すっかり秋らしい気候になりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋など、きっと様々な秋を思い描いている事でしょう。
ちょうど良い気候となる事から「〇〇の秋」とよく呼称されていますが、写真を撮るのにも最適な季節です。
ギラギラとした夏の日差しは和らぎ、陰影も階調を感じやすくなります。
そんな季節ですから何を撮っても楽しいものですが、今回はスナップと洒落込みたいと思います。
赴いたのは東京都の中でも埼玉県寄りとなる、東京都北区の赤羽近辺。
この辺りは住宅街が広がっていますが、高低差が大きく独特の地形を成しています。
あまり機材はかさばらせたくないなあという事で、α7CにVoightlanderのAPO-LANTHAR 35mm F2 ASPH.を組み合わせます。
ボディが約500g、レンズは約350gとなりますので余裕を持って1kgを下回る、取り回しやすいセットです。
あいにくの曇天ではありますが、今でも根強い人気を誇るα7III譲りのセンサーを搭載していますので、
豊かな階調でグレートーンを描いてくれました。
住宅地にはもちろん車通りの可能な道もありますが、そうではない細い道も網の目の様に広がっています。
どこに続くのか分からないワクワク感と、こういった路地ならではの身近な生活感がたまりません。
人の行き来出来る道はありますが、雑草などの手入れはなかなか難しいのでしょう。
パイプに絡まって背を伸ばしつつある、つる植物が印象的です。
こちらは金網越しに一枚。
今回初めてこの辺りをスナップで歩いたのですが、赤羽といえば比較的都心にも近く交通機関等を使えば数駅の距離です。
そんな数駅しか離れていないところに、ここまで高低差を持つ地形があるというのも、なんとも不思議な感覚に陥ります。
35mmといえば準広角にあたる画角となりますが、こういった街中でのスナップには空間の切り取りにうってつけなレンズです。
勿論構図を切るにあたって、ある程度必要な情報のみが画角に入るようにアングルなどのコントロールは行いますが、
被写体との距離感や、主役に対しての背景の割合がちょうどいいのです。
また、今回使用したAPO-LANTHAR 35mm F2 Aphericalはフォクトレンダー史上最高性能の準広角を謳うだけあり、
特に色滲みの少なさやピント面の解像力は目を見張るものがあります。
絞りを開けることで発生する周辺光量落ちが心地よく、今回の撮影においてもほぼ全てのカットを絞り開放で終えています。
麗らかな午後。ピントを置いた場所に猫でもいれば良かったのですが、あいにくそこには何も居らず。
しかしながら鋭いピントの立ち上がりのせいか、視線が吸い込まれ、そこには何かいるのではないか?と錯覚してしまいます。
MFレンズではありますが、ピント拡大を使う事で苦なく撮影に臨む事が出来ました。
片手でずっと持っていても気にならないサイズ感、重量感でありながら、申し分のない写りでまた持ち出してみたくなる組み合わせでした。
ミニマルな機材でも妥協したくない方へオススメのセットです。