ALPA in Wonderland
この度私が紹介させていただくのは【Alpa Reflex II】です。
はじめに、アルパとは。
スイスの時計部品メーカー、ピニオン社製のカメラ。
レンズは他社から供給を受けていました。
【アルパ】のカメラは多くの種類がありますが、
この度私が使いますのは【アルパフレックス】のII型、前期モデルにあたります。
まずはこのカメラの機械的な仕組みの説明から。
鉄板削り出しの文字どおり重厚な造りのボディ。
シャッタースピードは大陸式ダイアルで1/1000~1秒にバルブを加えた仕様。
シャッター幕は横走りの布幕方式です。
ファインダーは中判カメラではおなじみの上から覗いてピント合わせをするウェストレベル方式。
併せて横から覗いてふたつの像を合わせるレンジファインダー方式を搭載。
当時のカメラ技術が注ぎ込まれたハイブリットモデルです。
初期型は距離計連動の仕組みがウェストレベルを透過していたため、ファインダーとして使いづらかったようで、
II型にして両ファインダー方式が確立されています。
アルパの中ではこのモデルが比較的によく売れたといわれるのもうなずける完成度です。
ライカのようにバルナックタイプからM型、R型への変遷がスタンダードだとすると、非常にユニークな進化です。
さすがスイス製と言いましょうか。
フイルムを巻き上げる時やシャッターを切った時にボディから伝わってくる
歯車の精密な振動や音が心地よく、なんとも癖になりそうです。
またシャッターレリーズは少し重めですが、ミラーショックや大きなシャッター音が発生しないのがうれしいです。
このカメラが作られて半世紀経った今でもある程度の正確性を保っているのも驚愕ものです。
レンズは【Alpar 50mm f2.9】です。
旧アルパマウントですが、現存数が少ないらしく私が好きな35mmを探していますが、見つかっていません。
マウント部から鏡胴部まですべて削り出しアルミ製で、本当に写るのか疑いたくなるような軽さが特徴です。
なお距離計連動するのはこの標準レンズだけらしいので、どうやらこのレンズとは長い付き合いになりそうです。
晴れた日中で撮るとその低コントラストで淡い色合いが顕著に現れます。
私のお気に入りのカラーネガを使い暗所を写すとご覧のように。
撮るたびにその表情を変え仕上がりが全く読めないこの面白さがたまりません。
この不思議な世界を描く為にカラーネガを詰めています。
モノクロで撮った写真もありますが、それはまた機会がございましたら。
この個体の全体的な整備不足と私の至らぬ腕前も相まって譲り受けて間もない頃は
カメラとしてまともに使えたものではありませんでした。
しかし撮っては原因と向き合い、また撮っては向き合いを繰り返した甲斐もあってか
現在では徐々にその調子を取り戻しつつあります。
内部劣化や経年変化など取り返しがつかない箇所も含めクラシックカメラの楽しみのひとつなのかもしれません。
それではこの度はこれにて。またの機会に。
今回使用したフイルムはこちら。
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