AWB)での精度が上がり、ペンタックス独自の「CTE」も健在。CTEとは、撮影時の光の色成分を効果的に強調する、AWBとは少し性格の異なるモードだ。以前から定評のあるカスタムイメージには「銀残し」が新たに加わり、彩度を抑えコントラストを高くした、映画のような仕上がりが楽しめる。また、「K-x」や「K-r」に搭載されていた「クロスプロセス」を本機も搭載。通常では出ない独特な色合いと、仕上がりが全く予想出来ない面白さがある。さらに「デジタルフィルター」も全18種類に増えた。「デッサン」や「ミニチュア」等、撮影したあとの画像に効果をかけられるので、色々な仕上がりを同じ画像で試すことができる。1枚の画像に複数のフィルターを重ねてかけることも可能だ。
圧倒的な高感度性能に理想的なAFシステムで対応しただけでなく、操作感の向上や耐久性のある外装、内部機構の強化など、あらゆる面において全く妥協をしていない。K-7の発売から約1年4ヶ月という期間を経て、進化した部分はそれ以上。新しくなったペンタックスの中級機は、“良い意味で”中級機の呼び名が似合わないカメラになった。
作例写真
■ 撮影機材:PENTAX K-5
+DA18-55mmF3.5-5.6AL WR /+DA*16-50mmF2.8ED AL /+D FA MACRO50mmF2.8
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使用レンズ:DA*16-50mmF2.8ED AL
焦点距離(レンズ表記):16mm
ISO感度:10000
シャッター速度:1/30秒 / 絞り値:F5.6
カスタムイメージ:銀残し
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使用レンズ:DA*16-50mmF2.8ED AL
焦点距離(レンズ表記):16mm
ISO感度:2500
シャッター速度:1/13秒 / 絞り値:F3.5
カスタムイメージ:銀残し
- 使用レンズ:DA18-55mmF3.5-5.6AL WR
焦点距離(レンズ表記):18mm
ISO感度:5000
シャッター速度:1/30秒 / 絞り値:F3.5
カスタムイメージ:リバーサル、HDR(標準)
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使用レンズ:DA18-55mmF3.5-5.6AL WR
焦点距離(レンズ表記):18mm
ISO感度:100
シャッター速度:1/250秒 / 絞り値:F6.3
カスタムイメージ:銀残し
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使用レンズ:DA18-55mmF3.5-5.6AL WR
焦点距離(レンズ表記):32.5mm
ISO感度:160
シャッター速度:1/160秒 / 絞り値:F5.6
カスタムイメージ:リバーサルフィルム
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使用レンズ:DA18-55mmF3.5-5.6AL WR
焦点距離(レンズ表記):18mm
ISO感度:160
シャッター速度:1/60秒 / 絞り値:F6.3
カスタムイメージ:雅
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使用レンズ:DA18-55mmF3.5-5.6AL WR
焦点距離(レンズ表記):18mm
ISO感度:320
シャッター速度:1/320秒 / 絞り値:F8
カスタムイメージ:鮮やか
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使用レンズ:DA18-55mmF3.5-5.6AL WR
焦点距離(レンズ表記):18mm
ISO感度:160
シャッター速度:1/400秒 / 絞り値:F5.6
カスタムイメージ:鮮やか
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使用レンズ:D FA MACRO50mmF2.8
焦点距離(レンズ表記):50mm
ISO感度:160
シャッター速度:1/200秒 / 絞り値:F2.8
カスタムイメージ:雅
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使用レンズ:DA18-55mmF3.5-5.6AL WR
焦点距離(レンズ表記):18mm
ISO感度:160
シャッター速度:1/160秒 / 絞り値:F4
カスタムイメージ:雅
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使用レンズ:DA18-55mmF3.5-5.6AL WR
焦点距離(レンズ表記):18mm
ISO感度:400
シャッター速度:1/400秒 / 絞り値:F8
カスタムイメージ:雅
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使用レンズ:DA18-55mmF3.5-5.6AL WR
焦点距離(レンズ表記):24.35mm
ISO感度:200
シャッター速度:1/1000秒 / 絞り値:F4.5
カスタムイメージ:雅
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使用レンズ:DA18-55mmF3.5-5.6AL WR
焦点距離(レンズ表記):18mm
ISO感度:100
シャッター速度:1/500秒 / 絞り値:F5.6
カスタムイメージ:雅
デジタルフィルター:ハイコントラスト
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使用レンズ:DA18-55mmF3.5-5.6AL WR
焦点距離(レンズ表記):18mm
ISO感度:400
シャッター速度:1/30秒 / 絞り値:F5.6
カスタムイメージ:鮮やか
デジタルフィルター:
トイカメラ・ハイコントラスト
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使用レンズ:DA18-55mmF3.5-5.6AL WR
焦点距離(レンズ表記):35mm
ISO感度:400
シャッター速度:1/80秒 / 絞り値:F8
カスタムイメージ:鮮やか
デジタルフィルター:色抽出
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